私の見た、「日本郵便」の現実。(3.『郵便局』と『郵便事業』を分離したホントの理由) | busakoのブログ

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先日に引き続きまして、私が見た「日本郵便」の現実。今回はココまで『経営破綻』寸前まで陥った郵便事業が、どうしてこうなったかをお話しします。


『郵政民営化』の際、日本郵政(郵便事業会社の持ち株会社)の傘下に、どういった形態で事業を分けるかが論議されていたとき、本来ならば、「郵便局」は「郵便事業」と一対になって「郵便事業会社」となるはずでした。


ところが、一部の委員の間で「郵便事業は単独で事業で成り立たせ、郵便局は『特定郵便局の連中らが強大な権限を持っている』から、それらの権力を破壊するためには、「郵便事業」とは別の会社にさせたほうがいいだろう。そうすれば、郵便事業が将来成り立たなくなっても、郵便局はヤマト運輸などの「民間メール便事業」を請け負わせればいいのだから・・・。」と言った意見に押される形で、面詠歌に向けた最終答申では、「郵便局会社」と「郵便事業会社」とに分割される形となったと思われます。(「貯金事業(ゆうちょ銀行)」と、簡易保険事業(かんぽ生命)は最初から「分離するべき」といった方針でした。)


しかしながら、『特定郵便局』の権限は「土建業団体」や「日本医師会」や「日本遺族会」ほどの権力は初めから持ち合わせてはいません。せいぜい、選挙のときの「組織票」固めに必要な程度だったと考えます。(コレは、「郵政民営化」が法律として可決して以降の動きから見れば、殆どが選挙には「自主投票」や「政治に関与せず。」となったことから明らかです。)


つまり、初めから「特定郵便局潰し」が目的で、「郵便局」と「郵便事業」を『分断』することに他ならないのです。


また、もう一方の理由としては、「郵便局」という『不動産』を民間企業(主に不動産及び大手デベロッパー)に開放することによって、「郵便局」といった『地域の拠点』を「金を生む木」に変えさせる「ビジネスモデル」にしようとする『市場原理主義者』の思惑もあります。

(現に東京中央・大阪中央の各郵便局など一部では、既に建て替えが始まっていますが、それも同じ思惑だろうと思います。)


現在、郵便局の業務としては、「日本郵政グループの事業の代理業務」(グループ内の各会社からの『手数料収入』)と、「郵便局独自の事業(カタログ販売や、損害保険の代理業、引越し業務の取次ぎ、各地域の行政サービスの窓口)」といった業務が柱なのです。

(※注、郵便局会社はゆうちょ銀行とかんぽ生命については、金融関連の法令の改正により、「銀行代理業(ゆうちょ銀行)」と「生命保険代理店(かんぽ生命)」といった形で業務を請け負っています。)


一方、「郵便事業会社」のほうは、「郵便局」という『最大の収入源』を失っただけでなく、「民間メール便事業」や、「インターネット」との完全な競合に巻き込まれ、民営化当初から赤字がかさむ一方で、元々借入金の担保となる「固定資産」が少なかったこともあり、今年度末で約1000億円の赤字(コレには、「旧JPエクスプレス」の清算に伴う最終処理やその後の「ゆうパックの大幅遅延」に伴う損害賠償も含まれます。)が見込まれ、来年度も同程度の赤字になりそうです。


このため、このまま赤字が続けば、来年度中にも『債務超過』に陥る可能性が高くなりました。


ただ、「郵便事業会社」も、ただ手をこまねいているわけではありません。コンビニでの「切手・はがき」の販売の拡充や、新たな郵便商品の開発(レターパックや特定記録)も行っていますが、如何せん対応が後手後手に回っているのと、「郵便局」という最大の『販売チャネル』を十分利用できない(販売を委託する形になるので、それに対して手数料を払わなければならなくなり、毎年莫大の「手数料」を支払っている。)事もあって、なかなか販売自体は伸び悩んでいるのが現状です。


昨年まとまった「郵政民営化見直し法案」では、「郵便局会社」と「郵便事業会社」の『事業再統合』も盛り込まれてはいますが、コレを取り纏めた国民新党の亀井静香代表(当時の郵政・金融問題担当相)が昨年春に大臣を辞任して以降、まったくと言っても進展はありません。


これは、今の民主党政権が「郵政『完全』民営化賛成」の連中が多く、この問題に本気で取り組んでいる姿勢が感じられないのと相成ります。


私の勤めています支店も、今日、現在の郵便事業会社の経営状況についての「周知」がありましたが、かなり誤魔化して話していたものでした。なるかので

このままだと、昨年末に東京新聞が『大スクープ』した、「人員削減を伴う大リストラ」が現実のものとなる可能性が高くなりました。



本当に民主党政権は『何』を守ろうとしているのでしょうか?