茨城の百姓から | 脱原発の日のブログ

脱原発の日のブログ

12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

 茨城で農業を営む知人から、自分の農場の作物の出荷についての考えをまとめ
た文章がとどきました。チャンプールの前進、自給の邑を一緒に創業し た仲間
です。

 今回の汚染は農業を営むものにとってもそれこそ生きる糧を奪う、深刻なもの
だと思います。
 汚染は茨城だけではなく関東一円、最終的には全国に広がっていくこととと考
えられますが、現時点での一つの判断として彼の見解を転載します。

 急いで入力したため誤字はあります。

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福島第一原発からの放射能汚染
つくば周辺の圃場についての現状と暫定措置についてのご報告(Ver.1.0)

オーガニックファームつくばの風(有)
     代表 松岡尚孝

 平素よりたいへんお世話になっております。
 この度の東北関東大震災に際しては地震と津波で犠牲になった方々のご冥福を
心よりお祈り申し上げます。また避難されている皆さまの一日も早い復興を願
い、農場として協力できることは積極的に関与したいと考えております。

 さて、かねてより原子力(核)と人間・農業は共存できないことを訴えてまいり
ましたが、此度の福島第一原子力発電所の事故=人災により放 出された放射能
が、茨城県北部をはじめとする地域でほうれん草等から検出されました。茨城県
は大事をとって県内全域のほうれん草の出荷を停止 しました。当農場でも安全
策をとりデータの裏付けで安全性を証明できるまで念のため、露地葉もの野菜の
出荷を当面停止することとしました。皆 さまには大変ご迷惑とび心配をおかけ
し申し訳ございません。
 私どもとしては、原発事故の収束を願うと共に、貴重な農場・環境を汚染した
東京電力とこれまで原発を強引に推進してきた国・県に対して猛烈 に抗議をす
るものです。

 圃場のあるつくば市内(福島原発より160km)には毎日、放射線量を計測してい
る産業そうごう研究所(以降、産総研)があり、当地周辺にどの 程度の放射性物
質が飛散しているか確認できます。加えて平常値を超える放射線量が観測された
際には核種(放射性物質の種類)の種類と量の測定も行 われているため、当地周
辺にどの程度の物質が降下したのか類推できます。
 それらのデータを考察したところ、現時点では野菜の放射能による汚染は環境
に存在する種々のリスクと比べ際立って高いとは言えないレベルである と確認
いたしました。

 まずはお取り先引きまの皆さまへ、当農場の状況を判断する根拠をお伝えした
いと存じます。詳しくは以降の文書をご一読いただきたく。
 今後もオーガニックファームつくばの風を応援いただければ幸甚です。

 尚、321現在、茨城県当局からの通知によれば、以下の農産物に対して安全性
が確認されています。
 ○露地栽培のネギ、キャベツ、レタス、レンコン
 ○ハウス栽培のトマト、イチゴ、キュウリ、ニラ、ミズナ、チンゲンサイ、
ピーマン

 以上
 新しい情報が届きましたら、またご連絡させていただきます。


○【詳細】福島第一原発からの放射能汚染への対応
 1 つくば市内の放射線測定値
 産総研の測定結果によると、1μSvhを超える線量が計測されたのは2011年3月15
日の13:30の計測のみ。前後の計測も平常時より 高めだか極端に高いとは言えな
いレベルです。他の日はすべて平常レベルであり、福島第一原発の放射能が計測
可能なレベルで飛散してきたのはこ れまでは北風の吹いた、3月15日のみです。
 参考:つくばセンター放射線測定結果 
http://www.aist.go.jp/taisaku/ja/measurement/all_results.html

 2 当社の評価基準について
 専門的な見地からの評価がくだされればそに越したことはないのですが、野菜
や土壌に放射性物質が付着する場合、それらはすべて大気中から降 下したとし
て、大気中の放射線量が上がったら野菜にも影響が生じると解釈しています。
 そこで暫定的に大気中の放射線量が1μSvhを継続して超えたら出荷を停止する
ことにいたします。
 ※野菜・土壌の評価でありますから核種の含有量からBq/kg(ベクレル/キログラ
ム)で基準を検討しなければならないわけですが、それは 技術的・資金的に当農
場で実行するのは困難です。仮に1Sv/hの濃度が年間通じて観測されたとして、
いったいどれだけの放射能が野菜に残留 するのかも不明です。核種ごとに半減
期や状態(粒子状や水への溶解性)が異なるため計算は複雑になります。今後専門
家の助言を得ながら行政が しがちな緩い基準より厳しい管理をしてまいります。

 3 検討
 産総研の核種データから、半減期の長めのCs-137およびCs-134は全体からみれ
ばごくわずかで、半減期8日のI-131が一番多く もTe-132は3.2日、I-132に至っ
ては2.9hで半分になります。1週間もすれば新たな汚染がない限りほぼ元通りに
なると思われま す。
 国が設定している一般人の被ばく量上限が1mSv/年(ミリシーベルト/年)ですか
ら、(1年間=8760hなので)時間あたりに換算する と、およそ1μSV/hになります。
 大気中のすべての放射性物質ゅ野菜を通じて取り込むことは考えられませんの
で、十分な安全策をとって1μSv/hが(産総研で)継続的に観 測されるようなこと
があれば、屋外作業及び出荷を停止するという当面の措置を決定しました。

 4 安全評価
 低線量の内部被ばくが続いた場合のしきい値(これ以上になると影響を与える
とされる値)は認められていないので、どんなに小さな値でも完全 に影響がない
と言い切ることはできません。しかし、人体への取り込みが大気を通じたものな
のや、十分離れた地域で十分少量の内部被ばくが継続 した場合と比べ、現在の
つくばの野菜や土壌がとりたてて危険とは言えないと思われます。

 出荷停止になったことからつくば市を含む茨城の野菜が危険だと思われがちで
すが、同程度の汚染は関東全域で生じていることが確実ですし、仮 に機械の検
出限界以下の値だったとしても極々微量の放射性物質を呼吸などを通じて私たち
は人体に取り込んでしまっていると思われます。それら を防御しなければ、野
菜のみに基準を設けても意味がありません。

 さらにタバコや薬、大気汚染、化学物質の暴露、電磁波等々のリスクと比較
し、放射能のリスクのみをずば抜けて高い基準で管理することに、ど れだけの
意味があるのか。
 
それらを考慮し、暫定的こ1μSv/hの継続的な観測で管理することにいたしました。

 最後に、この暫定策を検討するにあたりご助言を賜った皆さまに感謝申し上げ
ます。
以上