ツイッターで参加している大人絵本会が明日開催されます。
今度は第18回。
お題は福音館版「ももたろう」松居直/文 赤羽末吉/画
ももたろう (日本傑作絵本シリーズ)/まつい ただし

¥1,155
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ちなみに、第17回のお題絵本はコチラでした。


さて、この「ももたろう」のお話。
誰もが知っている。けれど、民話・語り・口伝の常として、
語り手によって、地方によって、微妙に違っています。

絵本でもその違いはそれぞれ。

物は試し、と。図書館でざっと目につくだけ「ももたろう」を集めてみました。
$おへそのなかみ 
本当に簡単に「にほんのむかしばなし」の棚を眺めて回っただけで9冊も見つかりました。

今、出版社を見ていてびっくり。
講談社がまったく違う作者、画家で2冊出してます。
画像の上段左と中段左。
新装版 ももたろう (講談社の創作絵本ベストセレクション)/代田 昇

¥1,890
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中段左の舟崎克彦・文 石倉欣二・絵の作品は絶版でしょうか。アマゾンにもないようですが(;´д`)

他にも下段左の松谷みよ子・文 瀬川康男・絵という重鎮コンビの作品も目を引きます。
ももたろう (日本むかし話)/松谷 みよ子

¥1,575
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読み比べてみると...
これが、おもしろい。

一番大きな違いはももたろうが怠け者のエピソード。

桃から生まれて、大きく成長したももたろうですが、
何もせずにごろごろしているんです。
村のものや友だちが柴刈りなどに誘ってもなんのかんのと言い訳をして行こうとしません。
いよいよ重い腰を上げて山に向かったと思えば、めんどくさそうに寝ているだけ。
日暮れ頃になってみんなが帰り支度を始めたらようやくむくりと起き上がって、
なんと、松の大木を一本、めりめりと根こそぎ引っこ抜いてかついで帰るという、無茶っぷり。

前述の松谷版や代田版はこのエピソードが含まれていて、オーソドックスな「ももたろう」のお話に慣れたものからすると新鮮に感じます。


他にも、きびだんごの数や、お供の犬・猿・雉とのやりとりでも違いが見て取れます。
動物たちにきびだんごを「ひとつやろう」「ひとつはならん、はんぶんやろう」「ひとつじゃたりない、ふたつあげよう」とまぁ、気風のよさにも違いが。( ̄ー ̄ )

鬼が島についてからも。
閉まっている門を雉が開けるのか猿が開けるのか。
9冊のうち、雉派が5冊、猿派が4冊と真っ二つに意見が割れています。

ところが、面白いことにほとんどのテキストに共通する言い回しがあるんです。
これが、ももたろうの成長するところ。
細部は異なりますが、
「いっぱい たべれば いっぱいだけ
 にはい たべれば にはいだけ
 さんばい たべれば さんばいだけ
 おおきくなりました」

という言い回し。
語りやすく、印象的なシーンなのでしょうね。

そうそう。
最初に桃が川を流れてくるところの擬音もそれぞれで楽しいですよ。
これはぜひ、皆さんが読んで実際の音を聞き比べて欲しいかな。