◯ 東日本大震災の影響で東京電力の電力不足が深刻な問題になりつつある。早くても3年後くらいまで電力の問題が解消しないのである。それは福島の原子力発電所だけでなく既存の火力発電所が被災をしたためで、かなりの突貫工事をしても来夏までは計画停電を続けざるを得ない状況である。詳しくはこちら

◯ それは完全に物理的な問題なので、なんともできない。おそらくまだなんとなく電気がどこからともなく戻ってくるのではないかと楽観視している人達もいるけれども、この状況があと東京地域では数年続く可能性があるのである。

◯ このまま計画停電をそのままするのかはわからないけれども、とにかく電気が足りないのは事実で、今まで通りの電気を使えないことになる。最大の供給能力が4700万キロワットがしばらく限界でこれを超えられない。特に夏場の冷房の時期になると絶望的に足りなくなるのである。大事なのはピークカットで、ピーク時にも4700万キロワットを超えないようにコントロールをするしかない。そのためには結局、2つのことが重要なのである。

① 地域を変える
② 行動を変える

ことである。

◯ まず一番手っ取り早いのは地域を変えることである。外資系の会社がさっさと大阪に移転をしたのは多くの人は放射能の問題だと思っているが、もちろんそれもあるが、最大の問題は電力の問題を重要視して、早く見切って関西に移動したという面が強い。電車がいつくるかわかんらないとか電気で大事なサーバーが止まるかもしれないという環境で、ハラハラドキドキしながら勤務して高い成果がでるわけがない。ただでさえ、グローバルでの競争が激しい中、社員が来たり来なかったり、帰れなかったりするような状態で国際競争で勝ち抜けるのだろうか。それは難しいだろう。実際に、大手の会社はしれっと大阪に管理部門やIT部隊をすでに関西方面に移転させ始めている。この流れは4月以降加速するだろう。東京の最大の問題は電力なのである。もちろん放射能の問題やその世界的な風評被害の問題もまだまだ収束しているとはいえないが、とにかくみえているのは電力の問題がいかんともし難いということなのである。東京都知事選挙の重大なテーマになるだろうし、次の知事は誰であれこの難題と向き合わなければならない。

◯ トヨタ系は名古屋、パナソニックなどの関西系は大阪に、また一部の企業は福岡、と名古屋、大阪、福岡への移動が始まると思う。もちろん全部が移動するなんてことはないが、管理系の人や企画や場合によっては経理なども移動するかもしれないので、かなり大掛かりな移動が行われるだろう。大阪のビルはテナント不足に苦しんでいて、賃料もそれなりに安いが、東京の企業の大移動が始まると一等立地はすぐに埋まるに違いない。逆に言えば、放射能をおそれて移動したと見られている外資系の人達が一足早くまだ賃料の安い大阪の物件をいち早く占拠しているのが実態である。実際に大阪のホテルは今はかなり埋まっていてそれも高級ホテルほど外資系の幹部に占められている状況がある。

◯ 一方で電力のない状況では東京のレストランなどの外食業やレジャー産業は大打撃を受けるだろう。停電する中での営業は難しいし、そもそもしばらく外資系やITの会社などが西に移動をするので、お金を落とす人が減ることになる。東京でそのようなサービス系をしている会社はピンチだ。一方で大阪では特需が発生する可能性が高い。