色恋…。
キャバクラが産んだ、一つの形態。色恋営業。
それは、お客さんに自分が恋愛感情があるように思わせて、お客さんを引っ張る営業方法。
むろんはじめはただの営業ですが、そのうち本当に恋に落ちるなんてはなしもあったりなかったり…。
しかしその昔、それを超える恐ろしい色恋がありました。
その名も「色管理」。


これは黒服がキャバ嬢にしかけるもので、
ようは自分に惚れさせて自分の言う事を聞かせるようにして、仕事をがんばらせるという、なんとも鬼のような管理方法です。
この話はもう自分が駆け出しのころでしたから、20年以上前ですかね。
今ではすっかり聞かなくなりましたし、
むしろそんなことをしないとキャバ嬢を管理できない黒服は下に見られます。
キャバ嬢たちからも信用されず、最悪の場合、店から締め出されます。
というよりも、今ではすっかりキャバ嬢の方が黒服よりも立場が上になった気がしますが…。

それはさておき。
この色管理。おいしいように聞こえるかもしれませんが、一歩間違えば恐ろしい惨劇を呼びます。
なんせ、黒服の数=キャバ嬢の数ではなく、黒服の数<キャバ嬢の数なわけで、
=一人の黒服が何人のものキャバ嬢を色管理していくことになるわけです。
「ハーレムやないか!」
いえいえ、違いますよ。地獄です。
なんせ、同じ場所に恋敵が何人もいるという状況ですから。
当然、キャバ嬢同士は仲良くないですし、その管理者の動向は逐一チェックされていきます。
その結果うまれるのが、「いじめ」でした。
そして「けんか」「殴り合い」「ばっくれ」「解雇」でした…。
あの頃はまだ何をなにもわからなかったから、ただただ怖かったなあ。
「なんて荒んだ世界だ…」と思いましたもの。


今から思えば、なんのメリットもないように思う色管理が廃れていったのは、
自然な事なのかもしれません。
しかし、どうにも未だに言われるんですよねえ。
「黒服はいいなあ、女の子に囲まれた職場で」
「好きな子、選びたい放題じゃん」と。
いや、だからそんな事したら、大変なんですよ…。