東京マラソン それぞれの思い胸にRUN
拡大写真
難病の子供と家族支援のためにチャリティーで参加した杉谷英昭さん(写真:産経新聞)
 早春の東京に繰り広げられた3万6千のドラマ-。27日に行われた第5回東京マラソンは、最高気温18・4度、好天に恵まれたレースとなった。沿道には多くの応援者やファンも駆け付け、参加したランナーはそれぞれ思いを胸に、心地よいランを楽しんだ。

 「こういう形でも協力できればと思い参加した」

 今大会から導入されたチャリティー制度で、10万円を寄付してレースに参加した福井県敦賀市の司法書士、杉谷英昭さん(35)はこう話した。

 チャリティーは「10万円以上の寄付」がエントリーの条件で、寄付の最高額は24万円だった。計707人がエントリーし、694人が出場した。

 寄付金の使い道は、難病の子供やその家族の支援▽緑地保全▽世界の難民キャンプ支援▽障害者アスリート支援-などから選べるシステムを採用している。

 杉谷さんは、難病の子供と家族の支援を希望した。長女(1)が平成22年11月に心臓の手術のために約1カ月入院したことが、その理由だ。

 妻(34)は1カ月の間、病院で長女に付きっきり。杉谷さんも病院近くのホテルで暮らし、病院に通い続けた。

 「付き添うのは精神的に本当に大変だった」と杉谷さん。「自分でも同じような家族のサポート活動ができればと思うのだが、なかなかできない。じゃあ、チャリテイーでということにした」

 フルマラソン初挑戦の杉谷さんは、制限時間直前にゴール。直後に携帯電話で妻に「疲れた」とコール。しかし、満面の笑みが浮かんでいた。「これで5年後、10年後に娘に自慢ができます」

 チャリティー参加者だけが着られるTシャツには、手術を乗り越えた長女と今年8月に誕生予定の第2子に向けた「パパとママの宝物」とのメッセージが書き込まれていた。(半田泰)

【関連記事】
川内さん3位入賞、勤務先の校長「職員、生徒の励みに」
陸連、“市民ランナー”川内をどうサポート?
一度は走るのを辞めた元実業団の日本代表が笑顔でゴール
チャリティーでも牽引役に 東京マラソン“世界標準”目指す
ランナーのニーズ 「速さ」から「快適さ」に

「この記事の著作権は産経新聞 に帰属します。」