タダゼミ杉並数学担当の小宮です!
皆さんこんにちは、 数学担当の小宮です!!
今回は先月に行われた都立入試の 各問題のふりかえりと、今回の入試の考察を行います。
総評
今年度は前年度に比べると全体的にやや難化した傾向があります、
ただ前年度のが簡単だったこともあり最近6年の間で見れば平均的か少し難しい程度の難易度だったといえるでしょう。
マークシート導入から問題の傾向も変わりそれに応じて難易度が ここ3年ぐらい安定しない時期が続いたのですが、
今回は出題者が求める難易度を達成できているように感じます。
そのため今年度の入試が以降の入試の指標となり得る可能性があります。
それでは各問の解説に入ります。
大問1(やや易化)
[問1]
例年通りの四則計算の問題です。累乗の計算がない分少し簡単だったかもしれません。 難易度は例年通りです。
[問2] この問題も例年通りの文字式の問題です。分配法則を使います。 難易度は例年通りです。
[問3] 平方根を含んだかっこの展開の問題です。例年と変わっていません。 難易度は例年通りです。
[問4] 一次方程式の問題です。かっこが入る場合と入らない場合がありますが今回はかっこが含まれる問題でした。 難易度は例年通りです。
[問5] 例年と同じ連立方程式の問題です。 難易度は例年通りです。
[問6] 二次手方程式の問題です。今となっては解の公式を使うのは定番ですが、実は最初に用いられたのは平成26年度からで、それ以前は解の公式を使わずに解ける問題でした。このまま解の公式で解く問題が続く可能性がありますが、解の公式を使わない方法でも解けるようにしておきましょう 難易度は例年通りです。
[問7] この問は今までと比べて傾向が変わりました。問題の内容は二次関数の変域(xの変域)から値域(yの変域)を求める問題で今までは大問3の前半で出題されていましたが今回は大問1での出題となりました。 ただ、難度としてはそこまで難しくはありません!
[問8] 大小二つのさいころの出る目から確率を求める問題です。最後に都立入試に大小二つのさいころが出たのは平成22年でかなり懐かしい問題であるともいえます。 また、最近は問8では資料の整理や度数分布表の問題が出るようになっています。 今回の解き方は最初に出る目の組み合わせを列挙しておき、該当する箇所に〇を付けることをお勧めします。 難易度は平年通りでしょう。
[問9] 例年通り作図の問題です。扇型の弧の長さの関係から点を求める問題でした、 結局角を4等分する問題に帰着することが分かれば難なく解けたでしょうがそこに気づきにくかったかもしれません。 難易度はやや例年よりも簡単でしょう
大問2(平年通り) 特に問2の証明でやや難しい問題が出題される大問2です、今年も例によって4~5年前から比べると難しくなっています。 ただ去年と比べるとほぼ同じくらいの難易度となっています、今回は規則的に並んだ数の表に関する問題が出題されていました。 問題の内容にネタ切れ感が出てきているので今後は問題の傾向が大きく変わるかもしれません。
[問1] まず―3の一つとなりの数字が-3ずつ減っていくことに気づけなければなりません。 そこから式を導出するか、一段ずつ計算していくかすることによって解くことができます。 今回は10段あるので一つ一つ計算するにはやや量が多かったかもしれません。 難易度は平年通りでしょう。
[問2] この問題では微妙に出題の雰囲気が変わったように感じました 今まではもう少し適用範囲が広い式の導出を求められましたが,今回は表の一段目と五段目の場合に限った式の導出を求めています。 また、式変形もほとんどなく単純な計算の繰り返しにより解けるようになっています。 計算量の面ではやや多くなっていますが計算の難易度は下がっているようです。
大問3(部分的に難化) この問題は大問1に値域と変域の問題が出た影響で、やや難易度と出題傾向が変わりました。 ただ最後の問2②についてはやや易化したようです。 それでは個々の問題についてみていきましょう。
[問1] 点のx座標と直線の式からy座標を求める問題です。 前にy座標からx座標を求める問題は出題されたのですがそれよりも簡単です。 難易度は例年より簡単でしょう。
[問2]① 受験者全体で見て一番点数への影響が大きかったのがこの問題かもしれません。 例年は直線の式は点が二つ与えられて、その二点を通る直線の式を求めるような問題だったのですが、今回は直線が三角形を二等分するときという,点を求めるのに一段階おかないと解けない問題でした。 三角形の「高さ」に注目すれば答えは求まりますが例年の方法に慣れてる受験者にやや難しかったでしょう。
② この問題も例年に比べるとやや傾向が変わりました、 特筆すべき点は最終的に解く方程式の形が二次方程式ではないという点です。 この大問3の最後の問題では、座標を文字で置き換え→三角形の面積などを文字の含まれた形で表す→面積の関係から等式を作る→等式を変形して二次方程式を作り解く。 という流れで問題が解かれるのですが今年度は「二次方程式を解く」部分が「一次方程式を解く」となっていました。同様に一次方程式に帰結するような問題は平成24年度に出題されましたがそれ以来の出題となります。 難易度は例年通りでしょう。
過去の大問3の出題内容です
空欄は大問構成が違うため内容が違う年度です!
大問4(部分的に難化) この問題も去年に比べるとやや難化したようです。 特に問1だけでも点を取ろうとしている受験者にとってはなかなか厳しい問題だったと思います。ただ、問2の証明と最後の②の問題はやや易化しているようです。 それでは細かく見ていきましょう。
[問1] この問題は今までに比べて傾向が変わりました、平成13年度から去年度までは解答の単位は必ず度数を文字を用いて答えるものでした。しかし今年度は解答の単位は面積となっています。 さらに扇型の面積を求めるのは他の図形の面積を求めるよりも難しく感じるかもしれません。 今後はこのように問1で角度以外を問われることが多くなるかもしれないので注意しましょう!この問題の難易度は例年に比べてやや難しいです。
[問2] ① 平年通りの証明の問題です、この問題は相似の証明なので条件は二角がそれぞれ等しい以外はありません。 また中心角と円周角の関係が分かっていれば等しい角度も見つけやすいと思います。 ただ、垂直以外の角度を見つけるのに少し手間取ったかもしれません。 難易度は平年通りでしょう。
② 辺の比から辺の長さを求める問題です。 例年大問4の最後の問題はかなり解くためのステップを多く要したり、 どのように解けばよいかわかりずらい場合が多かったのですが今年度は比較的簡単に 三平方の定理と相似比を用いれば解くことができます。 難易度は例年より易しいようです。
過去の大問4の出題内容です
空欄は大問構成が違うため内容が違う年度です!
大問5(部分的に難化)
問1 三角形ABDと三角形BCDのなす角の大きさから三平方の定理により 点と点の距離を求める問題です。 面のなす角について気づけば簡単に答えは出せます、ただそこに気づきにくい場合もあると思います。 難易度は平年通りでしょう。
問2 例年通り立体図形の体積を求める問題です。 最近大問5の最後の問題はやや易化傾向だったのですが、今回は難易度が上がっているように感じます。 立体の体積を求める時にはまずどこを底面とするか、もしくは立体を分割することで解けないかを検討します。 今回の問題は△QBPを底面として解く問題でした、ただこの場合の高さを求めるのに多少計算の手数が必要です。 難易度は平年よりやや難しいでしょう。
来年度の入試は? 今回は比較的簡単な問題の傾向が変わったり難化することが多かったため 下位層の受験者が点数を取りにくい問題が多かったように感じます、 このため下位の高校において点数に差が付きにくくなっていることが予想されます。 そこで来年の入試では大問2~5の前半問題の難度は下がることが予想されます。 それに対し後半問題の難度はそのままかやや上がるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました!