東京で放射線量20倍の観測…さいたまは40倍 | イージー・ゴーイング 山川健一

東京で放射線量20倍の観測…さいたまは40倍

 ぼくは案外と臆病で用心深い性格である。
 17歳の頃はもっと大胆だったと思うのだが、57歳になるまでにいろいろな経験をして、用心深くなったのだろうと思う。
 さらに、疑い深くもなった。

 原発事故のニュースを見るにつけ、自分の身を守るのは自分しかいないなとつくづく思う。それにしても東京電力の対応には、まったく誠意が感じられない。
 無駄に時間をかけ、わかりずらく、不正確な発表をしているのだとしか思えない。何のために? 責任逃れのためにである。
 おまえには人間の赤い血が流れているのか、とテレビに文句を言いたくなる。
 しかし海外の調査団やメディアが入ってくれば、嘘はバレるに決まっているのだ。
 誰がどう考えたって、スリーマイル島原子力発電所事故を上回る今回の事故を契機に、日本の原子力発電開発は終わるに決まっているのだ。日本が原発プラントを輸出する計画だって白紙になるだろう。
 だから東電の株価が暴落しているのだ。
 そういう時に、見苦しい限りである。

 日本の経済成長は既に鈍っている。高度経済成長期は遠い昔の話である。
 われわれ皆が生活をスケールダウンし、クルマに乗る時間も可能な限り減らし、日本の優秀な技術者がさらに30パーセントエネルギーを節約できる電気製品を考え出し、原発を減らしていくしかないのではないだろうか。
 結果的にそういう方向にシフトしていくだろうとぼくは思う。

 この地震が起こった時、日本人にとってあまりにも不幸だったのは、内閣が憲政史上最低の菅直人内閣だったことだろう。まだ仙谷由人官房長官が辞めさせられた後で良かったのかもしれないが、本来なら今頃総辞職か解散総選挙をしているはずの、あるいは公民権停止になっているはずの菅直人が総指揮をとっている──という体裁を整えている。「本来なら公民権停止」の総理大臣が言うことを、どうやって信じろと言うのだ?

 菅直人首相よ、この国の国民はあなたが思ってる10倍は知性的だ。見くびるのもたいがいにしたほうがいいよ。 

 直ちに健康に問題が生ずるわけではない──そういう言説を、ぼくは信じない。
 ○×だが、△×の可能性は低い──そういう言説は聞き飽きた。
 東京で放射線量20倍の観測…さいたまは40倍──しかし健康被害はない。ふざけるのもいい加減にしてほしい。
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/496488/

 今この瞬間は大丈夫なのかもしれない。しかし、メルトダウンが発生してもこの体制では真実が明らかにされるのはずいぶん時間が経ってからだ。ぼくは臆病で用心深い性格なので、政府や東電を信じない。

 しかも、こうしたニュースを伝えるのは金属疲労を起こしたようなテレビや新聞だ。ぼくはテレビを3つのグループに分けている。

 1 腹が立つので絶対に見ない局。
 2 できれば見たくないがしょうがないので時には見る局。
 3 本当は嫌いだがこういう大ニュースの時には見る局。

 で、3と2で交互にチェックするわけだが、暗澹たる気分になる。
 どうやら数ヶ月のことではなく、復興には何年もかかりそうだ。危機管理はぼくらそれぞれが自分でしないとね。
 政府や東電やテレビが言うことを一度は疑い、まず自分の身を守り、少しずつ自分の生活とこの国を立て直していくこと。
 落ち着いたらぼくら一人ひとりが声をあげて民主党政権を追い込み、解散総選挙を行い、この国の設計図を引き直すこと。それしかないね。
 あきらめられないからさ。



※追記
「政府は、原子力安全・保安院の職員らを福島第1原発からおよそ5キロのところにある「オフサイトセンター」で待機させていましたが、15日午前、第1原発からおよそ50キロ離れた郡山市まで退避させました。」

 なんで保安院職員が住民より遠くに避難してるんだ? ほら、やっぱり信用できないね。
 テレビの歯切れが悪いのは、東電が大手スポンサーの1つだからだと思います。それが、テレビや新聞報道の限界で、原発の未来とともに、こうしたメディアの構造も今後は変わっていくだろうと思う。