私の見た「日本郵便」の現実(5.財務諸表を見て【後】) | busakoのブログ

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先ほどの【前】からの続きです。


さて、日本郵便の赤字の原因の残りの2つですが、『固定資産の償却』が多額に上っていることですが、まず、私が知る限りで「日本郵便」の固定資産をざっと挙げていきたいと思います。


※主な固定資産

建物・車両(トラック、バイク、バン)、区分機、事務用具(机、椅子等)、什器類など・・・・。



建物は日本郵便が所有しているもの(集配拠点の支店)と、郵便局会社(集配拠点でない支店・集配センター)が所有しているもの、日本通運が所有しているもの(ゆうパックの集配ターミナル)が主だったものです。

車両は殆どがバイク(原付・自動二輪)で、「ゆうパックや郵便の集配」に使うバンや大型トラックなどです。


建物については民営化時に利用に関して取り決めをしているので問題はありませんが、昨年東京中央郵便局の建て替え問題で当時の鳩山邦夫総務大臣から『待った』が掛かったのですが、一部設計を変更して予定通り着工しています。これに見られるように、民営化当時の計画で、『郵政資産の高度活用』の名の下に資産を民間企業(殆どが不動産関連企業)へ売り飛ばていることも言われています。)


車両ですが、使用されているものうち、バン・トラックは一般的に使われているものなのですが、バイクについては市販されている原付バイクではなく、『郵便仕様』といった特殊な車両なのです。それが昨年の3月にモデルチェンジするまで、実に40年間も同じ仕様の車両が使われていたのです。また自動二輪の車両(90ccまたは110cc)と原付使用の車両とが混在しているために、免許によっては原付しか乗れない職員もいてそれらのために車両を用意しなければならないためにかなりの台数を保有していて、その為の維持経費が毎年かなりの額に上っています。

また、区分機や社内で使用する什器類にも旧郵政省時代の仕様で作られたものが多く、それらの経費も馬鹿にならないくらい多額に及んでいるのです。(それらも大手企業が『談合』してそれぞれのメーカーで作ったためにそれらの維持経費も馬鹿にならないくらいです。)


最後に『人件費の高騰』について。

民営化時に引き継がれた郵政職員の給与が、どうも旧郵政省時代の給与体系をそのまま引き継いでいるらしく、その上高齢の職員が多く、更に残業が日常茶飯事なので、必然的に月々の給与の支払額や賞与の額が殆ど公務員並みに高く、それの是正を進めなかったことも原因です。

(もっとも、さすがに残業については会社の状況などから是正される傾向にあるのですが・・・・。また、民営化後に入社した職員と期間雇用社員(非正規雇用)は最初から日本郵政グループのほかの職員と同じ給与体系です。)



私が考えるには、日本郵便の赤字は「かなり構造的な赤字」で、一説には「旧郵政省時代からの赤字」が民営化によって表に出てしまい、それを隠せなくなった、ととも言われます。

恐らくそれは、日本郵便の子会社(いわゆる『郵政ファミリー』)や、共済組合への拠出など、本来ならば民営化の時点である程度解決していなければいけなかった問題なのでなかったでしょうか?



そんな中で今回の大幅な赤字の原因をもたらした真の原因は、

『郵便』をサービス産業化しようとした市場原理主義者による陰謀

と考えるほうがいいのではないでしょうか?


今日本は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の参加を目指して躍起になっていますが、この中に『郵政資産への外国企業の参入』があります。しかしよく考えてみれば、TPP自体は殆どアメリカが中心になった「アメリカの世界戦略」と言い切っていいです。つまり、アメリカによる『郵政資産の乗っ取り』なのです。

勿論、日本の市場原理主義者も積極的にTPPへの参加を推進しています。


こんなことで果たして日本は本当にいいのでしょうか?『郵便』という公共インフラさえも破壊しかねないTPPに苗参加しなければいけないのしょうか?すでに『郵便サービス』というビジネスモデルは破綻しています。

さらに、国民新党が『連立政権参加』の条件として推し進めてきた『郵政民営化見直し』法案も、いまの菅直人をはじめとした「連合赤軍政権」では、全く成立の見通しが立たず、国民新党は「連立からの離脱」も辞さない構えなのです。


私たちは、このまま『郵便』が消えてなくなっていいのでしょうか?


※こちらも合わせて読んでくださいませ。

私の見た「日本郵便」の現実(5.財務諸表を見て【前】) http://ameblo.jp/sakanakun-muratetsu/entry-10803240748.htm

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