エネルギー問題を再認識しよう~国際協調の重要性 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

エネルギー問題を再認識しよう~国際協調の重要性

4連続コラム、最終日の本日は、昨日のコラムで将来エネルギー問題で欧州諸国が新興国の所謂エネルギーの持てる国と、欧州の持たざる国との格差が、そのまま世界経済でのプレゼンスに反映してくる現実を前にの地球温暖化問題が消えたわけではない。この問題を解決しない限り、新興諸国の成長に、より大きな影響が及ぶこととなるでしょう。また資源獲得を目的とした新たな紛争が各地に勃発する事になりかねません。このような状況は経済成長に大きな害を与えることは容易に想像できます。


この問題の解決策としては、エネルギーの効率化、エネルギー源の構成の転換、そして化石燃料使用の弊害を抑える為の「二酸化炭素封じ込め」技術の活用が必要になってくると思います。我々はエネルギー使用に関して余りにも無頓着になってしまっていたように思います。エネルギーの使用量を削減しても生産高をあげる方法がいくつもあると思います。直ちに取り組めることのひとつに移動、輸送手段でのエネルギーの使用方法の転換があげられます。スピードは幾分落ちても小型で燃費の良い車を使えばよいのです。同様に、技術革新の結果、より効率的に電力やエネルギーを使うことが可能なオフィスや住宅への改築コストが急激に低下しています。我々にとって身近な所として、現在使用している自宅の電球を関東全域のすべての住宅が一世帯当たり2つLED電球に替えるだけでトータル原発一基分の生産量を削減できるそうです。


二酸化炭素排出削減目標を達成するには、化石燃料以外のエネルギー利用が重要な役割を担う必要があります。再生可能エネルギーはコスト競争力が徐々に出てきていますが、全エネルギー供給源の中でインパクトのあるエネルギー源になるためには更なるコスト競争力の改善が必要です。新しい分野であるバイオ燃料も、特に農産物の廃棄物の利用によるバイオ燃料は、食料供給に問題を起こすことなく原油依存を緩和することも可能になりつつあります。


各国政府は原子力発電を代替エネルギー源として検討してきました。しかし日本の福島原発事故はこの動きに影を落としています。ドイツでは再び脱原発運動が盛り上がってきておりますが、現実的には排出削減目標を達成するためには、原子力発電の役割は今以上に重要となるものと思われます。しかし、福島原発事故により、1986年のチェルノブイリと同様に、20年間にわたり各国の原子力発電計画が凍結されることとなれば、再生可能エネルギーが現状よりも重要な役割を担うことになるか、エネルギー効率の改善はさらに加速する必要がでてきます。原子力発電の役割の低下は二酸化炭素の削減がこれまで以上に難しいチャレンジとなることを意味します。


以上の事から次の4点を特に強調したいとおもいます:


・現状での解決策は基本的には有るということです。しかし化石燃料の更なる価格上昇なくして低炭素燃料の導入やエネルギーの更なる効率化への取り組みは起こらない、もしくは表面的な現象としてしか起こり得ないと言えるでしょう。


・化石燃料価格は、僅かな需給関係のアンバランスにも反応しやすいということです。それは直近の原油価格の動向が如実に物語っているということが言えるでしょう。


・脱化石燃料社会に向けた取り組みや施策へのリードタイムは通常長いと言えます。推定埋蔵量から逆算しても人類に残された時間は、まだいくばくかあります。この残された時間内に人類はフルに技術革新による省エネルギー社会の構築や新エネルギーの開発が求められます。しかし、そのつなぎのための期間は、化石燃料依存はコスト高や、それに伴う経常収支の悪化などに直面する可能性が高いです。


・成長目標の達成は二酸化炭素排出削減目標の達成よりもはるかに容易です。ただ、成長目標と気候変動目標は複雑に絡み合っており、その関係を注視する必要があります。2050年に向けた持続可能な世界経済の成長を実現するためには、各国の政府が協調して行くことが重要で、国際商品市況が深刻な状況になる前に、先手を取った対応が求められます。




Ken