NHK日曜討論での若田部昌澄・早稲田大学教授の発言を学習しよう | 中川秀直オフィシャルブログ「志士の目」by Ameba

NHK日曜討論での若田部昌澄・早稲田大学教授の発言を学習しよう

秘書です。
NHK日曜討論(平成23年5月22日)の若田部昌澄・早稲田大学教授の発言から、財政問題等についての政府とは異なる考え方(Bプラン)を学習しましょう。


―――金融機関の債権放棄については

(若田部)人の善意というか枝野発言が政府のスキームを前提としてなら整合性はとれていない。
問題なのはなぜ破綻させないのか、どう考えても債務超過に陥る。例えば足利銀行が一時国有化されたような形での破綻スキームを導入するのが、普通の資本主義のスキーム。これはアメリカのウォール・ストリート・ジャーナルも今回の東電救済策は、日本の社会主義的救済策であるという言い方をする。普通なら破綻で株主、債権者の責任を問うていくというルールがここで曲げられている。どうしてそうなのかということの説明が国民になくてはいけなくて、それが電力の供給を安定的に行なうということならば、他のやり方もあるのではないかという議論が出てきて、例えば発電網と送電網の分離などがあり得ると思う。

―――復興財源は

(若田部)支出する先は復興する先の自治体レベルまでに落としていくのが良い。彼らはどこにお金を使うべきかよく知っているので、震災復興の鉄則というのは基本的に現場の声を聞く。
ここでやらなければいけないのは、財源的なことでいかにお金を出していくこと。その意味で他のところで増税するという話は一回おいて、税金というのは基本的に恒常的入ってくるものに対して、恒常的にどう手当てするかという発想なので、震災復興みたいに一時的なものが入ってきたときにどう手当てするのかというのは、普通は税金を使わないものでいい。借金、国債でいい。これは100年に一回の危機なら端的に言って100年で返せばいいと言って構わない。税金というのはあり得ない、理屈に立たない。

(若田部)復興に関しては、つくったものが残っていくことになるので、将来世代のツケということにはならない。復興の話と他の議論は分けたほうがよくて、その意味で言うとこれは赤字国債ではなく建設国債であるというのが一つの考え。
もう一つは、財源ということで常に税金をとるということを考えがちですけど、経済が成長して、復興していくと自然増収がやってくる。これが一番大きな財源なので、もちろん税金をとるということは全く否定はしないが今の段階では理屈にあっていない。

(若田部)財政が破綻するという危険性があまりにも誇張されているというのが私のイメージ。900兆円の粗債務もあるが、日本は資産も持っている。それと差し引きで考えなければいけないのがひとつ。
それともう一つは、どうして我々がこういう状況に陥ったのかと考えると、基本的にはデフレが続いて名目GDPが伸び悩んで税収が落ち込んでいたところで、社会保障関係費を中心としたところの政府の歳出が非常に増え続けたというところがある。経済成長をアテにするなと言うが、それがないと財政の再建と言っても他のところを言っても不可能。私はデフレの下で増税して成功した国を見たことない。

(若田部)基本は税をとってはいけない。これは合理的ではない、なおかつ被災者にもかかるので不公平。番号制がないところでそういう事は出来ない。そして危険。ここでさらに需要を落ち込ませる危険がある。97年を思い出して欲しいが、復興のためにお金が出てくるとしても、税金をとることで二次災害が経済的に起きる可能性がある。

→なお、この日曜討論は、NHKニュースでは以下のように報道されています。

経済財政相 復興債償還財源明示を
5月22日 11時55分 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110522/k10013035891000.html
与謝野経済財政担当大臣は、NHKの日曜討論で、東日本大震災の復興のために国債を追加発行する場合は、償還に必要な財源の裏付けを明確にすべきだという認識を示しました。

この中で、与謝野経済財政担当大臣は「震災の復興には、今後10兆円から15兆円の金がいる。震災のために国債を出せというのは理解できるが、むやみやたらに借金をしていいということではない。復興のために復興債を出すとすれば、何年で、どういった財源で返すということを示すのが、日本の財政に対する信認を維持するために大事だ」と述べました。また、与謝野大臣は、社会保障と税の一体改革に関連して「年金も医療も介護も必要な費用が増える要素しかない。むだが発生しないような効率化をしなければならない。それは、弱者の切り捨てとは関係ない」と述べ、来月初めにもまとめる社会保障改革案には、必要な人を重点的に支えられるよう、制度の効率化を盛り込む考えを示しました。一方、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う損害賠償で、東京電力の賠償金の支払いを支援する前提として、東京電力の取り引き金融機関が債権放棄をすべきだという意見が、政府内で出ていることについて、与謝野大臣は「金融機関の善意や良識に頼って賠償スキームを作るというのは甘い。法的根拠、予算措置、そして東電の合意を取り付けてスキームは発動されるべきで、人の善意に期待して物事を進めるのは無責任だ」と述べました。