NHKスペシャル 日米安保50年を観る | 加納有輝彦

NHKスペシャル 日米安保50年を観る

 NHKスペシャル、シリーズ、日米安保50年の第4回「日本の未来をどう守るのか」の討論を観た。
司会は国谷裕子キャスター。

パネラーは以下の5人だった。

○福山哲郎  内閣官房副長官

○寺島実郎  日本総合研究所理事長 

○田中均   日本総研国際戦略研究所理事長

○添谷芳秀  慶應義塾大学東アジア研究所所長

○豊下楢彦  関西学院大学法学部教授

 シリーズを全部見ていないが、今回の討論からも印象として、NHK特有の論理の押しつけを強く感じた。
 いつものことだが、世論調査の設問そのものにすでに誘導がある。
7割以上の国民が、日米安保の役割を評価しているとしたものの、
NHKは、日米安保の存在により、アメリカの世界戦略に日本が巻き込まれ、日本の自主外交の妨げになっていると明らかに調査を誘導していた。

 NHKの論理は、日米安保が当初より、日本側は基地を提供する義務を負うという条約の文言は一切変わっていないにもかかわらず、50年を経て「アメリカは日本のために血を流す、日本はアメリカのために血を流す」同盟関係に意図的に変えられ、いまや極東という範囲を超え、グローバルな紛争解決に、日米共闘して戦う事が期待されている。
 このように日米安保は、日米同盟に変節し、アメリカに従属し、日本はアメリカの世界戦略に組み込まれたという図式を設定し、主張する。
北朝鮮、中国の脅威の中、日米安保の役割を認めながらも、このような従属関係から脱皮し、いかに日本外交の自主性を回復させるか?また、沖縄に集中する基地問題をどうするか?
 さらに、日米という二国間(バイ)での安全保障でなく、ひろくアジアにおける多国間(マルチ)安全保障という新しい体制を模索すべきではないか?という。

 一見、ごもっともな意見に感じられるが、実は、アメリカのいいなりになることはいけない、なんでもかんでもアメリカのやることはいけないという「嫌米思想」が底流に存在している。
 アメリカの従属から脱皮し、東アジア共同体のようなアジアを意識した方向性を強く意識している。

 このようなNHKの論理設定に従って、司会の国谷キャスターも討論を誘導しようとしていた。

今回、面白かったのは、こうした国谷キャスターの誘導に、田中均氏が再三にわたって「そのような前提(嫌米思想)から論を立てるのはおかしい。あくまでも日本にとって、それが国益になっているか否かを考えるのが筋・・・。」

 田中氏に関しては、拉致問題に際して、その手法が売国的であったと非難を浴びた人物だが、今回の討論に関しては、非常にわかりやすく、NHKの洗脳(嫌米思想)を指摘し抵抗した姿勢は好感を持てた。
 それにしても、国谷キャスターは、クローズアップ現代等で知的キャスターとして一定の好感を持っていたが、今回の討論における誘導する姿は、左巻きNHKの走狗に堕落した観があり残念であった。

 
 このスペシャル(第3回)で、鳩山元首相のコメントを見たときには吹き出してしまった。こんないい加減な政治家、日米安保に傷をつけ、日本の国益を著しく貶めた政治家が、いかにも有識者然としてコメントしている。しかもその内容たるや、反省の弁は一切なく、相変わらず「嫌米」をによわすコメント。天下の無責任男にコメントを求めるNHKの節操のなさ。しかも、鳩山外交をミスリードした戦犯の一人かもしれない寺島実郎氏がパネラーで出演している。
 NHKの左巻き具合が病的であること、いや確信犯なんであろうが、ほんと情けない限りだ。暗澹たる気持ちになる。

 番組の討論で、さかんに外交における自主性が云われていた。それはアメリカへの従属のアンチテーゼであるのだが、この論を突き詰めれば「憲法問題」に行きつく。しかし、誰もそれを云わない。

 中国の尖閣問題等に関しても、豊下楢彦氏などは、沖縄の(日本の)「拒絶性」の有用であることの再発見になるのではないかと、わけのわからない事を云う始末。拒絶性とは、「非核三原則」「武器輸出三原則」のようなおそらく平和憲法から派生する施策の性格のことを言っているのだろう。

 拒絶性の有用であることが確認され、沖縄を基地の沖縄から、まるごと平和の沖縄というメッセージの発信基地にする、このような発想の転換をすべきだという。

 意見を自由に発言するのはいい。しかし、尖閣問題は、たとえば石垣島の漁師さんが漁に出ることができない。安全が保障されない、、このような現実の問題なのである。国民の生命、安全が保障されないという現実の問題なのだ。くだらない学者の空論、鳩山のような無責任な政治家の空論が、いかに国益を害するか。

 このような討論も、現実に石垣島の漁師さんたちが、安心して漁に出られるようにするには、どのように日本の安全保障をするべきかと、テーマを現実的に絞るべきだ。

 すべては、日本人の甘え。

 いざというときは、アメリカが助けてくれるだろう。
 平和憲法のいうところの、日本を除く「諸国民」は平和を愛している・・・
 日本国民は彼らに「安全と生存」をゆだねればよい・・・
 中国が攻めてくるわけがない。北朝鮮が攻めてくるわけがない・・・ 

 すべては、われわれの甘えが問題であると本日のNHKの空論(討論)を観て深く嘆息した。


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