犬 | ONZA★HEAVEN

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小澤事務所オフィシャルBLOG

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私に詩を教えてくれたのは

粉屋の一匹の老いぼれ犬だ。

尾を振って泥棒にでも首をすり寄せてくる

やくざな老いぼれ犬だった ピンキーは。


ワラ屑をあめ玉のようにしゃぶりながら

私は彼を呼んだ

のろのろと尾を振ってピンキーは

あめ玉をもらおうと近づいた

すばやくピンキーの口にワラ屑を入れてやった

モグモグとワラ屑を噛み 噛みながら

彼は あの老いぼれ犬のピンキーは

ふしぎそうに 私を見上げた

そして あゝ神よ 彼は恥ずかしそうにまばたきした

老いぼれ犬の あのはにかみをたたえたまばたきを


私は十歳だった

粉屋の物置の裏で

涙が出た。


天野 忠



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