こんな誕生日なんて初めて。



余震の続く中、原発の危機も聞こえ、

朝から2時間待ちでガソリンを入れ、

家の壊れた屋根にあがってブルーシートをかけ、

籾を精米機にかけて白米にし、

こうしていつも行っていたラーメン屋で

ラーメンと餃子ライスを食べている。



当たり前か。

こんな大地震・津波・原発災害の掛け算なんて

映画の話でしかなかった。



こうしてよく食べていたラーメンを

食べていると

とてもホッとすると同時に



今、福島原発で命懸けで

僕らのために作業をしている方がいるという事実や

東北の被災地の方々が精神的にも肉体的にも

そして環境的にも困難な状況にいるという事実を



どこかリアリティなく

無意識に意識の外へと追いやっていこうとしている

ことに気づく。




そう、そんなこと考えずに

今までみたいに

そんなことないかのように

ただいつものように

ラーメンをホフホフしたいのだ。



日常に埋没すれば

こんな現実は映画のように

なってしまうから。




2泊3日の避難所生活、

そして自宅に戻ってからは

情報収集、

そんな中で限られた睡眠時間の日々。



余震、原発、

刻一刻と変化する状況、

選択できるオプションの担保、

情報の信頼性の判断、

リスクがある限り

自分にできることを行動し続けること、

その糸のような一筋の道の模索。



このアツアツのラーメンのスープが

今日の冷えた身体を内側から

ジンジン温めてくれる。




生きている。


そう、生きている。


まだ生きているんだ。



今にも泣き出しそうな空と

今にも泣き出しそうな僕。

この雨だけには打たれちゃいけないんだろ?



いろんな感情が自分の中に渦巻いている。

この黒い空のように。




でも


だけど


さっき自宅に戻って

コーヒを入れて飲んだんだ。



そしたらさ、

そしたらさ、


大丈夫、

きっとうまくいく、

必ずうまくいく


って本当に心から

ジワァ~ンって湧いてきたんだ。



絶対絶対

この先へと進むんだ。

この先へと一緒に進もう。

このぐちゃぐちゃした心、記憶、

このすべてを抱き締めて。



ひとりぼっちの

Happy Birthday to オレ

生み育ててくれて、

そして生きさせてくれて

ありがとう。

オレを抱きしめてくれた

すべての人、すべての街、

すべての世界、すべての出来事に。