多読書評ブロガーいち押し映画評!?


石井です。


Facebookでたまたまこの映画の林弘樹監督より、「私も本を年間1000冊読みます」というメッセージと共に頂いていたのを見て、私自身林さんの活動のことはその当初知らなかったのですが、面白い活動をしている人だと思い、一度お話聞かせてくださいというメッセージをFacebookで送ったその日に、今回林さんと一緒に対談をされた木戸寛孝さんのメルマガでこのイベントのことを知ったという経緯で参加したイベントです。


ご縁て面白いなと思うことが多いこの頃です。


最初は、映画は岐阜県の恵那市で6年がかりで制作されたものということで、何か地域復興のメッセージ映画のようなものかな位のイメージしか持っていなくて、正直その後のトークショーの方に期待しての参加でした。


しかし、実際「ふるさとがえり」という映画を観てみると、都合4,5回は泣いてしまう程のすごい映画でした。泣いたというのも、悲しかったり、かわいそうだから泣くというのではなく、胸から熱いものが込み上げてきて泣くという類の涙です。


途中泣いて損したと思う場面もあって、それも作り手の術中にハマッた感があったり、くやしい思いもしましたが、意表をつくラストの展開も含めて、映画としての完成度の高さに驚かされました。


ざっと映画の概要をというと、映画監督を志して中学生からふるさとを出て上京していた主人公ケンジが、ガンの手術をした母親の住むふるさとに戻ってきたところから話は始まります。そして、過去の亀の子団という幼馴染みのエピソードがフラッシュバックしながら、ふるさとで成長した亀の子団のメンバーとの消防団の活動がメインにつづられていきます。


ネタばれになるので多くは書けませんが、戦争、戦い、セックス、善悪のようなハリウッド映画にありがちな分かりやすい単純な構図はなく、「生きる」ということを考える上での様々なテーマが一本筋の入ったストーリーの中に織り込まれています。


トークショーの中で、木戸さんは映画の主題を「葛藤の中で生きる」だと断言していたのに対して、監督の林さんは、「これだということを監督としては言い切れるべきなのが、そういうことが現時点では出来ないのがこの映画だ」ということを言われていたことが印象的でした。


初めはこの対談冒頭のやり取りを聞いて、講演家の木戸さんと比較して林さんは口下手な人なのかな位の理解だったのですが、トークショーの最後に参加者全員からの様々な感想を聞いて、そして、自分の中に湧き上がってきたものを感じながら、この映画は観る人の人生の歩みに応じて様々なものを見せてくれる虹色の映画だなと納得しました。


最後に参加者全員で感想をシェアしあったのですが、ふるさとを持つ人は、世界で活躍する自分の気負いを反省して「ふるさとを守っている人を改めて見直したい」と思った人だったり、東京に出てきている自分と照らし合わせて「ふるさとを捨てろ」という和尚の言葉に深く共感した方だったり、自分の境遇に照らして心に引っかかる何かがあったようです。


私の場合は、東京生まれ東京育ちで祖母祖父も荻窪、横浜といういわゆる地方の「田舎」がない身として、ふるさとって一体どんなものなのか知りたいという思いを持っていたのですが、映画で描かれた情景自体をそのまますっと受け入れることが出来たことが第一印象としては意外でした。


ただし、ふるさとを持っている人の感想と比較すると、すっと違和感なく受け入れられてしまうこと自体が、ふるさとということに対しての実感が持てていないということなのかと思います。


同時に、何かそういうふるさとというものの実感がないからこそ、このブログや私自身の大きなテーマである人間探求だとか、U理論勉強会の運営や、自己探求型ブランディング研究会のような場所を主催して、自分の根っこ探しのような活動をひたすらすることができることに繋がっている気がします。


以上映画とトークショーの感想でしたが、以下、トークショーにおける抜書きまとめをお送りします。


今日の抜書きまとめの3ポイントは、以下です。


・映画作りで出来ることは自分のベクトルを深く掘っていくことだけ


・葛藤こそが物語の根源であり、パワーの源。本質はゆらぎの中にある


・揺れれば揺れるほど、その過程で中心が見えてくる


以下「ふるさとがえり」の林弘樹監督と木戸寛孝さんのトークショーの抜書きまとめ全文です。


■林弘樹監督曰く


この作品はどんな物語かと一言で言えない


色んな物語のピースが合わさって出来た


こういう物語と言い切れないところがもどかしい


■木戸寛孝氏曰く


生きている意味ってなに?


2つの対立項がせめぎ合ったものの中に、大切なものがある


自分の選択と行動で世界を切り開く


志が自分の物語の中心にある「生きる」という世界と「生かされている」世界


生態系も含む全体の部分の関係性の中で自分が生かされているという思い


どちらも重要


志を発動する自分と、生かされる自分と、両方がきちんとなければ本当に生きるとはいえない


もう一つ「死」


死を持って相対化されるものがある


生命として存在している以上、過去に時間は戻せないし、常に変化にさらされていて、最後に死がある


流されていく日常の中で自分の中であるリアリティとは何か


原点回帰していったときに本当に拠り所になるものは何なのか?


言葉なのかコトなのか家族なのか場所なのか


善悪を超えて人間が成長していくプロセスが物語


両方のリアリティが重要


死というものにさらされたときに生きることが見えてくる


ただのふるさと賛歌ではない


■林弘樹監督曰く


医者を目指しながら、映画監督になった


膵臓の腫瘍で出てこれないかもしれないという事態があり、映画ができるかどうかということも危ぶまれることもあった


映画作りとは、自分のベクトルの糸を辿って、深く掘っていくしかやれることはない


その過程で試されていく出来事が起きる


■木戸寛孝氏曰く


映画の核にあるものは、両極にあるものでもない


映画の核は、自己実現に悩む物語でもない


自己実現のために悩んで心が癒されたいというものでもない


思いやりとか絆とか、家族やパートナーシップも大切だけど、一方で、自分の人生の道を歩みたいと思うこと


一番重要なのは、その間で葛藤していく人間そのもの


自由規約と社会規約の両方が必要


葛藤の中にこそ、本当の意味での自分の存在をかけた葛藤の中にこそ、真の人間のリアリティのある物語がある


意味の回復や人間のリアリティがどこにあるのか


本当に貴方は葛藤していますか?


葛藤をさけて生きていることの中に社会の問題の原因がある


■林弘樹監督曰く


6年半やってきて、今年の4月に誕生した意味を相当考える


作り手と見る人と、広がっていく過程でどう映画が育っていくのかということを考えている


10年地域の中で映画を撮っているなかで、リアリティがなくて意味が感じられないという感覚が多くある


■参加者感想


林ムービーのスタイル


製作とかストーリーの面白さを最初からカットアウトして作っていくのは、林ムービーのスタイル


抽象的な幻影を追っかけてもリアリティがないのはその通り


出会った人が何をしたいのかということが大切


映画というのは、今の気持ちをまとめるいいメディア


本当に子供達に必要な体験って何だろうか?など色々なテーマがある


■林弘樹監督曰く


かっこいい大人達がいないといけない


ふるさと竜宮伝説のような、一人の少年を勇気付けるために、町中が一緒になってイベントを作る


ファンタジーを使って色んな人の心に化学反応が起きることを信じている


■木戸寛孝氏曰く


人生にとってのリアリティ


都会のリアルな生活こそが空想的になっていて、一体何がリアリティなのだろうということがわからなくなっている


ふるさとに帰ることがゴールではない


後段、またふるさとを捨てて東京へ戻る時点で、自分の意志、志は自立した個の中にあり、それがふるさとや社会の立脚したものであったとき、初めてリアリティが見えてくる


裏テーマとして貫かれているテーマ「死」


坊さんは「ふるさとを捨てろ」と言う


誰と生きるのか、誰を愛するのか?


答えは探したり見つけたりというものではない


答えなんてない


答えは自分で創るもの


主体性を発動しながら


他者との関係性の中で一つの完結がある


関係性とか絆は大切


最後に求めているのは


愛と平和と関係性


調和


関係性をつくりあげていくこと


個人が自立した個にならなければいけない


そうでなければ、関係性とか絆が依存になってしまう


日本における関係性


「和」そして同時に「和して同ぜず」という言葉もある


葛藤の中で自分のバランスを作っていくことがリアリティ


アラフォー世代の女性の自己実現 家庭をないがしろにした


自由も調和も自己実現も関係性もどれも大切


どっちかを頑張ってみても、そこに答えはない


要領よく生きようなどというものもない


葛藤の中で、それに正面から向き合う覚悟が出来たときに、生きているという感覚が湧き上がって来るのではないか


■林弘樹監督曰く


カンジは、感情をあまり表には出さないが、常に葛藤して思いっきり揺れている人間


そして、揺れれば揺れるほど、その過程で中心が見えてくる


自己実現か関係性かという二択ではなく、両方の大切


■木戸寛孝氏曰く


本質はゆらぎの中にある


自分達の人生を安心とか安定とか、このゆらぎをいかに回避していくかということが自分にとっての自由やハピネスではないかという間違った置き換えが起きていないか


葛藤こそが物語の根源であり、パワーの源


関係性の中に埋没していくときにも自分の夢を持つということ


都会という装置


環境の変化を最小限に抑えて、ゆらぎを抑えていくことが文明の進化ということになってしまってはいないか


身体は安定したかもしれないが、より良い人生を生きるというのはどういうことなのか


【関連イベント】


「ふるさとがえり」公式サイト
http://hurusatogaeri.com/


今後も全国公開に先駆けて、トークショーも交えたイベントでこの映画を先駆けてみることが出来る機会がいくつかあるようです。是非オススメします。


「ふるさとがえり」上映スケジュール
https://sites.google.com/site/hurusatogatari/hurusatogaeri


【関連エントリー】


イベントレポート

「降りてゆく生き方」プレ上映会
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10450260277.html


フューチャーセンターウィーク「コミュニティについての対話」
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10897719698.html


書評記事

「持続可能な社会をめざす8人のライフスタイル」
http://ameblo.jp/satokumi1718/entry-10919276930.html


【編集後記】


最近活動テーマに本当にコミュニティという単語に突き当たることが多く、今回もイベント開始前に野田さんからコミュニティについての話を伺っていました。


終了後、木戸寛孝さんに、話の中で、コピペ社会は駄目だと言われ、私のブログの抜書きまとめのことを言われたのかとヒヤヒヤしつつ、抜書きまとめのない記事も書いていこうかというきっかけをもらった気がしています。


今回家庭と課外活動の狭間での葛藤が承認された気がしたパパ多読書評ブロガーの石井でした。


本日も最後までお読みいただき有難うございました。



【お知らせ】

今度北海道から堀内正巳さんという方を招いて口コミを起こすメッセージと感動プロフィールというテーマで濃い勉強会をやる予定です。


7.16 口コミメッセージ&感動プロフィール作成グループコンサルティング

http://kokucheese.com/event/index/12709/


よろしければちょっとのぞいてみてください。



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