心揺さぶる故郷の力 ~京町音頭流し「宵乃舞」~ | おいしいは、いのちのごちそう 

心揺さぶる故郷の力 ~京町音頭流し「宵乃舞」~

前回に引き続き、「佐渡の四季+α」から素敵なお写真を拝借します。

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前回の記事で、大野亀のトビシマカンゾウと夕陽のことを書きましたが
さらにもうひとつ、この時期に佐渡をご案内するなら、絶対に外せない「見どころ」があるんです。

「京町音頭流し 宵乃舞(よいのまい)」です。

上のお写真は、去る6月4、5日に開催された、第10回「宵乃舞」のワンシーンです。

どれも素敵な写真だったので、1枚だけを選ばせていただくのはしのびない気持ちで散々迷いました。
どうぞ下記をクリックして、他のお写真もご覧ください。

→ 佐渡の四季+α


実は私が数年前まで佐渡で住んでいた家は、ここから歩いてほんの数分のところにありました。

もう、ご近所もご近所。
この写真を見たら、あまりに懐かしくて、臨場感たっぷりなので、
なんだかおかしな錯覚にとらわれて、少なからずホームシックにかかりました。

しゅん。。。


このお祭り自体も、ものすご~く情緒があって、私は大好きなんですが、
お祭りの後、すっかりお客さんが引いた町並みを、ほのかに揺らめく燈籠に照らされながら
からんころんと下駄を鳴らして浴衣で歩く、あの帰り道の満ち足りた静寂も
お祭り以上に好きと言ってもいいほど好きでした。

外から大勢訪れてくださったお客さんが、お祭りの後、み~んなそれぞれの場所に帰ってしまっても
私はこの町に住んでいて、この風情ある通りの坂の上に家があって、私の帰る場所はそこだなんて、
なんとも言えず嬉しくて、誇らしかった。

「京町通り」
江戸時代、佐渡奉行所と佐渡金山を結ぶメインストリートとしてにぎわったその通りの名前を、
その音の響きを、当時の名残を残す風情ある町並みを、私はとても気に入っていました。


ちなみに、佐渡に住んでいた頃、
私はこのお祭りを「見る側」ではなく、「踊る側」でした。

源平軍談を謡う「相川音頭」の三味線と鼓の生演奏に導かれて、
佐渡金山から奉行所までの道のりを、ゆっくりゆっくりと踊り子が流していくのですが、
見る方もそうだったかもしれませんが、踊る方としても、それはもう鳥肌ものの感動でした。

どこかに特別にしつらえられた無機質なステージではなくて、
長い歴史と人の暮らしの温もりが息づく、本物の生きた町並みがそのまま舞台になるなんて。

何世紀にもわたって、脈々と受け継がれてきた町のDNA、体温、血液の流れみたいなものの力が
とても深く、自然に胸に響いてきて、何かと共鳴していくような感覚になります。

江戸時代をこの町で生きた人たちも、かつての繁華街が三味の音色でにぎわうこの夜を
きっと空の上から懐かしんで、喜んでいるだろうなぁ、なんて
古の人々とのつながりにまで、思わず思いを馳せたくなるような。

私が佐渡を、そして相川を愛しているという、ひいき目をまったく抜きにしても、
ぜひぜひおすすめしたいと思うお祭りのひとつです。



☆☆☆

そして、ふるさとの偉大さというのは、こういうところにも発揮されるものです。

3.11の大震災前、新たな佐渡ご当地スイーツの創造を目指して
私が夢中になって試作をしていたイカスミスイーツなるものがあったのですが
震災ですっかりショックを受け、改良の試作が完全にストップしてしまっていました。

ですが・・・

イカスミスイーツの完成を待ち望む声が島内各地から上がっているということを先日小耳にはさみ、
(え?待ち望んでない!?(笑))
私の創作意欲がついに完全復活を遂げました。

3月当時、味に関しては試食していただいた方全員から高評価を頂いていたものの、
「見た目がちょっと・・・ねぇ。。。」と言葉を濁されてしまう状態だったのですが(笑)
実は、あの直後に、これは!と思われる新たな方策を思いついていたのです。

さらに、米粉を使ってくれたらなおよし!という具体的な要望もあり(笑)
チャレンジ精神に完全に火がつきました。

もうコンクリート色のムースという汚名は返上です。
見た目も、味も、さらに洗練された新生イカスミスイーツを、まもなくお目にかけたいと思います。



その上、、、

前回書いた大野亀のトビシマカンゾウのことを思っていたら、
新たな佐渡ご当地スイーツのアイディアがわき上がりました。

肝心のリキュールが手に入ったら、こちらも試作してみたいと思います。