偉大な記録 | 元プロ野球選手がニュースから考えてみる

偉大な記録

中日岩瀬投手がセーブの日本記録を樹立しました。

ホント、凄い記録です。


今朝のNHKニュースでも取り上げていました。


どちらかと言えば、彼は地味な存在ですから、こうやって
取り上げられるのは良かったと思います。


ただ、正直、数字だけ見てもその凄さを理解できる人は少ないと思います。


簡単に言えば、3点差以内の僅差ゲームで、チームを勝利に導いた数が
287個あるわけです。これはあくまで数字だけです。



ただその半面、失敗した試合も数多くあるだろうし、
そのストレスたるものは表現出来ないでしょうね。


「ごめん」では済みませんからね。


本当にチームの運命を左右する仕事です。

その中には、苦節何年の選手の勝ち投手の権利もあるでしょうし、
新人選手の勝ちもあるでしょう。


苦節何年の打者のヒーローが、かかった試合もあるはずです。


彼等の生活権、つまり野球人生のかかった試合を締めなければなりません。


「たかが」ではないんですよね。

これを逃して、チャンスを逃して、そのまま埋もれる選手もいますから。

大袈裟ではなくて、本当に。


ヒーローになれば、その後が乗れますし、例え次回失敗しても

インパクトが残るので、一軍に残れる可能性も出ます。


私の知人で、実績あるクローザ―は常にそのことを気にしていました。
「皆の生活を背負っている気持ちです」と。


だからこそ、普段から、いい加減な格好(服装)や生活態度、練習態度はとれないと。

お手本にならないといけないとチームメイトに認めてもらえない気がしているとね。


彼は本当にストイックな生活をしています。


それだけに失敗が続くと、それこそ犯罪者にもなった心境になるんでしょうね。


逆に遊んで、遊んで、自分を追い込む選手もいました。
朝まで酒を遊んで、その姿を首脳陣や選手に見せることで、
「失敗したら、絶対に文句を言われるからこそ覚悟が出来る」と言うタイプ。


二日酔いで酒の匂いをプンプンさせて、投げるタイプです。

これは昔の時代に多いですね。


でもこれも、逆に言えばそれだけ大変な役割である証拠なんですよね。


絶体絶命で登板して抑える・・・大観衆の前で・・・
そりゃ快感です。寝れませんよ。 遊びでもしなきゃ・・・と考えるのも無理はありません。


しかしこのタイプは今の野球では厳しいかも知れません。


今は野球のレベルが高くなっているし、こんな生活では
身体が持ちません。


それだけに、今回の岩瀬投手の記録って本当に偉大なんです。


もっと彼がその大変さを発信すればいいのですが、それもありません。

本当に謙虚な選手なんでしょう。


しかも、これから試合は続きます。

シーズンは続きます。

彼だって全盛期ではありませんからね。

いつ、どうなるかわかりません。


何度か失敗すれば、祝福してくれたファンからも叩かれるでしょう。


そう言えば、今日の阪神関連ニュースでは、あれだけ「アニキ」と持ち上げられていた金本選手が
非難を受けています。


それが勝負の世界は残酷です。

引退するまで、心から休めることはないんでしょうね。