個人の方がサーベイメーターなどを購入し計測した値を公表したりしています。
「好ましくない2つの反応」について感想を述べておきます。

1.線量計を地面に置いた測定はβ線(電子)も検出している可能性があり設定を間違うと
  見かけ上10倍くらい高く測り間違える様です。γ線とβ線の感度が異なることが原因です。
  絶対値は参考程度に考え相対的に高い場所がないか?
  の判断に使って下さい。


2.β測定ができる機種は「β窓(キャップやフタ)」を外して
  β線も測定すべきと考えます。空間的に分解能の高い
  (きめ細かい)測定が可能になると思います。



そもそも国が「校庭など広い場所の5点で地上1mで
        γ線を計測し平均する」理由を記載します。


①原発からの放射性物質の拡散は基本的には風と降雨などの条件によると思われています。
 飯舘村や福島市への汚染の拡がりは「谷あいを抜けた風と雨、雪」の影響が大きそうです。
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②大雑把には汚染物質の拡がりは以下の式で計算されます。面倒な方は以下の計算はスキップ
 しても大丈夫です。基本的には「足し算」に過ぎませんが、、。
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③高さ方向と横方向の拡がりは正規分布を仮定し分散σ^2は空気の安定度を評価して
 各地点で決定するそうです。大丈夫です、基本的には「足し算」に過ぎませんからw
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④空気の安定度による各々の地点、方向の汚染物質の分散の2乗根はこんな感じだそうです。
 「足し算」ですけど、、w
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⑤例えば1GBqの放射能漏れがあった場合の風下方向の軸上の放射能はこの様な計算結果に
 なるそうです。結局「足し算」なんですが、、、www
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⑥で、これくらいの「放射能の雲」が漂った場合の線量率を換算すると風下軸上では
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⑦で、水平方向の線量率はこんな感じ
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⑧結局、国が想定してきた「緊急時の原子力防災指針」というのはせいぜい、
 ・1GBq(10の9乗)オーダーの放射能漏れが起こったとして、
 ・0.5~1km間隔で、風下数十km×横巾数km程度の緊急線量測定を実施し、
 全体の大まかな流れを掴むことが主眼となっている様です。
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⑨主な核種のγ線は空気中を10m伝播しても殆ど減衰しません。部分的に高い集積が
 あったとしても全体として均されるので「ノイズ」は小さくなります。
 ただ現在起きている事は完全に想定外だと思います。
 1m程度しか飛ばないβ線を指標に空間的に高い場所を見つけ、避ける事が優先されます。
 β線は殆ど皮膚で止まりますが、吸い込むと内部被曝がやっかいな場合があります。
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日頃は「ノイズ」として避けるべき吹きだまりも
 今は「危険地帯」な恐れがあります。

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⑪私から見ると通販で買ったサーベイメーターで「正しく」測ることなど、そもそも
 ムリだと考えます。ですが国や自治体が測ってくれない(想定すらしていない?)
 局所的な危険を避けるのには有用ですし特に100km圏内では活用して欲しいと考えます。
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現状では、
・絶対値が20倍ずれてるとしてもβ窓を開けて地表を相対測定し、
 各個人が危険を避けることを優先すべきと考えます。


・通販で買った線量計で子供やお母さん方が適当に測った値に
 「正確な」絶対値などそもそも期待していません。それに風や雨で
 広域に変動した(する?)放射能汚染をほんの一部、それも一時的
 に「正確に」測定することにむしろ意義は少ないと考えます。

 「β窓を閉めて校庭の真ん中で地上1mで測りましょう」というのは
 公的な測定を(質を下げて)追従しているに過ぎないと思います。

 ド素人の測定でかまいませんので「(相対的に)思いがけず高い場所」
 を発見したら公表すべきと思います。もしも間違っていたら訂正すれば
 いいだけの話です。今更パニックになる人は一部にしかいないと思いますw