【NPO自活研】読売新聞社説についての質問状 | かれんのブログ

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2011年6月14日のNPO自転車活用推進研究会の小林理事長からのメールを転載させてもらいます。


今回は長文です。(重複ご容赦/転送転載はご自由に)


【読売新聞「社説」についての質問状】
去る2011年6月12日(日)の読売新聞に下記のような社説が掲載されました。
誰もが感じている懸念について述べ、自転車利用者に「自覚」を呼びかけており、反対や反論の必要はないが、問題への認識がやや浅いのではないかと感じました。
そこで、下記の質問状を送りました。
NPO自転車活用推進研究会・小林として送ったので、事後になりましたが会員のみなさんにはお知らせいたします。
事前にご相談すべきだったかもしれません。
あるいは所属を伏せて個人名のみで問いかけるべきであったかもしれません。
書き上げてそのまま発信してしまったので、配慮不足を反省することになりました。
その点はお詫びいたします。
私が感じた物足りなさについて、会員各位からのご指導ご叱正をいただければ幸いです。
読売新聞から返答がありましたらご報告いたします。


引用:
【危ない自転車 「車道走行が原則」を忘れずに(6月12日付・読売社説)】
 街を歩いていて、突進して来る自転車にヒヤリとさせられたことがある人は多いだろう。
歩行者のすぐ脇を通過しようとして接触するトラブルも、しばしば目にする。
夜になっても無灯火の自転車は少なくない。
携帯電話をかけながら、あるいはメールをしながら走る自転車も見かける。
歩道でスピードを出したり、しきりにベルを鳴らして歩行者をよけさせたり、は日常的だ。
迷惑至極な「我が物顔」の自転車利用、と言わざるを得ない。
 道路交通法で、自転車は自動車と同じ「車両」の扱いだ。
ところが、歩道も走れるという、あいまいな状態が長らく続いてきた。
2008年改正の道交法は、歩道走行を例外とした。
自転車と歩行者を分けるのが狙いだ。
原則は車道走行で、幹線道路など車道が危ない場合は歩道を走れる。
だが、政府のアンケートによると、4割もの人が「車道走行の原則」を知らない。
法改正の趣旨があまり浸透していない。
もちろん、車道では、自転車も交通弱者だ。
一義的には、車のドライバーに注意義務がある。
それでも信号を無視し、信号待ちの車列の隙間をすり抜ける「危ない自転車」が、事故を招いている。
警察庁の交通事故統計では、自転車関連の事故は全体の約2割とこの10年間、高水準のままだ。
特に歩行者との事故は、昨年が約2800件、一昨年が約2900件にのぼり、10年前の約1800件より
はるかに多い。
 自転車利用者に忘れないでもらいたいのは、事故を起こせば、代償も高くつくということだ。
近年の裁判では、例えば、
自転車通学の高校生が歩行者にぶつかり脊髄損傷の重傷を負わせた事故では6000万円超、
やはり高校生の自転車が歩行者を死亡させた事故では4000万円近くの賠償金支払いが命じられている。
自転車には、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のような制度がない。
賠償が巨額だと支払いは困難で、被害者も賠償を受け取れない。深刻な問題だ。
 任意の保険加入も検討してみてはどうか。
自転車店で点検・整備してもらった際に発行される「TSマーク」にも保険が付く。
安全運転の意識も増すだろう。
健康、環境志向が高まり、自転車利用者が増えた。
東日本大震災後は、交通網の混乱などで増加が加速している。
だが、自転車は時に「凶器」となる。その自覚を利用者に求めたい。
【以上】


小林が送った質問状:
【6月12日の社説「危ない自転車「車道走行が原則」を忘れずに」について】
NPO自転車活用推進研究会・小林成基と申します。
拝読して同感でしたが、物足りなさを感じました。
不足している観点にいくつか思い当たったのでご連絡することにしました。
社説をご執筆された方に下記についてご見解をお示しいただければ幸いです。

1)2008年の道交法改正で歩道走行を例外とした、という記述は誤りです。
  教則の見直しで特記しただけで、自転車の車道走行原則は昭和35年の道交法成立以来変わっていません。
  例外規定を設けてルールを複雑にしてきましたが、法的に歩道走行が「主」であった事実はありません。
  さらに「歩道走行」は禁止されており「徐行」で「歩道通行」が可とされていることをご認識ください。
  この点を訂正または正確に再執筆されるお考えはありませんか。

2)自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)のような制度がないことは事実ですが、前提として車両そのものの
  安全性についての担保措置と交通法規についての国民的理解があって、保険制度は成立するものであり、
  前提について触れないで保険制度について言及するのは不用意と感じます。
  私どものNPO法人では会員に5000万円限度額の賠償保険加入を義務づけておりますが、法律に違反して
  走行していて事故を引き起こした場合と、遵法状態(注意義務違反は逃れられないとは思いますが)で事故
  に巻き込まれながら第二当事者が歩行者であった場合など、判例を待つしかない曖昧さに不安を感じます。
  またTSマークの普及率は、この制度が機能していないことを証明するものであり、根本的な制度設計の
  必要を感じますが、いかがお考えでしょうか。

3)政府のアンケートによると、4割もの人が「車道走行の原則」を知らないことについて、「知らせる努力」
  についての言及がなく、迷惑至極な「我が物顔」の自転車利用についてのみ取り上げているのは、社の説と
  していかがなものかと感じます。
  私たちは過去約11年間、歩道走行や車道の逆走などについて注意し、危険を警告してきましたが、返って
  きた反応のなかには「警察官もやっているのに、一介の市民であるおまえが偉そうに注意するとはなにさま
  のつもりか」というものが少なからずありました。
  新たに自転車を使おうという人々がお手本にすべき警察官の自転車利用実態について、執筆者は一顧だに
  されなかったのでしょうか。
  2009年以降、政府は「自転車安全利用5則」を国民に示し。安全利用を呼びかけています。
  各警察本部のホームページには、必ず「5則」は掲げられています。
  5則のうち、警察官の多くは1と2を無視して、3から始めています。
  しかも、道交法63条の「徐行」「一時停止」規定を守っている例を見ることはきわめて稀です。
  まず、隗より始めよ、と法律の執行者に「手本」を示すよう促すのが、社会の木鐸としての使命ではないで
  しょうか。

ご見解を承りたいと思います。
長文、失礼いたしました。
【以上】