今必要なもの

◯ 陸前高田市で今、必要なものはなにか、ということを現地の人や専門家に聞くと口を揃えるのは、「飲む場所」「カラオケのできるところ」だ。被災地の人は食べ物を与えて寝るところがあればそれでいいだろうというような雰囲気があるそうなのだが、もちろんそれが最低限大事だけれども、切実なのは発散する場所であるというのは行かなければわからない盲点だった。

◯ もちろん今は働く場所がないわけで雇用をどう作るのか、という発想でいろいろ考えていたのだけれども「人はパンのみにて生きるにあらず」で、飲んだり騒いだりするところが必要なのだというのは考えて見れば当たり前なことなのである。

◯ 仮設設店舗でローソンなどが頑張っていてお弁当とかおにぎりなどがあるけれども、外食をできる場所がまったくない。最近、仮設店舗でラーメン屋さんができて、そこはかなりお客様が入っているようだけれども、仮設店舗で構わないけれども、「居酒屋」が欲しいというのが多くの人が語っていることだった。今回はワタミのわたなべ美樹さんの代理の幹部といっしょに回ったのだが、わたなべ美樹さんが参与になってまず皆が強く期待したのは「ワタミ」を作って欲しいということだというのには驚いた。実際にはこの近辺ではもともとワタミは店がなくて、そもそも盛岡にあるくらいだったということだし、わたなべさんが参与になったのはあくまでも復興支援のためでありワタミの店を作るきっかけを作りたいことではまったくない。また震災直後の被災地の人達が今現在切実にのぞんでいるのは外食をする場所であり、飲んで発散する場所であるというのはまさにそれが本業であるワタミの幹部からしても盲点で、架設店舗でもワタミができないかはかなり真剣に考えるべき課題であるかもしれない。

◯ 実際にはそれがワタミである必要はなく、現地で居酒屋をやっていたヤル気のある人達で行われるべきであり、実際にそのような人達はいるようだ。むしろ需要はとてもあるしとにかく居酒屋を切望しているので、仮設店舗の居酒屋を作ったらあっという間に繁盛店ができてすぐに回収をできてしまうだろう。その意味では、ファンドでできるのはそのような意志のある人に仮設で什器備品を用意して売上から回収をしてしまうというようにすれば非常に小投資で即時回収でもできる。そこで小さいけれども雇用をうみ、そこで人が集まって愚痴をいいあったり、なぐさめあったりすれば、それがいつしか前向きな話になり、がんばる起点になるかもしれない。