昨夜のFOMCとバーナンキ発言から見る今後の米国経済 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

昨夜のFOMCとバーナンキ発言から見る今後の米国経済

昨夜の米国の政策金利会合である連邦公開市場委員会(FOMC)が終了し、結果は市場予想通り現在の政策金利(0~0.25%)の維持が決まりました。加えて、追加的量的緩和政策(QE2)は当初予定通り今月末をもってプログラムを終了します。


FRBは今回のリリースの中で今年と来年の米国のGDP成長率予想を引き下げました。
2011年 新2.7%~2.9% 旧3.1%~3.3%
2012年 新3.3%~3.7% 旧3.5%~4.2%


また食品とエネルギーを除くコア・インフレの予想としては
2011年 新1.5%~1.8% 旧1.3%~1.6%

と引き上げています。


さらに失業率に関しては
2011年 新8.6%~8.9% 旧8.4%~8.7%
2012年 新7.8%~8.2% 旧7.6%~7.9%

としています。


FOMC後の記者会見では読売新聞の記者がバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長に対して10年前の日銀批判に対し現在の立場から振り返るとどういった感想を持つか?という趣旨の質問をしました。バーナンキ議長はそれに対して現在の中央銀行総裁の立場になって初めて当時の日銀の苦労が嫌と言うほど理解できると答えました。ただしそのあとに以下の言葉を添えることもバーナンキ氏は忘れていませんでした。


中央銀行の金融政策にはできることと出来ないことがあり、デフレの阻止というのは中央銀行がやる気で取り組めば必ず防げる現象だ。実際、去年デフレ・リスクを感じたときQE2をやったおかげで今は完全にそれから脱却出来できた。この発言の真意は日銀の対応を暗に小馬鹿にしたものと言えるでしょう。つまり、現在の米国経済の状況を鑑みると、米国経済のデフレ回避に成功したのは、バーナンキ議長の手腕であり、同氏が胸を張って自分の功績を主張できる唯一のポイントだからです。そのバーナンキ議長ですが確かにデフレの回避には成功していますが、それ以外の面では当初の目論見から完全に失敗にしつつあると言えるでしょう。


ではここで、そもそもQE2の政策の効果を考えてみたいと思います。下馬評では、その効果に対する評価は分かれますが、結果的には、米経済に必要な特効性もなかった一方で、QE2に批判的だった人々が描いていた弊害をもたらすこともなかったといえるでしょう。


FRBは2010年に同プログラムを開始した際、非常に低い水準のインフレが日本で起きたようなデフレに移行するのを防ぐことを期待していました。FRBはまた、長期金利を低く抑え、株式や社債、その他の金融資産の価格を押し上げることで、経済を刺激しようとしました。そして、それによって雇用の成長がもたらされると主張していました。確かに、90年代の日銀が苦労したデフレの懸念を払拭することには成功したといえるでしょう。しかし、経済成長は現在、国債買い入れプログラムの開始当時に比べて鈍化しており、雇用市場は一時的に好転したものの、その後は失速している事は最近の各種経済指標が裏付けています。さらに、同プログラムが金融市場に与えた効果はプラスとマイナスが入り混じったものといえるでしょう。株価が上昇する一方で社債の利回りが低下したことで、成長は促されました。しかし、その代償として石油や穀物、その他の商品価格が急騰し、消費者の生活を大いに圧迫しましました。


同プログラムのもう一つの効果は、推測ですがドル安の継続も含まれているものと考えられます。もっともFRB自体はそれを目標として明言したことはありません。米国経済について考えた場合、ドル安にはプラス面とマイナス面があります。つまり、米国製品が世界市場で割安になるため、輸出が増加する一方で、輸入品の価格が上昇し、インフレが進行する事になります。ドル安は既にFRBの量的緩和策の開始前から見られていましたが、開始後にさらに進行しました。


結果から見るとQE2は本来期待された、雇用の増加が遅々として改善させる事が出来ず、また景気そのものも、ここへきて陰りが見え始めています。その一方でインフレ率はFRBのターゲットに近い2%前後で推移しているのでQE3を発動することは出来ません。そうなると、現在のFF金利は、すでにゼロのため、これ以上は下げられないませんし、QE3も発動できません。その上、現在もFRBが在庫にとして抱えている証券類はそのままFRBのバランスシートに乗っかったままです。それらが意味する事は、現在のFRBは全く見動きが出来ない状態になっていると言えます。これでバーナンキ議長の考え通り今年下半期に景気が加速しなければ、米国経済は非常に辛い状況に陥る可能性を秘めています。その理由として、景気を刺激するには政府の財政政策と中央銀行の金融政策の2つがありますが、上述のように、現在のFRBは金融政策のタマを打ちつくしている状況です。


では連邦政府の財政政策は、というと既に巨額の債務を抱え、調達のための原資となる米国債の発行も上限にタッチしかけている状況ですので、新たな財政政策と言うのは現実的に非常に厳しい状況ですし、経済に大きな刺激を与えるような規模となると、とんでもない話です。つまり、今年の下期に米国経済に陰りが出ても、もはや打つ手立てがないということになり、その点が先程「辛い」と表現した理由になります。




Ken



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