ネパール式暗記教育の弊害とは (その1) | ネパール悲喜こもごも

ネパール式暗記教育の弊害とは (その1)

ちょっとお堅いタイトルになったけど、内容もお堅いと思う・・・(すみません)。

単刀直入に言おう。
ネパールの教育スタイルは、暗記方式である。

先生が言う→生徒が真似る
先生が書く→生徒が真似る
先生が解く→生徒が真似る
・・・・・・・・・

というように、先生が教えたことをそのまんま一字一句たがわずに言えたり書けたりすることが教育の目標なのである。
内容を理解できているかどうかなど、大した問題ではない。
教科書や先生に間違いがあっても、それをそのままコピーできればOK。
逆に、先生の間違いを指摘しようものなら、その子は白い目で見られ、ダメな子の烙印を押される。

極端な話をしているつもりはない。
いろんな人の話を見聞きしたり、私自身が体験してきたことを基に結論づけるならば、上に書いたことはほぼ間違いないことだと確信を持っている。

ちょっと古い話になるが・・・

私の長男まっくんが小学一年生の時に通っていた現地校では、理科の授業で「宇宙」を扱っていた。(言語は英語)
彼が学期末に持ち帰ったスケッチブックを見て私の目は点になった。
太陽を中心に、水金地火木・・・の9つの惑星とその周りを回る衛星の図を彼が描いていたのである。
別の画用紙には、様々な種類の銀河(渦巻き状銀河、棒状銀河など)などの絵が説明と共に書かれてあった。

「まっくん、・・・・これ何書いているかわかる?」
「うん、ギャラクシーだよ。」
「ギャラクシーって、なんだかわかる?」
「・・・・わからない。」
「・・・・・だよね。」

小学校一年生が宇宙に関して学校で習うことって、日本ではせいぜい、「さあ夜の空を見上げてみよう。大きい星や小さい星・・・」くらいなもんじゃないか。

まっくんは、ちゃんとそれぞれの銀河の説明文を一字一句間違わずに書けたので、先生に褒められ得意げであった。

ふふふ、さすがは我が息子・・・・・・・

じゃなーいっ!!
ぜんっぜん年齢に合っとらんだろう!!


どうにも納得いかない私は、そのことで理科の先生に直談判をしに行ったこともあった。
まあ、後になってみれば、これこそがまさにネパール的教育であることが判明したのであるが・・・。

話を元に戻す。
この「そのまんまコピー」方式教育を受けた人の恐るべき得意技がある。
それは、電話番号などの暗記能力である。
彼らは一度かけた電話、いや、一度もかけたことのない電話でも驚くべき能力で記憶している。
私に一度も電話を掛けたことのないある女性が、私の電話番号をすらすら言ったときには驚嘆したものだ。
私なんか、携帯電話に覚えさせているだけなので、いまだに家の電話番号が言えない。(涙)
ただネパール人は記憶力に頼りすぎて、間違い電話もやたら多いけど。

ちなみに、数年前の新聞にこんな記事があった。
ギネスが認定している様々なカテゴリーの世界記録保持者の中にネパール人が数名いるが、その中の一人は世界一の記憶力の持ち主として認定を受けているという。
(記憶力の弱い私の記憶だから、間違っているかも)

とにかくこの教育のおかげで、暗記する能力にかけては、ネパール人は世界屈指と言えるのではないだろうか。(続く)