世界の原発事業~原発業界の台風の目『中国』 | マーケットの今を掴め!FX・CFD東岳ライブ情報

世界の原発事業~原発業界の台風の目『中国』

4連続コラム、最終日の本日は昨日までの3つのコラムだと、一見原発事業は欧米企業の専売特許のような印象を与えがちですが、三菱重工は単体でも原発事業に乗り出していますし、日本製鋼所という株の呼び名でアームと呼ばれる企業は世界の原発市場の9割以上を抑えているとんでもない技術力を有する日本企業があります。同社がアームと呼ばれるようになった由来は、明治政府の富国強兵策の一環で、英国の製鉄メーカーであるアームストロング社との合弁会社として始まったため、同社は別名アームと呼ばれるようになりました。ちなみにその後の日本の鉄鋼メーカーの主要プレーヤーの一角になり、戦後は特殊製鋼の分野で圧倒的なポジションに立ち、先程、世界の原発市場の9割と言いましたが、それは原発の中の炉心の内側の高熱の炉心の中で溶けない特殊な製鉄を作ることができるという、ある意味オンリーワンの技術を有している事が圧倒的なシェアになっていると言えます。


話が逸れたので、本題に戻しますが、日本やドイツのニュースだけ見ると世界の潮流は一見脱原発のように思えますが、新興国や米・仏などは依然として原発推進路線に進んでいます。その中で台風の目となりそうなのが中国の動向です。


現在、米国、フランス、ロシアのメーカーから原子炉を輸入している中国ですが、中国は現在の原発輸入国からの脱却を目指し国産原子炉の開発・生産に向かって邁進しています。2007年3月、海外技術を導入して国産の第3世代炉を開発することを望んでいた中国は、アレバではなく、WHと契約を結びました。WHが53億ドルでAP1000の技術移転に合意したからです。


一方、技術移転に消極的だったという理由で苦杯を喫したアレバも、手をこまねいていたわけではありません。WHとの受注競争に敗れて以降、中国広東原子力発電グループへの技術移転に同意し、台山原発などへEPRを供給する契約を相次いで締結するなど、WHを猛追しています。


中国がこの先、第3世代炉の輸出ビジネスでアレバやWHと肩を並べるまでになる可能性は他業界での中国企業の成長力から考えて大いにありうることだと思います。中国が既にEPRを含む原子炉をアレバの3割引きの価格で請け負えると強気の発言をしています。中国は南アフリカ、アルゼンチン、サウジアラビアに対し、「国産の第3世代」とうたうCNP1000の売り込みに乗り出しているそうです。価格競争力を備えた中国の次世代原子炉が世界市場に参入すれば、既存のサプライヤーにとって新たな脅威となりかねません。


中国は2013年に原発輸出を目指していましたが、福島原発の件で、若干計画を遅らせるもようですが、新興国を中心に大きく経済成長を続ける国々にとって電力の安定的な確保は緊急を要する課題ですので、現在は逆風ですが、時が経てば改めて原発事業は見直しの時期が来るものと考えられます。




Ken



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