大河ドラマ 江〜姫たちの戦国 第18回「恋しくて」感想 | 北マングスのラフスケッチ帳

大河ドラマ 江〜姫たちの戦国 第18回「恋しくて」感想

「恋しくて」...これぞ『姫たちの』戦国というテーマ名ですね。
戦のシーンはざっくりカットしても心模様は繊細に描いていました。
戦国武将のような潔い田渕さんの脚本に今回も感服しました。
江イングマイウェイですよ、久美子!
 
 さて、テレビドラマの恋愛ドラマが不調と言われて久しいけれど
時代をメールも携帯も無い戦国時代ならばばまだまだ面白く描かれるのだと感じた。
「会う(直接言葉を交わす)」という事と「文(ふみ)」が恋愛の手段だった時代。
つい100年くらいまではそうだったんだと思うと不思議。
 いまは若者の恋愛力低下が問題視され始めてますものね。
大げさに言うと、人類として生物的に大問題だと思います...。

 今回は三姉妹の「初恋の始まり」の話。
初恋が他の恋と違うのは、恋という未知の感情を初めて体験するという事だろう。
初はドキドキして卒倒し、江は胸がスースーすると利休に打ち明ける。
茶々も一人、仇に惹かれ始めている始めていることに悩む。
 もしお市の方が生きていれば、母として三姉妹どんな事を言ったり、
娘の為に動いたんだろうかと考えると人質である三姉妹が今更不憫である。
特に茶々は全く違った状況だろうな。
秀吉は市が居れば茶々には気持ちが行かなかっただろうし。
 とにかく三人とも自分の力で経験して行くしかないのである。

 初の恋は突然始まった。それは17歳の娘らしく明るく落ち着きが無く淡い。
江の恋はまだ本人には無自覚でなんだか分からない状態。
でも、なんだか変だぞ?とザワザワした気分が胸に芽生えていて
これもまた15歳の娘らしくて微笑ましい。
 ドラマ内、この姉妹は「ザ!青春」を楽しんでいるようでさえある。

 しかし、長女茶々の場合はもっと深刻である。
秀吉に呼び出されるのも夜。
昼間は自分の部屋に籠って花や香をしていて皆の居る場には出てこない。
戦況報告の場でも立ち聞き、ガラシャの所にも妹二人で訪問。
 明るい陽光のなかで展開される妹二人の初恋に対して
わずかな灯火と月明りの下、うっそうと草木が茂る夜の東屋で
展開する茶々と秀吉のやり取りのなんと密やかなことか。
このドラマはこいいう対比が上手いといつも思う。
 
 恋愛相談も受け付けるようになったカウンセラー&カフェで
江に対する利休の言葉は、さりげないけど至言。
「そのお気持ち、大事にしなされ。ご縁があれば、そのお方にまた会えますやろ」
気持ちを大事にするってなかなか難しい。
今はもっと難しい。そして結局「縁」だと思う。
気持ちが凄くあっても「縁」が無い人とは
出会ったとしてもすべも無くすれ違ってしまう。
 しかし、縁を引き寄せる力はその人自身の力のような気もする。
秀吉の猛プッシュで茶々は陥落寸前であるし…。

 江の恋の行方は3話程先になりそうだが、
茶々を必死で守り続けてきた江にとって
来週からは辛い時期になりそう。
茶々と秀吉の恋には計5話ほど使って行くようだ。
準主役とはいえかなりしっかり描いている。
主役江の恋愛&結婚を早くじっくり見たいけれど、
茶々の心の変化を丁寧に描く事で
江の心の傷つく様子も描くことになるんでしょう。
茶々の心を認めた時に江はまた成長し、
自分の恋愛にもいい影響を与えて行くんではないだろうか。
 

 今回挟まれた、ガラシャの洗礼の話はなんの伏線だろうか。
後にある初のキリスト教入信かしら?
それとも単に戦国の一人の姫ガラシャが宗教に真剣になり、
自分の力で想いを叶えたということなのか。


 もう一人の姫、おねの気持ちも見逃せない。
今までは出来る嫁であり、上手く舵をとっていた秀吉に対して
不安や女心を隠せない。
こんな立派な人格者なのに「ただの女」な部分を出し初めていて
おねという人物が更に魅力的になってきそうである。

 今回、江の成長が垣間みれたセリフがあった。
秀次が九州攻めの結果を知らせにきたシーンである。
江「戦にも良い所がひとつだけありますね。
お見送りした方々の元気なお姿を待つ楽しみがあるという事です。」
 7歳で猿に掴みかかってたお転婆さんがこんな事を言うように成長するとは...
嬉し泣きしそうでした。
 少しずつ少しずつ成長している過程が描かれるのが大河の醍醐味かもしれない。
今日出た京王グループの機関誌「あいぼりー」で樹里さんは
「子供の頃から晩年まで、一人の女性を演じるというのは確かに難しい事、
ただ、私自身は子供の見た目のリアリティよりも人間として成長して行く過程を
丁寧に表現していきたいと思ってます。.....以下略」
と述べているけど、ひとつのセリフ、ひとつの表情に江の成長を見るのが嬉しい。
 そして、これは女優:上野樹里の成長ともリンクしてる。

次週は更に、姉達の恋愛が進む。 
 ケータイやネットが無い時代だからこそ描ける
恋愛模様がまだまだ楽しめそうでウキウキしている。
(今回登場した素敵な男性陣についての感想は
『龍子の懺悔部屋』で。ニヤリ)