「誰も教えてくれなかった運とツキの法則」なる本を読んでいます。私は運やツキを真正面から信じる方で、験(ゲン)も担ぎます。トレーダーの間では(特に成績のいいトレーダーの間では)、ツキの重要性は良く認識されていると思いますが、皆中々そうは云いません。儲けはツキではなく自分の実力で稼ぎ出したものだと印象づけたいからです。

 これはトレーダーに限らず、ギャンブラー然り、延いてはビジネスの世界でも同じことが云えるでしょう。即ち、これらの世界に於いても運やツキは大きな影響力を持っており、とても重要なのですが、運やツキのある人、成功しているほどそのことは口にせずに、こっそりと隠しています。

 まして運やツキに関して正面から分析・記述した書籍は稀です。私は阿佐田哲也さんの大ファンで、その著作を殆ど読み尽くしていますが、阿佐田さんは運やツキを深く理解し、長く付き合い、そしてそれを真正面から分析し、しかも丁寧に書き著して人に説明しようとしてくれた稀有な人です。阿佐田さんはギャンブラーでしょうか?いずれにしろ著述業を営む方でした。それでもそのような本は恐らく世界的に稀でした。

 この「誰も教えてくれなかった運とツキの法則」は、或る意味で阿佐田さんの本を越えた稀な本です。書かれているのはクレディセゾン社長の林野宏さん。経営者であり、しかも現役の経営者であり、しかも著述業をされている訳ではありません。林野さんとは何度も麻雀をしたことがありますが、かなり手強い。そして麻雀が好きで、楽しい方です。かつて当社の社外取締役をして頂いたこともありますが、そして証券会社の取締役になると当然株式取引に大きな制限が掛かるのですが、市場が大きく長く下がる時に制限の掛かる職に就くことを受け容れられ、市場が大きく長く上がり始める直前に、その職から離れることを決意された、稀代の相場感覚もお持ちです。

 経営者としての林野さんを語ることは畏れ多くて憚れますが、そんな林野さんのこの本、バーゲンと云うかとてもありがたい本です。まだ読み終わってないのですが、しっかりと噛み締め、吸収をしたいと思います。