私が堀江さんと出会ったのは、2002年12月の渋谷。まだ雑居ビルにエッジという社名で入っていた頃のことだ。

かつての上司である伊地知さん(後にライブドア上級副社長)に誘われて転職し、社長室 新規事業開発グループのプロデューサーとして参加。後にライブドア社を買収し、自社の社名もエッジからライブドアへと変更して、六本木ヒルズへと移転。その後は世間の知る通りの軌跡を描く。

あの事件から5年。

今回の実刑判決のニュースを聞いて、私が感じたのは「悔しい」という想いだ。

若気の至りかも知れないが、当時は真剣に『ITを道具に社会の仕組みを変えることで世の中をよくしたい!』と考えていた。堀江さん、伊地知さんらと7名でライブドア事業部を立ち上げてからの4年間、本当にいろんなことがあったが、私が知っている堀江貴文は世間で報道されているような人物ではない。

あるとき、社内レイアウトの変更の為に不用品の整理をしていたら「電源の入ってない冷蔵庫」を発見した。その扉を開くと、カビの胞子なのか何なのか、中からもわぁっと黒い粒子が飛び出してきたので「うわぁっ」と思ってすぐ扉を閉じ、「こりゃぁ、もう使えないな」と思って社長(堀江さん)に稟議書を出したのだ。

冷蔵庫処分費 6,000円

その稟議は「もったいない。まだ使えるでしょ」の一言で却下された。「いやぁ~、ありゃ絶対もう使えないよ」と内心思いつつ、改めて冷蔵庫の扉を開くと、強烈な異臭と何やら黒いドロドロしたものがあちこちに散在していて、異様な空気を放っていたので、面倒臭がり屋の私はしばらくほっておくことにした。

ところが、翌朝出社してみると社長が冷蔵庫を開けて素手でその「異様な黒い物体」を取り除いているではないか。そばでゴミ袋を持つ社員も臭そうに顔を背けながら、いやいや傍に居る感じだったが、社長にそんなことはさせられないと考えて、「すみません、私が代わります」と役を交代。数時間かけて異物を取り除き、冷蔵庫内を(まだ匂いは残っていたが)白くなるまで掃除して、再び使える状態にまで戻してから社長に報告に行った。

「社長、冷蔵庫なんとか使える状態にまで戻しました。」

「なぁ、6,000円の利益を稼ぐのって大変だろう?」

そのときに言われた一言は、今でも強く印象に残っている。

使えるものは大切にする、1円でも経費を無駄にしない、そして体験を通して社員に自ら気付きを与える姿勢は、誠実な経営者の姿そのものではないだろうか。

誰よりも株主の利益を考え、誰よりもお客様(ポータルサイトの利用者)の利便性を考え、資本主義のルールに忠実に従った結果がこの実刑ならば、いったい誰が起業家を目指すというのだろう。

出る杭が打たれる社会ならば、誰が新しいことにチャレンジしたいと思うだろうか。

ライブドア事件の前年、高校生のなりたい職業No.1は「起業家」だったのに、翌年には「公務員」に代わっていたことが、私には悲しかった。若者が希望や野心を持たず、チャレンジもせず、安定を求める社会に活力を期待できるだろうか。


既得権益を持つ60~70代の大人にも立派な人物は居る。官僚や大企業にも尊敬できる人物は居るし、私も出逢ったきた。しかし今の社会を観るに、何故多くの組織や立場ある人々の振る舞いに酷い私心を感じ取らざる得ないのだろう。

東電から20億円を貰って番組を制作する民法各社が、テレビを通じて「ただちに害はありません」というメッセージだけを流し、「いつになったら、どのような害があるのか」をまともに報じようともしていない。

業務上過失致死罪に問われてもおかしくない政治家や官僚の方々、電気事業連合会を始めとする原発利権の方々は、ご自分がされている仕事の意味を正確に理解されているのだろうか。文科省の対応ひとつとっても、この有様だ。→→子どもを守れ http://ustre.am/:Xs88

現代の日本社会は、一部の大企業(広告主)がマスコミを支配し、マスコミが政治の行方を左右し、検察に代表される国家権力が、正義と不義を規定している。

それが国民ひとりひとりの良心にそぐわないものだとしても、大企業・マスコミ・国家権力(既得権益層)の利益にならなければ排斥される。

流されない情報を、一般消費者が認識することは少ない。ネットが力を持つ以前は。


認識されないことは、存在しないに等しい。福島第一原発は未だに放射性物質を漏出し続けているが、報道が下火になると、まるで問題が収束しているかのような錯覚を抱かせられる。0.1%の人間の都合に合わせて、99.9%の国民の権利と生命が侵されている現状を、私たちは指をくわえて見守るか、まるで知らないふりを決め込んでいる。

そろそろ、そんな態度は止めようじゃないか。


国家権力が必ずしも正義であることはなく、

マスコミの流す情報がいつも正しいとは限らず、

大企業が綺麗なことばかりしているとは限らない。

もうみんな気付いているのだ。


誰も自分の利益を考えてくれない世の中では、自ら信頼できる人と関係を構築し、情報を取りに行かねば、家畜のように消費動物として飼われて死ぬまで搾取されるままだ。

TwitterやFacebookで声を上げ、中東の革命まで行かずとも、有志の声が教育、経済、政治の不義を正し、太陽の紫外線のごとく、社会にはびこる細菌を炙り出してゆく必要がある。

堀江貴文の意志は、多くの同世代に引き継がれ、今ひとつの時代の意志としてネットを媒体に伝染している。個別の言動に対する賛否両論はあるだろうが、真に日本の未来を憂う心あれば、人として、まともな社会に生きたいと願うならば、そろそろ声をあげようではないか。

ひとりの人物だけが批判の矢面に立ち、既得権益に対抗する時代が終わった。
これからは意志ある者のネットワークが、微力でも継続的に分散ネットワーク的に革命を続けて行かなければならない。

私も彼の意志を継ぎ、2年半後に「身を呈した甲斐はあった」と思えるような社会を築いていたい。


その方法は、IT革命→認識革命

コンセプトは、「Made in Japan」から「Heart of Japan」へ

NohJesu「日本再生のグランドビジョン」として提唱するこのプランが、日本の文化・文明を再創造させる為の叩き台となるだろう。


P.S.
認識革命については、5/4(水)14時からNR JAPANの観術体験イベントにて、
GrandVisionについては、5/15(日)19時からGrandVisionForumにて語ります。