リハーサルは、5月の16、17、18の3日間で、

18日の終了後には機材車に楽器を積み込む。

なので、リハが始まってしまうと何も出来ないので、

準備は、全て済ませておく必要があった。


実は直前まで、使うスティックを決めてなくて・・・。

それまでライブ等は、パールの103Hだったのだが、

もう少し長い方が、打面の反発をうまく使える。


家で何となく練習に使っていたのは、プロマークの湊君のモデルで、

これはなかなか良かったのだが、

楽器店で新品を手に取ってみると、全体的にやや重すぎた。

結局買ったのは、まとめ売りしていたMAXBEATのHS-451で、

6セットで5000円行かなかった。

わーい、わーい。


で、結局一本も折ってないんだよね・・・。


スネアのヘッドは本番で頃合に馴染むように、

初日のリハ前に、裏表ともに交換して、スナッピコードも交換。

ヘッドはレモのアメリカ仕様のいわゆる「00」の普通のコーティング。

裏も、普通のスネアサイド。


使用済みのヘッドで自作したリングミュートで、やや多めにミュート。

ちなみに打面のピッチはDで、裏がF#。スナッピも張りめ。

最近の傾向から言えば、高めでタイトな設定である。

「カーン」というサステインは、ほぼ皆無。


実は、23年前も同様にリングミュートはガッツリかませてあり、

結局、そこに戻った感じである。

昔は、打面はもっと低かったのだが、鳴らし切るのに体力がいる。

今の体力と、音の太さと、抜けと、粒立ち、いろいろ考えてこうなった。

打面は、やや硬く、倍音が無く、ごまかしも利かない。

でも、これしかなかった。


メインのスネアは、パールのセンシトーンのブロンズの5インチ半。

リハスタに普通にあるようなシリーズである。スネアは銅系が好きで、あとは構造重視。

一体ラグで、プレスリムタイプで、普通の内面当りのスナッピである事が条件。

あとはチューニングとミュートで何とでもしてしまう。


キックのヘッドはパワーストローク3のクリヤ。

ローピッチに張ると、アタックが明るく、太さもある。

穴井のベースは重低音なので、アタック重視の方が住み分けが良い。

ミュートも多め、ウェイトも用意した。


タムは全てピンストライプのクリヤ。

配列は、3度下降?4度下降?ファンファーレ?

いろいろ考えたが、現場のリハで考える事にした。


シンバルは基本的にセイビアンで、ハットは古いAジルのニュービート。

チャイナも古いジルジャン。これは学生時代、先輩に譲っていただいて、

そのまま使っている。ローザ・ルクセンブルグのライブ盤で叩きまくっているのも、

このチャイナである。

このハットとチャイナは、長持ちシンバルだなあ・・・。


スペアのヘッドも全種類用意。スペアのビーター、スナッピコードも用意した。

スネアのスペアには、ヤマハの古いブラスがある。これもメンテした。


まあ最近の主な仕事がドラムのチューナー、テクニシャンなので、

知っているだけに、このあたりも手を抜けなくなってしまう。

「あれが良いかな?これが良いかな?」正直、疲れる。


んで、これだけじゃなくて「エブリバディーズシン」のオケ出しもあるし、

「ストレンジャー・イン・タウン」では下山君と話して、

彼のディレイギターとシンクロするために僕はクリックを聴く事にしていた。

僕は彼のディレイギターに合わせるのが苦手なのである。

が、クリックを上手く使えば、

よりそれが生きたカッコイイ演奏になる可能性も高い。


クリックは、BOSSのDBー90で、

50個までテンポ、パターンをプログラム出来、

トーンも出るので、ドラムのチューニングにも使える。

クリックを聞いて演奏する訳ではなくとも、

プログラムしてなんとなく走らせておくと、

表示を見ながら、スタートテンポも確認できるし、

演奏中の自分のタイムも何となく分かるし、無視しても良い。


オケ出しは、エディロールの2CHレコーダー、R-09HRで、

これだとWAVファイルが使える。

オケは僕がSONARで作り直したもので、Lチャンがクリック、

Rチャンにオケをモノでミックスしたものが入っている。

これらの音源関係は、ベリンガーのミキサーに入れてヘッドホンバランスを作り、

リハスタのミキサー、PAにオケを送る。


ちなみに、ライブのオープニングにかかったSEも、

僕が、昔のライブ盤に収録されていたオープニングSEを

SONARに取り込んで、歓声等の無い部分を選んでループさせたものだ。

このSEも下山君たちによるオリジナルのもので、

元の音源が存在しないので、こうするしかなかったのである。

この作業は、下山君に「出来ないかな?」と言われてやってみたら、

意外と上手く行ったので、CD-Rに焼いて、本番で使う事にした。


ま、「これも俺がやった!俺がやったんじゃい!」と書いているが、

この下山君の依頼は、ライブの全体像を考えている人のそれであったと思う。


さあ、準備は出来た!


リハの初日は、4人でなんとなーく曲をやってみよう。

という事になっていて、ま、僕の場合、セッティングの確認や

同期関係のチェックなども兼ねていた。あとテンポね。


スタジオは、僕のウチからは歩いて10分の「アンディーズスタジオ」。

スネア、ペダル、同期関係を背負って早めに着き、

「空いてますから、良いですよ。」というので、セッティングしていると、

花田君が来て、「お、三原、早いね。」

まー、グチャグチャいろいろあるもんでねえ・・・。

下山君も来て、穴井も来た。

穴井はハイワットのヘッドをどこからか借りて持ってきていた。


まあねえ、ROOSTERZのリハーサルっていうのが、

これが、段取りってものが皆無なリハーサルでねえ・・・。

「んじゃ、頭からやっていこうか。」とか、何も無し。

雑談したり、個々に音出したりして、

いつの間にか始まっているような、いないような。


音量は、控えめ。とてもヨロシイ。ま、みんな長いので、

音量に誤魔化されてもろくな事が無いのは良く分かっているし、

そもそも耳がシンドイ。

そういう適度な音量でやってみると、スネアのミュートを多めにした事で、

みんなの音がよく聞こえる。とても楽しい。


海外のスネアの音に比べて、日本のバンドのスネアの音は

非常に倍音が多いと、最近感じているのだが、

スネアの「カーン」とか「キーン」とか言う倍音は、

非常に耳につく帯域で、ちょっと聞き派手なのは良いのだが、

周囲の音や、キックの音をかなり見えなくしている気がする。

これは、けっこう大きな問題のような気がしている。

そもそも周りの演奏が聞こえないで、アンサンブルもクソもあるか?

本人だけが、倍音に誤魔化されて良い気分になっていないか?

ま、ドラムだけじゃなさそうだけど。


「爆音ライブ」というが、実際の楽器の音が巨大である必要は全く無い。

楽器の音をマイクが拾って、それをPAが巨大にする。

奏者の仕事は、演奏上の一体感をキープする事で、

そこをきちんとやる事から生まれる躍動感が、

それをさらに「爆音」である。と、感じさせる。そういう事であろう。


それもあって、全員の音が聞こえる状況は死守するつもりだったが、

リハーサルでは何も問題なかった。

あ、一度だけ、

穴井さんが花田さんに「ちっちゃくしてくれ・・・。」と言われていた。

「ベースしか聞こえん。」

あらあら、穴井さんったら、またまた・・・。


んで、穴井さん、なんと曲によって指で弾いている!

ビックリしたあ!

指でも弾けるなんて知らなかった。

下山君によると、指でも上手いらしい。


この日は、

「アンプから2メートル離れてベースを弾く穴井さん。」

「指でベースを引く穴井さん。」

という極めて珍しい生き物を2匹も初めて観た日になった。

長生きはするものである。


ま、あとはねえ、

「演奏の次の瞬間、即効で雑談に集中出来る穴井さん。」

「アンプのノブを小首かしげながら、いじり続ける穴井さん。」

「謎の箱がいつの間にか足元に増えている穴井さん。」


「それを見ながら、何が変わったのかサッパリ分からん我々。」


などは、見慣れた生き物、見慣れた光景なんで・・・。


初日は、まあこんなこんな感じで、(どんな感じやねん・・・。)

つらつらと進み、ま、花田さんは相変わらず寡黙で、

時折、下山君が「そこ、そうだったっけ?」みたいな。

ま、この時点でまだ曲順も決まっていないのである!


そうそう、「パッセンジャー」、「NONONO」などの高速8ビートが、

驚くほど楽だった。なんか全然ダイジョブだった。

ハイハットをちょっと高めにしたりはしたんだけどねえ。

フィンガーコントロールの練習してたからかなあ。

これは、気が楽になったなあ。


ま、「なんか行けそう」という感じで初日のリハは終了。


終わりがけに

「叩き台で良いから、曲順ちょうだい!」

と花田君に土下座して頼み、

「あぁ・・・。」と言われ。

ついでに「クレイジー・ロマンス」と「バーニングブルー」もやってみたい由、

仰せ付けられた。


楽器スタッフの大ちゃんにスペアのペダルを何とかしてくれと頼んだ。


リハーサルの初日は、つらつらと終わり。

下山君に飲みに連れ去られる事も無く、

何だか行けそうな気分で、ウチに帰った。


この日だったかなあ?マネージメントの高橋女史が、去年のロフトの演奏の

DVDの完成品をくれたので、観た。

この中で、ボーナストラックになっているナダサクROOSTERZの演奏が、

今回のライブのドラムのアレンジ上、非常に助かった。

特に「ストレンジャー・イン・タウン」のアレンジは迷っていたし、

「トランスミッション」は、「ああ、これこれ!」というまさにライブ演奏だった。


その夜のうちに譜面を書きなおそうか?とも思ったが、

一杯飲みに行っちゃったなあ。