腸に炎症やがんといった病気はないに、運動機能に異常が起こり便通異常(便秘や下痢)を繰り返すものです。
ストレスに起因するといわれ、日本人の5~10人に1人がこの病気の診断基準に当てはまるといわれています。
①特徴と症状
急激な腹痛を起こすのが特徴です。症状としては多彩で、「会議中や電車内で決まってお腹が痛くなり、下痢をする。」「便秘で腹痛があり、トイレではコロコロとした硬い便しかでない」などがあります。
こうした症状の現れ方から、「下痢型」「便秘型」「交代型」の3つのタイプにわかれます。
下痢型~腹痛を伴う下痢を繰り返すタイプ。男性に多くみられる。
便秘型~便秘を主症状とするもの。女性におおい。
交代型~下痢と便秘を繰り返すタイプ。
お腹の症状以外に「頭痛」、「肩こり」、「倦怠感」、「関節の痛み」、「うつ状態」などの不定愁訴を伴うのも、この病気の特徴です。
②原因
食事や生活の乱れなどによって生じますが、現在では、心身のストレスが最大の原因になって腸の機能が失調し、「消化管運動の異常」や「消化管知覚過敏」によって発症すると考えられています。
腸管の運動は、自律神経と腸の神経によってコントロールされていますが、ストレスを受けることで異常な運動がおこります。
その結果、腹痛、腹部不快感とともに抑うつや情動の変化も引き起こし、これらから、さらに消化管の運動異常を悪化させます。
③国際的な診断基準
過敏性腸症候群には、国際的な診断基準が設けられています。
<過敏性腸症候群の診断基準(RomeⅢ)>
過去3ヶ月において腹痛あるいは、腹部不快感が1ヶ月にすくなくとも3日以上あり、さらに下記に挙げる項目の2つ以上に当てはまること。
○痛みや不快感が、排便によってやわらいだり、治まったりする(排便による症状の軽快・解消)
○痛みや不快感を感じるようになったあと、排便の回数が増える、あるいは減る(排便頻度の変化)
○痛みや不快感を感じるようになったあと、硬い便あるいは軟らかい便になる(便状の変化)
④解消するための生活のポイント。
過敏性腸症候群と診断されたら、まず生活習慣を改善していくことに努めます。
早寝、早起き、毎日決まった時間にトイレにいくなど規則正しい生活を心がけましょう。
とくに大切なことは、朝食をきちんと取るということです。
便意が起こるのは、朝食によって胃が膨らみ、長時間休んでいた腸が刺激を受けて動き出すためです。
また腸に負担のかかる香辛料、アルコール、脂質などはできるだけ控えたほうがいいでしょう。
ストレス解消のために、ウォーキングやストレッチなど運動をするのも効果的です。