これはあくまでブログ主の私見です。
当時の一次資料や脚本の裏付けを参照したわけではありませんので、
戯言ていどに捉えていただいて結構です。
なぜ「江」は面白くないのか
ひとことで言えば、「戦をしないから」でしょう。
コメディタッチが戦国モノに合わないとか、江を演じる上野樹里が「のだめ」にしか
見えないとか、諸々理由はありますが、今回の記事ではあえて、
「戦の世に生きる女性像」という視点で見ていきたいと思います。
そもそも戦国時代の動乱が背景にあるのに、戦はないわ血生臭い政治劇は
ないわで、ことごとく「戦国」という時代を無視したつくりであることが
残念至極でございます。
女性視点から戦国を描くと銘打ってありますが、はっきり言って
反戦思想を持った現代人からの視点ではありませんか。
戦の描写なしに反戦を説くことこそ愚行ではありませんか。
人の命の重さや戦の愚かさ、太平の世(幕府)を築きたいとの願いは、
戦を描かずして視聴者に訴えることはできないと思うわけであります。
実際に「江」が反戦思想を訴えているのかどうかはわかりません。
合戦の描写がないのは、制作費の問題ということも言われていますが、
一方で、1話に6000万円の費用が投じられているという話もあります。
しかしながら、やたら戦の描写がない上に、やたら戦を避けたがる物語ゆえ、
人物の描写にまで矛盾や齟齬が生じていることも事実。
特にひどいのは、江は言わずもがな、夫の秀忠の人物像でありましょう。
「葵徳川三代」をご覧になった方は思い出してみてください。
岩下志麻演ずる「葵」のお江の方は、第1回「総括関ヶ原」の冒頭ですでに
「殿方が戦をなさるは古今東西の倣い、致し方ござりませぬ。
どうかご存分にお働きくださいませ」
と、夫秀忠を励ましているではありませんか。
戦国の世の女性像とは斯くあるべきでは。
なのに、「江」では夫婦そろって強固な反戦思想の持ち主(に見える)
なんのために、武士の習いである日々剣や弓矢を腕を鍛えてきたのか。
脚本家ならびにプロデューサーは社●党か●条の会の回し者かと
疑ってしまうほどです。
もちろん、戦国の世とは言え戦嫌いの武将もおったかと思いますが、
所領を守らんがため、家臣とその家族を食わせんがため、止む終えず
戦ったのが当時の武士でありましょう。
その当時の価値観を曲げてまで、戦国を題材にしながら戦を描かぬ作品に、
「大河ドラマ」の名を冠してほしくない、というのが私の考えでございます。
戦のない戦国大河など、ルウのないカレーに等しい!
来週はいよいよ「大坂冬の陣」を迎えるようでございますが、今後の
展開を冷ややかな目で刮目していきたいと思う所存にございます。