この時期が来ましたね。


戦力外通告。


毎年毎年。毎年、契約社会の儚さを感じますね。
先輩や後輩の名前も挙がってました。

日本では特別、戦力外通告に関しては驚きと落胆と悔しさなど感情的。でもね、そこは契約社会。全てのものに100%訪れます。と、まぁ分かっていても…色んな感情が出て来ますね。プロ入りして1年目。同期入団の先輩が解雇になりました。たった一年で解雇になり「もう野球はしない。引退する」と言われ、涙してしまった事があります。こんなにシビアなんだと。毎年、誰かの戦力外通告を見て、そして、自ら経験して、中日時代は裏方として選手が去っていく姿を見て来ました。やっぱり寂しい。どの道を選んでも大きな葛藤と決断がありますから…。






ここからは僕個人の海外経験から得た、「自由契約」に関する考えを書きます。こんな考えもあるのかーって感じて頂き、誰かの勇気になれば幸いです。


「戦力外通告」「自由契約」
日本ではとってもネガティブな言葉ですね。


でも、僕はとてもポジティブなイメージを持っています。だってフリーエージェント(自由契約)なんです。自由なんです。自分を戦力として必要とされない球団からチャンスを貰ったんです。十分にプレーが出来ないのに時間を過ごすだけなんて水物のプレーヤーに取っては死活問題です。「あなたはここではチャンスがないから自由に契約を探しなさいよー」と言う事です。力がないと思うのなら力をつければ良いし、怪我をしているのなら実費でもしっかり治して挑戦すれば良いんです。契約社会を生きる野球選手なんですから。そこは「想定外」では…。

日本でのプロ野球選手の実働をイメージで描くとするとそれは放物線。一時期のピークを過ぎると「全盛期は過ぎた」とイメージづけられてしまいます。

それは選手数に対する出場機会の少なさも理由としてありますが、国境を越えて選手生命を継続する「前例」の少なさもまだまだ影響していると思います。日本の球団で戦力外通告になると海を渡ってチャンスを探す事にとても、とても抵抗があります。僕も最初は「日本での実績無し」「海外のチームへのコネも無し」「3年間のブランクがある」「英語が出来ない」など不安だらけでした。誰に相談しても「もう26歳なんだからやめておけよ…」とネガティブな言葉ばかり……。「廃人になるぞ」とまで言われた事もあります。

しっかり怖じ気づいていました。


しかし、多くの言葉に背中を押され、挑戦。今があります。僕は廃人にはなっていません。それどころか失ってしまった選手としての自信を得る事ができました。素晴しい仲間に出会い支えられ貴重な時間を過ごしています。先輩方の忠告は間違っていましたね。だって…誰も経験者ではなかったのですから。当然ですね。



挑戦者にとって必要なのは「出来るか出来ない」かと言うモノサシではない。
「やりたい」と言う気持ちに素直に行動する勇気だ。


ファン目線、プレーヤー目線、スカウト目線がそれぞれ違う事を知って下さい。



何かを始める前に、全ての未来を予想出来る人なんてこの世にいません。ですから今、抱えている全ての不安が当たるとも限らないのです。実際に渡米する前に僕が抱えていた不安は、何ひとつ問題ではありませんでした。

実績があろうがなかろうが、トライアウトで力を見せれば欲しいと言ってくれるし、コネクションなんて進まなければ生まれない。ブランクは今、その瞬間にプレーヤーであれば関係ありません。英語も。

アメリカには多くの国から沢山の人がやって来ます。英語を話せない人なんていくらでもいるし、英語を話さない人とのコミュニケーションを取る方法も彼らは知っています。困ったら「カタコトの英語より本気の日本語」で話すと不思議と伝わります(笑)言語が同じ日本人同士でも意思の疎通が出来ない事もあるのに言葉が通じないもの通しでも意思が伝わる事が多々あります。コミュニケーション能力だったり理解力だったり。「伝える事」と「話す事」の違いも勉強させられました。これって日本の社会においても同じ事ですよね。まぁ、プレーをしていく中で必要な言葉は覚えていけます。僕らの言語は野球ですから。大丈夫!


予想通りに行かないから人生って面白いんですよね。良いイメージをしていても上手くいかない事がある様に、不安になってもその通りにならない事だってある。だったら今、めっちゃワクワクした方が実力を発揮出来るものです。それで、駄目なら考えれば良い。超えていくのか、道を変えるのか。まずは自分を表現する事。それ以上も以下もありません。あとは決める人が決めます。


もし、不安な自分がいたとしたら、それを覆す自分を生み出して楽しみましょうよ。


海外で色んな選手に出会い、経験して知った僕の中で生まれたもの。
野球選手の実働は放物線ではなく上がったり下がったりを繰り返し成長していくものでした。42歳、世界中のリーグで3人の子供を養いながら「俺はメジャーリーガーになるんだ!」と真顔で言うWBCフランス代表の選手。41歳で現役復帰をした元メジャーリーガー。チャンスがあればどこへでも行くって言う日本人(笑)32歳にして最速の151キロ。常識や科学は塗り替えるものです。


また、日本人選手の中には台湾や、韓国はレベルが低いなんて、思っている人も少なくはないと思います。しかし、レベルが低ければそれ相当の苦労があります。グランドやボールの違い。サポート環境の不備や守備、走塁など日本では当たり前に追求される事が疎かだったり。しかも外国人助っ人と言う立場に求められるものは日本でプレーするものとは全く違います。日本のあの選手やメジャーのあの選手がこの環境でどういうプレーをするのか見てみたい、と思う事が多々あります。調子が悪いから2軍で調整、なんてありません。結果が出なかったりチームに必要とされなければシーズン途中でも解雇になります。契約社会、それが当たり前です。だからこそプレーヤーとしての評価があり、成長できるのです。自由契約になっている間、しっかりと怪我を治してコンディショニングを整え、また挑戦して戻ってくる。海外ではそれが普通です。それが僕の感じた野球選手の生き方です。


自分の人生の中でこれほどに愛するものがあるのならば、覚悟を持って挑むべきだと僕は思います。

挑戦出来る環境があり、支えてくれる仲間、家族がいる事に感謝して。

$コビーが行く!!



やるしかなかろうもん。





o(・∀・)o 「ざぁぁぁっす!」