サッカー日本女子代表の活躍と女子フットサル。(H)
なでしこJAPANが、日本中を巻き込むニュースになっています。
僕自身、ドイツ戦やアメリカ戦はテレビの前で応援していました。
ワールドカップ優勝は、本当にすごい。本当におめでとうございます。
彼女たちは結果を出すことで、周囲の評価を得て、認められ、環境を変えました。
厳密には変わっていくのはこれからですが、今は味わったこともないような絶頂期にあることでしょう。
彼女たちが口にするのは「結果を出さなければいけない」という言葉。
それは、そうしなければ、誰も認めてくれないし、サッカーをする環境すらなくなってしまう、
そんな危機感からくるものでした。
それは、フットサルも同じです。
女子フットサルの現状は極めて厳しいと言えます。
サッカーの場合、全国リーグがあって、選手の中には給料を得て、
それだけで生活している人が、それなりにいます。
フットサルの場合、女子の全国リーグはありませんし、
フットサルをプレーするだけで生活できる選手はいません。
普通に会社員として働いていたり、アルバイトや、無職なんてこともあります。
いまの女子フットサル界は、選手たちの思いと、多くの犠牲のうえに成り立っているものです。
これは健全ではありません。
でも、彼女たちは、蹴ることを本当に楽しんでいるし、
「サッカーだって、男子のフットサルだって、昔はこうだった」と、
覚悟のうえでひたむきにプレーし続ける選手たちがいるんです。
そんな彼女たちが報われる日を信じて、僕たちも可能な限り、伝えていこうと思っています。
そして今、なでしこJAPANの影響が、女子フットサルにも訪れるのではないか、そんな期待感があります。
男子よりも先に世界の頂点に立ったことからもわかるように、女子のほうが世界との差は小さいと言えます。
フットサルにおいてもそれが言えます。
事実、フットサル女子代表は、アジアチャンピオンですし、
世界を相手に、まだ強国にはかなわないですが、戦えることを証明しています。
この先、技術があり、有望な女子サッカー選手が、フットサルをはじめたら、
女子フットサルのレベルも、知名度も一気に上がっていくことでしょう。
サッカーとフットサルの、相互作用を女子にも期待したいですね。
さて、この機会に触れたいのは、女子の環境をもっとよくしていかなければいけない、ということです。
女子代表は、2007年に初めて組織され、たいした活動もないまま臨んだアジアインドアゲームズで優勝しました。
2年後、またしても活動がほとんどないまま臨んだ同大会で連覇を果たしました。
中村恭平監督から在原正明監督に交替した2010年、第1回ワールドトーナメントという、
ブラジルやスペインという強国を含む8チームが参加する大会に参加しました。
事実上のワールドカップのような大会で、日本は1勝2敗でグループリーグを敗退しました。
でも、その前にも、女子代表の定期的な活動は行われていませんでした。
準備期間もなく結果を出せ、というのは無理な話ですし、
言葉を悪く言えば、「大会があるのか、じゃあ行ってきていいよ」という、今の状態では、
女子フットサルの発展は難しいと言わざるをえません。
今回、なでしこJAPANは、多くの報酬を手にすることでしょう。
大会の優勝賞金、日本代表スポンサーからの報酬、そしてサッカー協会からの報酬。
それは大きなモチベーションですし、何よりも、いま彼女たちを取り巻いている環境こそが、
最大のモチベーションになることでしょう。
自分たちがうれしいだけでなく、日本中の多くの人が喜び、賞賛し、賛辞を送り、認めてくれるんですから。
フットサル女子代表がアジアチャンピオンになった2007年から、
次の2009年までの間に大きな変化はありませんでした。
彼女たちが「負けたら代表すらなくなってしまうかもしれない」と結果を求め、
そして連覇した2009年から2011年の今まで、大きな変化はありませんでした。
少しずつ、少しずつでも何かを変え、良化させていってほしいですね。
例えば、定期的な代表活動や、親善試合をするとか。協会が主催する大会やリーグ戦を増やすとか。
男子のフットサルも、まだまだ環境がいいとは言えませんが、少しずつ変化してきました。
女子に注目が集まるいま、このチャンスを何か形にして、女子フットサルも前進してほしいですね。
他人事ではなく、僕らにもできることをしていかなければ。