例のパンフレット に続く岩手県の風評対策は子ども向けの放射線学習授業。県教委はいつの間にやら児童生徒の放射線学習に関する補助教材を製作したそうだ。
除染や給食食材測定、子どもたちの健康調査等はさっぱり進まないというのに、こちらはかなりの素早さです。まさに、放射能対策と風評対策を天秤にかけた岩手県の図がはっきりと浮かびます。
16日は花巻市北湯口の県立総合教育センターで高校教員を対象に、 21日は奥州市前沢区の前沢勤労者研修センターで県南教育事務所管内の小中学校教諭を対象に研修会を実施。
県立学校では12月から実施され、今月中にも実施するところもあるというのだから全力疾走だ。汚染は食い止められずとも、風評が広がるのはなんとしてでも止めたいという県の意思なのでしょう。ただし、風評ではなく実害です。
教材は「小学校低学年」「同中学年」「同高学年」「中学生」「高校生I」「高校生2」の6段階。
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知らぬ間に、放射線の授業が行なわれる事が実に迅速に決まっていた事には驚きです。
保護者の可否もなく、子どもに植え付けられる知識とは一体どのようなものなのか。
正しい知識を教えていただけるのなら有り難いものですが、もしも逆であれば、私たち保護者がこれまで必死に子どもに言い聞かせ、積み重ねて来たものが一瞬で水の泡になる。
保護者は事前に授業を見学する事はできないのだろうか?
そのような案内は聞かない。
それでは折角ですのでここで実際に、小学校高学年向けの授業の流れをスライドの画像と共に見ていきたいと思います。(中学年・低学年は高学年用のスライドの一部を使用)
放射線について考えてみよう
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これから放射線について学習します。
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平成23年3月11日午後2時46分 東北地方太平洋沖地震が発生しました。
マグニチュードは9.0でした。
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そして地震により
福島県にある東京電力株式会社福島第一原子力発電所で事故が起こり、
放射線を出すものが発電所の外に出てしまいました。
多くの住民の方々が非難したり、
一部の地域では水道水の利用や食べ物を飲んだり食べたりする事を一時的に止められました。
「この福島第一原子力発電所の事故について知ってる人?」
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みなさんの中には、放射線について、疑問や不安を感じている人が多いと思います。
まずは、放射線についてきちんと知る事が大切です。
これからみんなで学習していきましょう。
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「最近テレビなどで放射線ということばをよく聞きますが、
みなさんは放射線がどんなものか、
どんなところにあるか知っていますか?
身の回りにある放射線を見ていきましょう。」
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「これは何の写真でしょうか」
「スイセンから出ている放射線を写したものです。
スイセンだけではなくいろいろな植物から放射線は出ています。
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放射線はずっと昔から、いろいろなところにあります。
毎日宇宙からふりそそいでいます。
地面からも出ています。
※今回の事故と関係なく、少量の放射線はいつでも身の回りにあることを伝えます。
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空気の中にも含まれています。
食べ物にも入っています。
見えないから気づかないけれど
どこにでもあるんだね
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電気を作る仕組みを見てみましょう
「放射線は原子力発電で電気を作るときに出ます。」
「赤い矢印が放射線です。」
※火力発電と原子力発電は(タービンを回す上記をつくるための)熱の取り出し方が
異なるだけであることなど、発電の仕組みに簡単に触れてもよい。
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放射線ってどんなもの?
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放射線は、光と少し似ています。
光に葉をかざすと、光がすけてみえます
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「紙、薄いアルミニウム板、厚い鉄や鉛の板があります。」
「光はどこまで通り抜けると思いますか?」
「放射線はどこまで通り抜けると思いますか?」
※放射線1はα線、放射線2はβ線をイメージ
どちらも粒子である。
また放射線3はγ線、X線をイメージ
これらは電磁波である。
この違いを意識して、スライドに表現していますが特に触れる必要はないでしょう。
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放射線には、ものを通り抜けるはたらきが強いものがあるんだね
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放射線はどのようにつかわれているの?
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ものを通り抜けるはたらきを利用
「放射線の物を通り抜けるはたらきをレントゲン(X線)撮影に利用しています。」
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どこの骨が折れているか わかるかな?
「この写真もレントゲン(X線)撮影をしたものです。」
「ここです」
「このように放射線のおかげで、どこの骨がおれているかがわかるので、
お医者さんになおしてもらうことができます。」
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放射線をつかうと身体の中のようすが分かります。
「これはからだの中です。茶色いマメのようなかたちをして2つあるのが「腎臓」です。」
みんなのおしっこをつくっているところです。
放射線は病気をみつけたり治したりするのに役立っています。」
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仏像を放射線(X線)で撮影すると
金属製の「五臓(内蔵)」を発見!
「仏像の中の様子を調べてみました。
そこにはなんと、内蔵のようなものが見つかりました」
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「ゴムに放射線をあてると丈夫になります。
どんなところに使われていると思いますか?」
「タイヤです
自動車のタイヤが丈夫でなかったら大変ですね。
このほかにも水泳で使うビート板や
お風呂のマットも放射線をあてて丈夫にしています。」
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医療器具に放射線を当てて細菌を退治します
「放射線には細菌を退治するhたらきがあります。
どんなところに使われていると思いますか?」
「病院で使う道具をきれいにしています。」
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農業での利用・・・長期保存
ジャガイモへの放射線照射
「放射線をジャガイモに当てると
ジャガイモの芽が出なくなり、
長く保存することができます。」
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農業での利用・・・害虫駆除
「ゴーヤやスイカに卵を産みつけてしまうウリミバエを駆除するときにも
放射線を使っています。」
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宇宙の歴史のなぞを調べます。
宇宙の放射線を調べている、人工衛星「すざく」
「宇宙から飛んで来る放射線から、
宇宙がどのようにしてできたかなどを調べます」
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「放射線、放射能、放射性物質は何が違うのでしょうか?」
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「放射性物質、放射能、放射線について整理します。
電球と光りに例えて考えてみましょう。
ここに電球があります。」
「電球はいろいろな方向に光を出しています」
「電球は光を出す能力をもっている」ということができます」
「電球にあたるのが放射性物質です」
「光にあたるのが放射線です」
「そして光を出す能力にあたるのが、放射能です」
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放射性物質は、ある期間がたつと半分に減る性質を持っています。
(1ヶ月で半分になる例)
「次に放射性物質の変化の仕方を説明します。
放射性物質は、ある期間がたつと半分に減る性質を持っています。
このときに必要とする期間は物質によって違います」
「例えば、はじめに放射性物質が200個あるとします。
この物質は1ヶ月で半分になる物質です。」
「1ヶ月後、何個になりますか?」
(100個)
「また1ヶ月たつと何個になりますか?」
(50個)
「そうです。また1ヶ月たつと?」
(25個)
「このように、半分、半分になっていきます。」
※この例だと次が割り切れないのでここで終わる。
次はどうなるか児童から質問があった時には
この数はあくまでも例であって実際にはずっと個数が多い事を伝えると良い
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「次は、放射線の影響を測る単位「シーベルト」や「ミリシーベルト」について説明します。
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「ミリという言葉は、長さの時と同じで1/1000という意味を持ちます」
「1ミリメートルは1メートルの1/1000 言い換えると1メートルは1000ミリメートルです」
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「同じように1ミリシーベルトは1シーベルトの1/1000
また1シーベルトは1000ミリシーベルトとなります。」
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放射線の量はどのようにして測るのでしょうか?
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「放射線用の測定器があります。
写真は「はかるくん」という名前の測定器です。」
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「身近なものからも放射線が出ている例です。」
「この肥料は震災以前に加工されたものです。」
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見ることもできるよ
「放射線は、見ることもできます。
この白い線がそうですが、
正確には放射線が通ったあとです。」
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自然から受ける放射線の量
「では、私たちが自然から受けている放射線の量はどれくらいでしょうか」
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太古の昔から、自然界に存在する放射線①
宇宙から常に降り注ぐ放射線
「例えば、宇宙から降り注いでいる放射線は1年間に約0.3ミリシーベルトです。」
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太古の昔から、自然界に存在する放射線②
岩石に含まれる放射性物質から
「地面の下の岩石からも受けているのは、1年間に0.4ミリシーベルトです。」
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太古の昔から、自然界に存在する放射線③
空気中の放射性物質 ラドンから
「空気中にある放射性物質からは、1年間に約0.6ミリシーベルが体の中に入ってきます。」
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太古の昔から、自然界に存在する放射線④
食品中の放射性物質 カリウム40から
「食品として体の中に入るのが、1年間に約0.2ミリシーベルトです。」
「体の中に入った放射性物質は、次第に排出されていきます。」
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自然界に存在する放射線⑤
「自然から受ける放射線の量は合計何ミリシーベルトでしょうか?」
(1.5ミリシーベルト)
「そうです。1.5ミリシーベルトです。
また世界の平均は1年間に2.4ミリシーベルトです。
これは地面を作っている岩石の種類などによって変わります。」
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「身近に受ける放射線の量と健康の関係を見て行きます。」
41
まわりにいつもあるものだから、少しだったら大丈夫!
「ずっと昔から、まわりにいつもあるものだから、
少しだったら大丈夫です。」
42
今の放射線量は大丈夫?
命を失うのは「7000」
今、この地域は「0」に近い
「今の放射線量は大丈夫でしょうか」
「グラフはミリシーベルトで表しています」
「一度に7000ミリシーベルトの放射線をうけると命を失います」
「今、私達が済んでいる地域は、どのくらいだと思いますか?」
「今、この地域は0に近い放射線量です。」
予備知識1
放射線の測定値ー自然界に常に存在する放射線を計算すると現在はほぼ0mSv。
ただし、この数値は平均値であり、その土地を形成する岩石の種類や地形などによって変わる。
予備知識2
胃のX線撮影0.6mSv 胸部CTスキャン7mSv 東京NY往復0.2mSv
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がんの様々な発生要因
・食事、食習慣
・飲酒
・喫煙
・年をとる
・ウイルス、細菌、寄生虫
・大気汚染
・紫外線
・放射線
「さて、がんという病気があります。知っていますか。
がんになる要因にはどんなものがあるのでしょうか」
「いろいろな要因がありますが、放射線も、がんになる要因のひとつにあげられています。」
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放射線と生活習慣によってがんになる危険性
「これは放射線を受けるとがんになる確率がどのようにかわるかを表した表です。
1000~2000ミリSvだと、がんになる確率が1.8倍になります。
200~500ミリSvだと、1.19倍、
100~200ミリSvだt、10.8倍になります。」
「1.6倍、1.15~1.19倍、1.06倍」
「日常生活の中で、癌になるかくりつが1.6倍、これが何かわかりますか?」
「答えはタバコです。
タバコって1000~2000ミリSvの放射線を受けるのと同じぐらい癌になる確率が上がるんだね」
※以下同様に運動不足と野菜不足を扱う。
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もし放射線をたくさんあびてしまったらどうなるの?
一度にたくさんあびると病気になったり、命を失う事があります。
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もう一度電気をつくるしくみをよく見てみよう
ふだんは放射線が外にでないようにしています。
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3月11日 東日本大震災が起こりました
このとき...
原子力発電所がこわされ、放射性物質が空気中や海中にもれ出しました。
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このため、原子力発電所の周辺ではたくさんの人が避難しました。
もし近くで事故がおきたらどうすればいいの?
方法①
遠くにはなれる!
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方法②
長くあびない!
方法③
建物に入る!
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方法④
マスクやハンカチで口をふさぐ!
方法⑤
外から帰ったら手をあらう!
④⑤はかぜやインフルエンザの予防と似ていますが、
放射線は人に感染しません
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退避、避難する時の注意点
「もし避難することがあったら、このような事に気をつけましょう」
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便利だけど・・・
危ない
危ないけど・・・
便利
(中学年、低学年はこの便利だけど危ないというものを「包丁」を例えにし説明している)
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びくびくしすぎるのもよくないけど
怖さを感じないのも問題だ・・・
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正しい知識を身につけ、適切に判断していきましょう
※最後の2枚のスライドのうちどちらか一方を選択する
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これからどうしていけばいいのだろう。
※最後の2枚のスライドのうちどちらか一方を選択する
※このスライドは2時間扱いを想定
次時に原子力発電について、必要派と不要派に分かれてディベートをする計画で作成しているので、疑問形で終わっている。
その場合の落としどころは生活を見直させエコな生活を心がけるといったあたりが考えられる。
このほかに、原発はなぜ必要だったのかなど、テーマを与えても良い。
以上、小学校高学年用、放射線授業の内容でした。
カリキュラムは1時間~2時間のようです。
内容は主に、放射線の実に便利なつかいかた、もとから身近にある放射線、ラドンやカリウムなど太古から存在する放射性物質についての説明、原発のない岩手県に於いて、もしも近くで原発事故が起こった場合の対処方法など。
「今この地域は0に近い」とは甚だ疑問です。
事故後どのように汚染が広がったか、低線量被曝についての危険性や内部被曝の防ぎ方、食材検査がザルである事や食品の暫定基準値が安全な物ではない事、給食を食べている子は給食を食べていない子に比べて尿から検出されるセシウムの量が多いという検査結果等についてはいつ学校で教えてくれるのでしょう?
getterrovo