格下のはずの少年に3人組をさらわれる【即席V系大作戦(最終回)】 | 僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

格下のはずの少年に3人組をさらわれる【即席V系大作戦(最終回)】

(前回の続き)

第10回(最終回):格下のはずの少年に3人組をさらわれる

いくら待っても3人組はそばに寄ってこない。やはりあまりに大物となると、尻込んでしまうのだろうか。本意ではないが、こちらからさりげなく近付いてあげるか。

『どうもテツジンです』

『あ、初めまして』

『うん、今日はありがとうね』
『……』

どこまで照れ屋さんなのか、合コンで気のない女に話しかけたときのような冷たい間が生まれる。その様子を察知してか、小判鮫のように張り付いていた武田(同行カメラマン)がすかさずフォロー。

『ほら、ろうそく持って後ろに立ってた人』
『ああ、あの』

『そうそう、あの人』
『へえ』

ちょっと不愉快である。なんだ、その説明は。私だって唄ったし、劇も披露した。あの熱演を見てなかったのか、キミたち。

しかし、そんなことを力説してはテツジン様のカリスマ性が薄れてしまう。ここはおとなしくしておこう。

『まあ、今日は久しぶりだったんで、あんまり唄わなかったけどね』
『へえ、そうなんですか』
『うん』
『……』

どうにもテンポが悪い子たちだ。せっかくこうしてそばに来てあげているのに。3P、4P当たり前じゃなかったのかよ。

3人組の態度が芳しくないため、私は標的を変更。中高生ファンたちのそばに陣取り、彼女らによる甘い誘惑を待った。

ところが、この子たちはこの子たちで、プリクラ交換やパラパラの教え合いなどに忙しく、すぐそばにいるスターに見向きもしない。


いよいよあせってきた私は再びターゲットを変え、例の3人組をそばにはべらせてみたものの、名前、年齢、どこから来たのか、そんな質問を振ることでようやく会話が成立するという体たらく。テツジンに対する好意はうかがえない。

どうしたものか。あそこまで壮大な計画を立てておきながら、私はモテモテ人間になれぬのか。

見ると、ずっとヘコヘコしていたバンドメンバーの少年たちがあの3人組を2次会へ連れて行く。

『テツジンさん、お疲れさまでしたー』
『おう、お疲れさん』

最後まで威厳だけは保ってみたが、沸き起こる屈辱感に耐えきれず、私はその場にヘタリ込んでしまった。

$僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

終わり

この記事について。
★即席V系大作戦(全10回)
└過去にとある雑誌で行った企画。
僕の知り合いのオジさんが【女の子にキャーキャー言われたい願望がある!】と切実に言うので、『だったら、即席でV系バンドをやればイイんですよ!』と、僕が数週間かけてプロデュースする企画。果たして、結果は?!当時の雑誌記事に映像など追記して、わかりやすく面白く綴っていきます!


■イベントのお知らせ
2012年
1月27日(金)
◎THOGOオフ会@新宿
└ノープラン。集まった皆で何かを生み出して、育てて行こう!という『ミーティングイベント』です。飲食しながらトークを中心にグダグダ過ごします。たまに映像や音楽も。もちろん質問は何でも受け付けます。初見さん大歓迎!楽しい夜を過ごしましょうッ!★
※詳細はコチラをご覧ください。

★お読みいただきありがとうございます!
是非とも読者登録アメンバー申請 宜しくお願い致します。
※エグい・キワどい内容に関しては【アメンバー限定公開】にします。

★80年代バンドブーム(ホコ天・イカ天)/90年代V系(ヴィジュアル系)浸りだったTHOGOとはこんな人物。
★特別連載『悪徳ライブイベンター(アメンバー限定)』の記事はコチラ
★バンドに目覚めた頃(13~16歳)の話はコチラ
★地元でのインディーズ活動(17~18歳)の話はコチラ
★地元でのソロ活動(18歳~上京直前)の話はコチラ