ついに野田首相が、日本のTPP参加問題について「もう決めている」と明言した。
 語ったのは、先週開かれた首相官邸記者クラブでの「キャップ懇」と呼ばれる政治部記者との懇談の席。その席で野田首相は、TPP参加について国内の反対論が増えていることを問われ、「私はもう決めている」と、かなり強い調子で述べたという。明日(10月27日)発売の週刊新潮が報じる。
 TTP参加問題については、周知のように、アメリカ政府の強い意向によって、農業だけでなく、医療、金融、郵政(通信)、建設など24分野において、日本は大きな影響を受ける。経済はデフレ化で混乱し、外国資本の参入が相次ぎ、消費税は欧米並みに引き上げられる。今後恐らく、一般の日本人の生活は、劇的に変わってしまうことが予測される。
 ちなみに、この「キャップ懇」はオフレコを前提に行われている。大手新聞テレビは、野田首相が参加を決めているのを知っていて、それを国民に知らせずに黙っているわけだ。公式発表を待つまでもなく、11月12日のAPECの開催までに決心を固めているが、新聞テレビは一切報じようとしない。
 実は日本のTPP参加問題に対して、政府内部には「日本の将来に向けて中国に対する安全保障問題として参加するという日本政府の意思表明を行うべきだ」という意見がある。 ところが野田首相周辺によれば、そのような「日本政府の確固たる意思表明を行う予定はない」と語る。つまり、日本政府はTPP参加をなし崩し的に決断することになる。
 野田首相の決断により、神話以来「共存共栄の国」だった日本国家は、国論だけでなく国民の階層としても、欧米寄りの一部の富める日本人と、国家国民を愛しながらも貧しい層となってしまう日本人という真っ二つに亀裂が入れられることは確実である。
 平成二十三年十一月、民主党政権は、世界で最も歴史と伝統ある日本人による国家を、さしたる信念もなく、とうとう分裂させ、将来の崩壊につなげることだけは間違いない。