じっと耳を澄ます『バンギャ』たち【即席V系大作戦(第7回)】 | 僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

じっと耳を澄ます『バンギャ』たち【即席V系大作戦(第7回)】

(前回の続き)

第7回:じっと耳を澄ますグルーピーたち

ステージ上から見るに、客は150人ほどだろうか。9割以上を若い女性が占めている。純な眼差しでこちらを見つめる彼女ら。かすかに聞こえてくるざわざわ音は、大スターを目前にした故に漏れるタメ息か。

荘厳な音楽が終わり、スポットライトが私を照らす。『テツジンの世界』前奏スタート。

『♪テツ・ジン、テツ・ジン、テツ・ジン』

同時に、向かって左側の客席より、かすかな笑いが起きた。やはりこのかけ声はまずかったか。

が、ここで照れ笑いなんぞを浮かべていてはテツジン様の威厳が台無しである。そんな笑いなど聞こえぬような素振りで、私は無表情なままマイクを握りしめた。

『遠い街が、暗く深くたたずむー』

この1ヵ月、何度も何度も繰り返し口ずさみ、それでもなお完璧には暗記できなかった歌詞が、意外とスラスラ出てくる。もう先ほどまでの緊張感は消えていた。

『透明の罪がまた揺れて消えるー』
曲調がハードでないため、頭を振ったり拳をかざしたりする客はいない。みな一様に、押し黙ってじっと耳を澄ましている。大物アーティスト、テツジン様の歌声をじっと。笑える。
$僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

『テツジンの世界』が終わり、レイとケンがステージに。ここからは演劇だ。

『ああ、テツジン様!』

『オマエか?私の遣いの者から聞いたのだが……』

静かなライブハウスに、レイ君と私のくさい台詞が響き渡る。クスリともせず、それを見つめる甲府の(バンギャ)グルーピーたち。おかしな世界があるもんだ。
$僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

無事に寸劇が終了し、すべての役割を終えた私はドラムセット横へ移動。レイとケンの演奏が始まった。
$僕が“バンドマン”を続けている理由。~バンド人生を本音で振り返る~

若いくせに2人は堂々としたもので、身振りを加えて独特の世界を演出する。私はその後ろでろうそくを持ったまま立ち続け、眼球だけをせわしなく動かしながら客席の女の子を物色していた。

続く・・

この記事について。
★即席V系大作戦(全10回)
└過去にとある雑誌で行った企画。
僕の知り合いのオジさんが【女の子にキャーキャー言われたい願望がある!】と切実に言うので、『だったら、即席でV系バンドをやればイイんですよ!』と、僕が数週間かけてプロデュースする企画。果たして、結果は?!当時の雑誌記事に映像など追記して、わかりやすく面白く綴っていきます!


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