FM「Oh!Happy Morning」
今朝、番組で話した内容をコンパクトにご紹介します!
天皇陛下の心臓手術
先日、天皇陛下が心臓冠動脈のバイパス手術を受けられた。
経過は順調とのことで、なにより。
私が注目しているのは、この手術が、東大と順天堂大学の協同で行われたこと。
ここから、今の医学部が抱えている大きな課題が見えてくる。
手術を協同で行なったのは、よかった。
天皇陛下はこれまで前立腺がんなど、東大で治療を受けているので、データが蓄積。
これを活かすには、東大がいい。
でも、手術自体は、順天堂大学の天野 篤教授の技術のほうが高い。
だから、天野教授に東大に来てもらって手術をするのが、天皇陛下のお体のことを考えれば、ベストの選択だった。
しかし、これは東大の小野稔教授にとっても、順天堂大学の天野教授にとっても、簡単な決断ではなかったはず。
小野教授にとっては、天野教授に手術の腕で劣っていることを認めてしまうことになる。
天野教授は、アウェーでの手術になるので、ものすごいプレッシャーがかかる。
ベストの治療を行うために、これを乗り越えたお二人には、医者として拍手を送りたい。
ただし、東大の小野教授は、医学部教授として天野教授に劣っているわけではない。
猛烈に頭の回転が早く、研究者を指導する力は抜きん出ている。
小野教授は、東大医学部が東大大学院と抜群の成績で、まさにエリート街道まっしぐら。
若くして東大教授になった。
研究でも大きな実績を残している。
一方の、天野教授。3浪して、日大医学部。
医者になった後も、大学に残らず、民間の病院を渡り歩いて現場で手術の腕を上げた。
それが評価されて、順天堂大学の医学部教授に抜擢された。
研究者としての実績は、明らかに小野教授がはるかに上。
研究と臨床は、大学医学部にとって、どちらも大切。
どちらのタイプを教授にするべきなのか、全国の医学部で議論の真っ最中だ。