絵本『ありがとう』出版のごあいさつ | うさぎのゆきあと~電動車椅子のパステル画家・ゆきの日々~

絵本『ありがとう』出版のごあいさつ

【美奈子さんとの絵本『ありがとう』】
絵本『ありがとう』出版のごあいさつ


3月になりました。昨年から、来春発売予定とお伝えして来た絵本ですが、待望の発売日が決定しましたので、お知らせします。こうして、お知らせできることを嬉しく想います!

………………………………………………

うさぎのゆきあと~電動車椅子のパステル画家・ゆきの日々~

タイトル:『ありがとう』 (一般書)
著者:本田 美奈子(原作)、 辻 友紀子(絵)
出版社:ポプラ社
発売日:2012年4月12日(木)
価格:1,260(税込)

………………………………………………


 この本は、歌手の本田美奈子.さんとわたしとコラボレーション絵本です。主人公は美奈子さん自身で、感謝の気持ちを持つことの素敵さ、小さな幸せの大切さを伝えるメッセージ絵本です。美奈子さんは、急性骨髄性白血病で38歳で亡くなりました。美奈子さんは、難病と闘う中で、いろんな人達から励まされ、今まで感じてきた愛よりも、もっと深い愛を感じるようになりました。「生きるって素晴らしいな」とこころの底から思うようになりました。そして自分がこの難病を克服して再びステージに立って歌えば、同じ苦しみの中で闘っている人たちにエールを送ることができるとの思いで懸命に生きました。その思いのなかで、美奈子さんが書き残した詩(作詞)の一つが『ありがとう』です。


 美奈子さんにはもう会うことはできません。しかし、生前の美奈子さんが残した“LIVE FOR LIFE”という活動は、多くのひとに受け継がれ、NPO法人リブ・フォー・ライフ美奈子基金となり、大きな輪となって広がっています。「人は、みんな生きるために生まれてくる。だけど、さまざまな困難に直面したとき、人は悲しみに打ちのめされ、絶望してしまう。しかし諦めないで欲しい。希望を見失って立ち止まってしまってもいい。でも、ゆっくりでいいから、もう一度勇気をだして、前を向いて歩きだそう。だってあなたはその命を輝かせるために、生まれてきたのだから。」この思いを込めた言葉、それが“LIVE FOR LIFE”…生きるために生きる!です。その活動のなかで、構想が温められて来たのが「小さな幸せを大切に…」シリーズ絵本の発行であり、その第一弾が今回の絵本『ありがとう』です。友人の朝霧裕さんを介して、2010年2月リブ・フォー・ライフの理事のかたと出逢い、わたしが絵本の作画をすることになり、この絵本が誕生することになりました。


 この挿絵のお話をいただいたときは、わたしで良いのだろうかととまどいもしました。でも、「わたしだからこそ描ける絵がある」とも信じました。上手な絵でなくても良い、「愛情」を込めて、「時間」をかけて描こうと想いました。心には、「美奈子さんの心に寄り添えるような絵を、美奈子さんのそばで一緒に描いてゆこう。」という強い想いがありました。“ありがとう”と言う言葉は、わたしにとって、大切な言葉でもあり、又、自分の病気の経験から、美奈子さんの詩に共感しながら絵を描きました。美奈子さんの「オモイ」を「カタチ」にするひとつのお手伝いができたことを嬉しく思います。美奈子さんのメッセージは多くのかたの希望となることでしょう。わたし自身、進行性筋ジストロフィーという難病とつきあいつつの日々は、葛藤や将来への不安もあります。そんなわたしにとって、この絵本を描く仕事は大きな希望をくれ、又、完成した絵本を通じて、誰かへ希望を贈れることが、大きな希望になります。明るい春の陽ざしのような暖かさと輝きを感じます。

 世の中は、昨年から、より困難ななかにあり、暗いニュースが続きました。そんななか、生きることへのひかりのようなメッセージをたくさんのひとに伝えたいと想っています。多くのかたにこの絵本を手にとっていただけたら、わたしたちはしあわせです。

 いつも“ありがとう”。

2012年03月1日  辻友紀子

*

▼LIVE FOR LIFE公式サイトはこちら へ。