週刊文春2/16号「橋下教育改革は、選挙目当てだ!」を読む。 | 加納有輝彦
2012-02-14

週刊文春2/16号「橋下教育改革は、選挙目当てだ!」を読む。

テーマ:ブログ

 昨年、11月の大阪ダブル選での勝利から、橋下大阪市長率いる地域政党「大阪維新の会」の国政選挙への進出に関する報道でマスコミは持ちきりだ。

 「維新版・船中八策」の骨子をまとめ、その内容が全マスコミを通じて大々的に報じられる。このニュース報道は、このPR効果はお金に換算すると莫大なものとなろう。

 ミニ政党などは、もう存在が消滅している。橋下大阪維新の会にあらずんば、政治家にあらずの勢いだ。

 橋下大阪市長が、日本の政界再編の渦の中心人物ににわかになってしまった。

政権交代、政権交代と喧伝し、亡国売国民主党政権を作ったマスコミが、その反省の総括もまったくないまま、橋下フィーバーの震源地となって、今度は、橋本政権でもお作りになるつもりなのだろうか。

 世の政治家は、橋下氏にへつらう。

 橋下市長の言は、確かに痛快である。庶民の拍手喝さいの気持ちも理解できる。

 しかし、いまいち、橋下市長の政治思想がわからないという人は多いようだ。


そこで、週刊文春2月16日号「橋下教育改革は、選挙目当てだ!」が、非常に橋下市長の政治手法を考える上で、参考になる記事だ。読んだ感じで、意図的に悪口をいおうとしている感じがなく、信頼できる内容であった。ライターの良心が伝わる内容であった。

 橋下氏の政治手法は、小泉元首相の、ワンフレーズポリティクスに近いといえる。

有権者にとって、分かりやすい、理解しやすい構図、拍手喝さいを浴びやすい構図を提供することが最優先されている。

 その際、善玉、悪玉という構図ができると最高だ。

大阪府の学力テストの成績が全国で45位だったことに激怒し、「クソ教育委員会!」と罵り、橋下氏VS教育委員会という図式が、観客である大衆の拍手喝さいを浴びるという図式だ。

 何より、私が橋下氏に懸念を抱いたのは、理念より、選挙で有利となる構図の演出を優先している点だ。まずは、権力を持たなければなにも実現できない、選挙に勝たなければ意味はないという立場にたてば、理解できないことはないかもしれないが。

 しかし、記事の中で、「大阪教育維新を市町村からはじめる会」元幹部の神谷氏の激白(激白というほどのものでなく冷静なコメントであった)を読み、橋下氏の姿勢に率直に疑問を感じた。

橋下氏の府知事時代の話である。
 
大阪教育維新の会の会合の席で、参加者から、日教組の人権教育の代わりに、生き方、家族のあり方といった「徳育」を推進したいと提案があった。
 しかし、橋下氏は、徳育はイデオロギーが絡むからやりたくないといった。

さらに、神谷氏が、教育学者・高橋史朗氏の推進する「親学」をやりたいというと、知事は、できるだけわかりやすいことをしたいと「親学」はよそでやって下さいという意見だったという。

 そして、わかりやすい事というのは、校庭の芝生化とか、数字でわかる学力向上をやろうということだったという。

 これには、教育を真面目に考えている参加者から非難があり、会を止めるという人も出たと言う。

 高橋史朗先生の親学は、私も学んだ事があります。教育を憂える心ある真正・保守の人であるならば、深く共感できる内容であります。

 こういった真面目な取り組みより、わかりやすい事をして、選挙民にアピールしたいという事でしょう。

 そして後日、TV番組「たかじんのそこまで言って委員会」に出席した橋下氏の発言に、関係者は驚く。

 俳優の津川雅彦さんが、「日本人の美徳を大事にしよう」と徳育などについて話した時、橋下氏が、「僕もやりたいと思っていたのに、官僚がやらせないんですよ」と発言した。

 この発言に、関係者は驚いたというのだ。

関係者の一人、神谷氏はいう。
橋下氏は、今でも弁護士。その時、その時のクライアントのために、法廷で勝たなければならない。以前の考えと矛盾していても、勝ち続けることが評価となる。
 政治という法廷で、国民という陪審員にどううまくプレゼンするかが橋下氏には大事なのです。

 
 なるほど、私が、なんとなく橋下氏に感じていたこと、「思想性が感じられない。政治思想も浅薄に感じる。」その原因がここらあたりにあるのかなと感じました。

 神谷氏は同時にいいます。
停滞した政治に、橋下氏の突破力は必要です。ただ、橋下氏には理念が感じられず、そんな彼に大阪の政治家がなびく現状に強い危機感を感じたんです。


 突破力としての橋下氏。

 国民という陪審員へのプレゼンとしての政治。

そこに、深い、政治思想がはたしてあるのか。深い政治思想を封じ込め、今は、権力を持つことに、つまり勝つことだけに専念しているのだろうか。

 橋下フィーバーがしばらく続くだろう。

彼の政治思想が、偽りが本物か、さあ、どう見分けるのか。
そもそも政治思想というより、その時々の選挙を勝つための戦略の一部としての政策が全面にしばらく並ぶのだろう。

 でなければ、徳育や親学より、芝生を選択することはないと思うのだが。

まだまだ、わからない事が多すぎる橋下氏ではある。


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