いったい歴史とは科学たりえるのか?
史学は人文科学であって、立派に「科学である」といえるのだが、違和感を持つ人も多いだろう。そのなかでの多数派は、
――史実なんか調べないでアレコレ妄想するから楽しいんじゃない。
という人達だろう。それは科学かどうか以前に、すでに学問ですらない。歴史とは現実に起きた出来事を探求するものだ。妄想と現実の区別がつけられないなら、首から上の病気だろうから専門医に相談した方が良い。
そんな論外なのはさておいて、歴史は科学なのか?
自然科学と違うのは、法則性を見いだすためのデータを自在に得ることが出来ない点である。いいかえると、基本的に実験でデータを得ることが出来ないのだ。第一線の研究者は史料の新発見に努力してはいるけれども、日本史を揺るがすほどの大ネタは次々と出てくるわけがない。新発見がないのであれば、あるだけの史料を、それこそしゃぶりつくすしかない。
たとえば日本の古代史では文献史料は、ほとんど画期的新発見が期待できない。だから『古事記』と『日本書紀』と『三国志』の「魏書東夷伝倭人条」を、どう解釈するかというのが研究の基礎になる。
そんな乏しいデータで「科学」たりえるのか?
大丈夫。理系にだって実験できない学問はある。たとえば天文学は、超新星爆発のデータが欲しいからといって、実験するわけにはいくまい。史学と同様に過去のデータをしゃぶりつくすしかない。
歴史は科学たりえるか?
その回答は「学ぶ人次第」ということになろう。
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