28日の金曜は渋谷まで。RED BULLの企画で、LOUDNESSと若手3バンドというちょっと異質な企画。HER NAME IN BLOOD、LOVEBITESという2組は分かるが、HELL FREEZES OVERというSpritual BeastからのガチのNWOTHM系のバンドが出るというのが今回のイベントをさらに面白いものにしている感じである。「へヴィ・メタル」と一概にいっても、すでに現在はかなりの細分化が起こっており、多種多様な形態が存在するだけに、この企画は少々驚いた面があった。

LOUDNESSがトリというのは間違いないとは思っていたが、他の出演陣の出順が発表されておらず、HER NAME IN BLOODのみトップで演奏とTwitterで発表があった。彼らがトップというのもかなり驚きだ。
DJは今回、増田雄一さんが担当、PANTERAの"Walk"のBGMが大きくなったところで、SEのSURVIVORの"Eye Of The Tiger"がかかる。個人的には、中学生の頃の懐かしい思い出の曲という事になってしまうが、一般的には映画「ロッキー3」の主題歌で、世代を越えた有名曲であろう。その中、メンバーが登場し、ドラムのフィルからパワーコードを鳴らす。「We're HER NAME IN BLOOD、しょっぱなから楽しんで行こうぜ!」と1曲目の"Last Day"を叩きつける。元DEATH BLASTのMakiさんのドラミングはやはり強烈である!元SODOM、HOLY NOSESのアトミック・シュタイフのような後ろの高い位置にあるチャイナが特徴的なセッティングだ。多少、スネアの残響が気になる面もあったが、それ以上に凄まじい激しさのドラミングで圧倒されっぱなしだ。続いてドラムのアクセントから刻むリフで"Free Me"。ハネるリズムが心地良い。ラストにはオーディエンスにジャンプを促すヴォーカルのIkepyさん。凄い筋肉でワイルドな風貌だが、ヴォーカルはオーソドックスな感じである。
さらに「まだまだこんなもんじゃねーだろー!」と煽りまくり、"Katana"へ。ここからは最新作「POWER」からのナンバーが繰り出される。刻むリフ、そして前方からフロア上方にスモークが強烈に放出される!ギター・ソロはセンターで上手のDaikiさんから下手のTJさんへと続いて演奏され、2回目のソロはDaikiさん。

「拳をあげろー!」とIkepyさんが言い、次の"Kingslave"のサビの"Take me back, to Hell"の掛け合いの形をオーディエンスに伝える。8分のダウン/アップのピッキングのリフが特徴的で、中間のドラムのフィルがやはり恐るべき激しさだ。サビではアクセントに合わせてフィスト・バンギングするオーディエンス。
そして、「『METAL MANIA』楽しんでるか?この後も凄いバンドが続くから、ずっと盛り上がって行こうぜ!」とMCをして、新作のタイトル・トラックへ。それぞれ上手下手のお立ち台で、Daikiさんがリフを弾き、次にTJさんがリフを弾くという形のイントロからスタート。ここで気が付いたが、TJさんはサウスポーのギタリストなのだな…。ここでもスモークが凄い。そしてリズムはやはりハネる。サビのメロディはハモる形。さらに重いリフに変わり、"Forsaken"へ。ミドルテンポに絡むツーバスも凝っている。ギターとヴォーカルになり、再びリズムが入ってエンディング。「残り1曲だ!"Gasolines"!!」。この最後の曲にTOTALFATのKubotyさんがゲスト・ギタリストとして参加し、トリプル・ギターとなる。最初のDaikiさんのソロの間、Ikepyさんが彼を担ぎ、そしてKubotyさんがソロを取る。掛け合いがあり、大量のスモーク、そしてジャンプするオーディエンス!HER NAME IN BLOODは最高のイベントのスタートを切った!

HER NAME IN BLOOD@渋谷TSUTAYA O-EAST 9/28
SET LIST:
1. SE:Eye Of The Tiger(SURVIVOR)~Last Day
2. Free Me
3. Katana
4. Kingslave
5. Power
6. Forsaken
7. Gasolines(With:Kuboty(TOTALFAT))
 


http://www.hernameinblood.com/

続くは、元DESTROSEのリズム隊、ベースのMiho嬢とドラムのHaruna嬢が立ち上げた(と書いていいと思うのだが。)ガールズ・メタル・バンド、LOVEBITES。今回ライヴは初めて見るのだが、昨年出たファースト・アルバムは、個人的に昨年のベストのへヴィ・メタル作品であった。(かなりの人がこのアルバムをベストとして挙げていた。)楽曲の充実度、ギター・アレンジやリフのサウンドなど、もう完全にこのおじさんのメタル・ハート(笑)を鷲掴みにしてしまったのである!
BGMのDOKKENの"Kiss Of Death"…今日はジョージ・リンチの誕生日でもあるなぁ、と考えていると、暗転して、ファーストイントロのインスト"The Awakening"がSEでかかる!途中でビートが力強く入って来るところになると一気にオーディエンスはフィストバンギングし出す。凄い人気だ!メンバーが登場し、短いイントロのソロから速い"The Hammer Of Wrath"!この「怒りのハンマー」というタイトルもガチだが、楽曲はさらにガチのへヴィな質感を持ったピュアなへヴィ・メタルである。問題は最後まで解消されなかったが、サウンドバランスがかなり混濁してしまっている事だ…ヴォーカルとギター・ソロはよく聞こえるが、ドラムの輪郭が良く分からなくなってしまっている。演奏は物凄くタイトで、ガールズ・バンドという事が付随要素でしかないほどに、素晴らしいのであるが…。2曲目はドラムのフィルからギターのハモリで今年出た4曲入りの「BATTLE AGAINST DAMNATION」からトップ・ナンバーの"The Crusade"。この曲でもリズム隊の強固さ加減が凄い。俺がこの2人のリズム隊を最後に見たのは、アルバム「DESTROSE」のラインナップでの最後のライヴであった向かいのO-WESTでの5年前のワンマンであるから、その頃と比較する方が間違ってはいるが、それにしても凄いタイトさと阿吽の呼吸のリズムである。3曲目も強烈なフィルインからスタート。代表曲とも言える"Don't Bite The Dust"。途中、ヴォーカルのみになるパートがあるが、Asami嬢のヴォーカルは所謂へヴィ・メタルのそれより、ソウル的なヴォーカルという感じはある。だが、だんだんとハードロック的なハードさを強めてきているようで、その独特のバランス感覚がLOVEBITESの個性ともいえるような感じである。上手のMidori嬢のソロから下手のMiyako嬢のソロへと続き、ラストのハモリをもってフィニッシュ。

「皆さんこんばんは、LOVEBITESです。私たちの最新作の『BATTLE AGAINST DAMNATION』から"The Crusade"を聴いてもらいましたが、もう1曲その中から聴いて下さい。」と言って、Miyako嬢の泣きのソロとストリングスの同期が抒情的なイントロの"Above The Black Sea"。オーディエンスはサビでフィストバンギングする。5曲目はファースト・アルバムのリード・トラックとされている"Shadowmaker"。ソロはまずMidori嬢がセンターで、続いてMiyako嬢がセンターにやって来る。そして2人そろってのハモリというステージングは本当によどみがない。今年、「Wacken Open Air」には日本からは彼女達とEND ALLが出演したのだが、それ以外にも海外でのライヴを行ってきており(11月にもヨーロッパのツアーの予定がある。)、そういったライヴでの経験が生きているのだろう。
ラストはサビがとてもメロディアスな"Bravehearted"。ソロとハモリのパートの後の静かになるパートではバスドラの刻みとオーディエンスの手拍子が同調、そしてさらに激しくなり、ツインのハモリを経て、ダンダン!のアクセントを数回入れて、オカズからパワーコード!今日唯一のガールズ・バンドだが、凄まじいサウンドに打ちのめされたメタル・ヘッズは多々いたはずだ。(ライヴ中のMCでは触れなかったが、司会のアナウンスでセカンド・アルバム「CLOCKWORK IMMORTALITY」のリリースについても触れていた。)

LOVEBITES@渋谷TSUTAYA O-EAST 9/28
SET LIST:
1. SE:The Awakening~The Hammer Of Wrath
2. The Crusade
3. Don't Bite The Dust
4. Above The Black Sea
5. Shadowmaker
6. Bravehearted 

 

 

http://lovebites.jp/

BGMは、往年のへヴィ・メタルの名曲が続いてかかる。SAXONの"Princess Of The Night"、11月には来日のTYGERS OF PAN TANGの"Gangland"、MEGADETHの"Peace Sells"…そんな感じで待っていると、暗転し、外国人のセリフが混ざったSEがかかる。HELL FREEZES OVERの登場である。彼らは、3年前の4月にJURASSIC JADEやEND ALL、APOLOGISTも出た新宿Wildside Tokyoでの兀突骨のサードアルバムのレコ発の初日に見て以来だが、あれからメンバーチェンジで動けない状態があり、今のラインナップになって、ついにこの夏にミニアルバムをリリースしたのであった。
1曲目は正にあのWildSide Tokyoの時にも感じた初期の「KILL'EM ALL」時代のMETALLICAのような、エッジの立ったリフのスラッシュ/スピード・メタルの権化とも言うべき、"Overwhelm"から始まった。2曲目はパワーコードからスタートする"Hawkeye"。こちらもあまりテンポは変わらないスピード・ナンバーだが、スタジオ・テイクよりずっとエネルギーを感じる感じだ。2番の後の"Go!"の後、弦楽器隊3人がフロントに並ぶ姿が壮観。下手ギターのHirotomoさんと上手ギターのRyotoさんが続いてソロをとり、ハモリのパートへと向かうが、後半のリズム・アレンジはかなり複雑である。

「初めて俺達を見るってヤツらがほとんどだと思うが、どうだい?!今日は精一杯楽しんで行ってくれよ!」とヴォーカルのGainer氏がMCを入れて、3曲目の"Burn Your Life"をコール。こちらもまた速い!この曲は音源にはなっていないが、公式のYouTubeチャンネルにはライヴ映像がある。途中のロートタムのフィルがPOSSESSEDを想起させる!4曲目の"Writing On The Wall"は、ミドル・テンポで、ドラムのリズムから始まりベースがリフを刻み、ギターが乗って来る。Hirotomoさんのソロから8ビートのハーフのビートになり、スローになったところでRyotoさんのソロ。これがなかなかにエモい…いや、このバンドの形容なら、エモーショナルかな?リフが復活して、速いパートに戻る。次の"End The Breath Of The Night"は、MOTORHEADっぽいリフを持つ曲で、速い8ビートの曲。途中で三連になり、ロートタムのフィルも入る。アクションはまさにオールドスクールのフォーメーションでJUDAS PRIEST的だ。
「俺達のファンはHellraiserっていうんだ。あと1曲だ!思いっきり暴れちゃっていいんだぜ!」と言って、"Hellraiser"をタイトルコール。(この曲はデモに入っている。)やはりリフの刻みは鋭く、その後ソロからハモリに入るが、なかなかに印象的である。演奏が終わって「メタルに境界線はない!また会おう!」と今日のイベントの主旨を語り、バンドは去った。サウンドバランスはほぼ良好だったが、もう少しギターのエッジが聴こえていれば…という感じはあった。しかし、トリ前、そのトリがLOUDNESSという日本の国宝のようなへヴィ・メタル・バンドの前で、若干20代の彼らとしては物凄い度胸が試されたとは思うが、今回のライヴ・パフォーマンスはガッチリ、オーディエンスの心を掴んだと思う。

HELL FREEZES OVER@渋谷TSUTAYA O-EAST 9/28
SET LIST:
1. SE~Overwhelm
2. Hawkeye
3. Burn Your Life
4. Writing On The Wall
5. End The Breath Of The Night
6. Hellraiser

 


http://www.hell-freezes-over.com/

HELL FREEZES OVERの直後、METALLICAの"Whiplash"がかかり、その後もヘヴィ・メタルの名曲が続いていくが、AC/DCの"Back In Black"がかかって少し経つと、暗転。LOUDNESSの登場である!
「LUNATIC FEST.」以来だが、あの時と同じく新作のイントロ"8118"のSEからスタート。メンバー登場し、"Hey! Tokyo!!"と二井原さんが叫び、"Soul On Fire"へ!この曲は前回聴いた時もそうだったが、スタジオ盤のどことなくスッキリした音像と比べると、ライヴでは本当にへヴィな質感で全く違う。ライヴで演奏しているヴァージョンの方が本来の姿の様な気がしてくる。オーディエンスは演奏前に手拍子をしていたが、ソロ前でも手拍子を入れて来る。エンディング・ソロも圧巻である。サウンドバランスは好調、且つLOUDNESSにしては音量はそれほど大きい感じではないような気がした。2曲目は"I'm Still Alive"。サポート・ドラムの西田さんのドラミングはヨーロッパ・ツアーも回った事で「LUNATIC FEST.」の時以上にバンドに溶け込んでいる。途中で速いツービートになるが、しかし、この妙な(失礼)展開の曲はスタジオ・テイクでは短くフェイドアウトしてしまうのだが、サビは4回やって終了。これもライヴの方がしっくりくる。

「『METAL MANIA』にお招きいただきありがとうございます!Next song, "Crazy fuckin' Ni~~ghts"!!」あれ?「LUNATIC FEST.」の時と同じ感じだな!もうこの曲やっちゃうのか?と思いつつ、やはり二井原さんのフロントマンぶりはやっぱり天性のものとしか思えないと思った。LOUDNESSが海外で成功したという要因の一つには、ライヴ・パフォーマンスにおける二井原さんの存在はかなり大きかったと思う。高崎さんの凄絶なギター・プレイもそうだったが、ヴォーカリストとしてももちろん凄いが、フロントマンとしての盛り上げ方がハンパではない。(「LUNATIC FEST.」の時はちょっとクールだったけど。)メタルの世界広しと言えどもこういったパフォーマンスで開場を一体化させていくのはオジーとブルース・ディッキンソンぐらいではないかと思うぐらいだ。Masakiさんやマイク・ヴェセーラには申し訳ないが、二井原さんのその場の雰囲気を変えてしまうパワーは恐るべきものがある。ラストのエンディングソロのカッティングもやはり流石の高崎御大。ワウの効果も抜群である。
「まだまだ行けますか!"Crazy fuckin' Doctor!!!"」名曲連打!ラストのサビの3回目はオーディエンスに振る。この"~~~Forever"というのは、英語の口語的には少し妙な言い回しでマイクの歌ったヴァージョン(ベスト盤に収録。)では、この「Forever」は外されているが、やっぱりこれでいい。いや、これじゃないとダメだな!「Loudness Guys」の「Guys」が取られた時もあったが、これも「Guys」あっていいんだよ!英語がおかしいとか、そんなんじゃなくて、ノリなんだよ、やっぱり!あんまり外国人気にしてないよ!(多分ね!)センターに出てギター・ソロを弾き出した高崎さん…ソロ・タイムかな?と思ったら、すぐに"In The Mirror"のリフを弾き出した。ソロ後のアクセントのところで一旦演奏を止めて高崎さん、煽る!お、この展開は初めて見る。"Crazy Doctor"のソロ導入で音をのばすパフォーマンスでじらすのはあったけど。そしてアーミングからリフに戻り、最後のセリフでもパワーコード、さらに掛け合い、そして、フィニッシュ!新しいアレンジのライヴ・ヴァージョンであった。
メンバー紹介をする二井原さん、そして最後に高崎さんが「歌を紹介します。二井原実、Thank you!!!!」さらに二井原さんが「短いですがこれが最後の曲になります。」というと、「え~~?」「しゃあないやん、持ち時間35分(と言ったと思う)なんやから。また年末やるんで、遊びに来てください!」と言って、必殺の"S.D.I."!!ヴォーカルはもう絶好調であるし、ギターは即興込みでスリリング!ほとんど悟りの境地な演奏である。まさに国宝メタル!!!
カーテンコールで終了した。

LOUDNESS@渋谷TSUTAYA O-EAST 9/28
SET LIST:
1. SE:8118~Soul on Fire
2. I'm Still Alive
3. Crazy Nights
4. Crazy Doctor
5. In the Mirror
6. S.D.I.

 


http://www.loudnessjp.com/

そして、最後にセッション。Ikepyさん出て来て、「最初は、HER NAME IN BLOODとLOUDNESSのメンバーさんとで。」と言っていると、山下御大登場。「山下さん!拍手!」と言っていると、高崎さんも登場。で、曲はBLACK SABBATHの"Paranoid"!トリプル・ギター、ダブル・ベースで強烈な音圧。メインソロは、HER NAME IN BLOODのDaikiさんが弾く。そしてエンディングは拡張されて、高崎御大の即興ソロ。オジー・ヴァージョンの(いや、後に本家もやることになったが。)「Hey!」の掛け合いは4回ぐらいやって終了。
HER NAME IN BLOODの下手ギターのTJさんとIkepyさんで諸々トークだが、「2回目もやるつもり」との発言が出た。うむ、この世代間、ジャンル、性別を越えたイベントはまたやった方がいいと思う!
2回目のセッションはHER NAME IN BLOODとHELL FREEZES OVERのRyotoさん、Gainerさん、それからLOVEBITSからAsami嬢とギター2人でMETALLICAの"Enter Dandman"。これはさすがに定番ですな。"Battery"とか速い曲よりは…。(でも個人的には"Creeping Death"辺りが来てほしかったケド。)
色々な余韻を残しつつ、記念撮影。

 

https://toppamedia.com/report-red-bull-music-festival-2018-metal-mania-2018-9-28/ 

 

第2回「METAL MANIA」はどういう風になるか?期待してしまう…。

(増田さんのDJプレイリスト↓)
https://youmasuda.amebaownd.com/posts/4955853