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映画館で映画を観終わって、思わず拍手をした作品なんてあっただろうか。
原題の「 Les Misérables」 は、「悲惨な人々」「哀れな人々」という意味ですが、その意味をとことん探し続け、そして最後に答えをくれる映画です。
『レ・ミゼラブル』
原 題:Les Misérables
製作年:2012年
製作国:イギリス
日本公開:2012年12月21日
上映時間:2時間38分
監 督:トム・フーパー
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、アーロン・トベイト
こちらなら見たい放題です。
では、感想です(ネタバレあるかもしれません)。
2011年、第83回アカデミー賞、作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞の4冠に輝いた「英国王のスピーチ」のトム・フーパー監督作品なのですが、そのことがあまり注目されていない気がしてならないのですが……。
細かいところにこだわり抜いたイギリスっぽい、いい映画を作る監督だと思います。
文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説をもとに、世界43カ国で上演されて大ヒットを記録した名作ミュージカルを映画化するとういう壮大な企画です。
「レミゼラブル」というと、下のポスターの女の子の絵が代名詞になっていますが、なぜこの絵なのか、不思議です?
物語はあまりにも壮大すぎて、ここで簡単に書いても意味がないと思うので、原作を読むか、映画の宣伝記事を読んでみてください。
映画サイトのあらすじはざっくばらんすぎるので、
恐らく、何の知識を持たないまま映画館に行っても大丈夫です。
「レミゼラブル」はミュージカル映画なのですが、すばらしいのは、歌が吹き替えでないところです。
役者一人ひとりの質の高い演技力と歌声が、観客を魅了し、ぐいぐいスクリーンに引きずり込んでくれます。
すばらしいミュージカル映画というのは、映画の盛り上がりとともに、その場面で歌われている歌詞が頭の中でリフレインしはじめ、一緒になって歌いたくなるものです。
そうなったら、もうその場面の中に自分が入り込んでいるかのような、その場面の現場に居合わせているような錯覚を味わえます。
この「レミゼラブル」、そういったシーンの連続です。
最近、映画を観ると考えることがあります。
それは「何が正義なのか」ということ。
法治国家において法を犯せば、それは罪人になります。
罪人は過ちを繰り返し、いつまでも罪人なのか?
それとも、罪を償えば、無罪放免なのか?
それとも、罪を犯した以上は前科者として生きていかなくてはイケないのか?
その罪人が人として正義を貫こうとしたとき、それは許されるのか?
そして、正義を貫いた罪人に神の愛はあるのか、仏の慈悲はあるのかと……。
アン・ハサウェイさんの何とも言えない上品な佇まいと天使のよな歌声が、涙を勇気に変えてくれます。
自分自身に降り掛かった苦悩を自問自答しても答えは出るはずもなく、その挙げ句に神に教えを乞うためにすべての歌が存在しているのではないかと……そんなことを感じさせてくれます。
「レミゼラブル」の主人公ジャン・バルジャン(ヒュージャックマン)は、あるとき、助けてもらった司教に対し、罪を犯してしまいますが、司教はとがめることもなく、寛大なる心で諭します。
そこではじめて、ジャン・バルジャンは正しい道を知ります。
ジャン・バルジャンは聖人となることを誓い、市長にまで上り詰めますが、過去に自分が犯した罪について、身代わりの罪人が処刑されることになったのを知り、それは自分だと名乗り出ます。
罪人というのは心が弱いから、多かれ少なかれ罪を犯し続けてしまうものです。
罪人だったジャン・バルジャンは努力を続け、みんなから信頼される会社経営者でもあり、市長にまでなりました。
それは、本当に大変なことだったと思います。
自分の過去を封じ込めようと思えば、何度も封じ込めることができたのに、それをせず、人としての正義を貫き、神のジャッジを待つことができるようになりました。
自分の過去を知る唯一の人間であり、どこまでも自分を追いつめるのがジャベール警部(ラッセルクロウ)です。
革命という混乱の中で、警部の息の根を止めるチャンスを得ていても、警部はあくまでも警部としての職務を全うしているだけであり、それが間違っていることではないということで、逃がしてあげます。
それは、以前、司祭に教えていただいた、「すべての人に与えるべきである寛容な心と愛と“許し”」のもとに、再びチャンスが与えられしものであるということを貫いたにすぎないと。
土壇場の極限で、我が身がかわいくなることもなく憎しみを解き放ち、自分が不利になろうとも、すべての人に対して公平なジャッッジをすること……できるでしょうか。
ヒュー・ジャックマンさん、いい味出しています。
すばらしいですね。
物語は、1815年からルイ18世・シャルル10世の復古王政時代、七月革命後のルイ・フィリップ王の七月王政時代の最中の1833年までの18年間を描い ており、さらに随所でフランス革命、ナポレオンの第一帝政時代と百日天下、二月革命とその後勃発した六月暴動の回想・記憶が挿入されています。
コゼットを演じるアマンダ・セイフライドさんの恋愛シーンは、いつみても、一発で恋に落ちないわけがありません。
この視線に男どもはいちころです。
「赤ずきん」で見せた演技も相当なものでしたが、今回もいい存在感出しています。
アンハサウェイさん、1982年11月12日生まれですから、御年30歳になられます。
昨年9月に結婚されました。
美しいです。
アマンダセイフライドさん、アマンダ・サイフリッドというのが正しい? そうな。
1985年12月3日生まれですから、御年27歳になられます。
どちらが好みかと聞かれれば、個人的には今までだったら何の迷いもなくアンハサウェイさんを選んできたのですが、最近は間違いなくアマンダセイフライドさんを選びます。
一番右のエディ・レッドメインさん、コゼットにひと目惚れしてしまう若き革命戦士マリウスを演じています。
ものすごくいいです。
そして、この「レミゼラブル」、子役がずば抜けて存在感と演技力を見せつけています。
「レミゼラブル」の代名詞、アマンダ・セイフライドさんが演じるコゼットの少女時代を演じているのが、イザベル・アレンさん10歳です。
かわいいだけで十分なのですが、今表現すべきことがわかっているということがすばらしいと思います。
そして、もっと極めつけは、最も若き革命戦士を演じ、いかなるときにもみんなを鼓舞し、勇ましく立ち向かい凶弾に倒れたガブローシュ役を演じるダニエル・ハトルストーンくん。
この勇気と感動も、「レミゼラブル」の中で、絶対に忘れることができません。
エポニーヌ役のサマンサ・バークスとダニエル・ハトルストーンくん(右)。
ダニエル・ハトルストーンくんと革命集団ABCを率いるアンジョルラス役のアーロン・トヴェイトさん。
そして、ダニエル・ハトルストーンくんとイザベル・アレンさん
この映画、必ず観てください。
涙が勇気と愛に変わります!
よろしければこちらもどうぞ。
☆福田清峰の一生に何度も観る映画☆
DVD持っていても損はないです。
レ・ミゼラブル [DVD]
あの長編小説を読むのはちょっと大変だという方にお勧めです。
「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)
鹿島 茂
サウンドトラックは必須かもしれません。
レ・ミゼラブル~サウンドトラック
しっかり原作を読み込みたい人は第1巻からどうぞ。
全5巻です。
左が新潮文庫、右が岩波文庫版です。
レ・ミゼラブル (1) (新潮文庫)
ユゴー 佐藤 朔