2019.3.7「いいもの」とは | とべとべくさの日記

 こんにちは!
雨ですね。

 さて、店番をしておりますと、お客さんと接している中で「いいもの」の基準はなんだ?というお話が出ます。
「理屈じゃない!いいものはいいんだ!」という意見が多くあり、それはそれで、ひとつの感じ方として楽しめます。
が、「いいものはいい」では商売になりません。
うちはやきものの器を主に扱っている店ですので、焼きがいい、造形がいい、色がいい、手取りがいい等など、いろいろと出てきます。
が、そもそも、その「いい」とは何か。
どんな共通認識を元に議論しているのか。


平たくしてみると、「個体と認識した対象の中で複雑に絡んでいる視覚的情報の関係性に人間が美しいと感じる均衡を保てているか否か」だと考えています。
器は使うものなので、感触や手取りも大事な要素として加えます。
好みはあれど共通する感覚はあるはずで、それを元にあれやこれやと言い合っているわけです。
これは形あるもの全般に言えることだと思います。
対象作品の歴史的背景等の付加価値について知識があれば、それも印象に影響するでしょう。
 

 いいものを作っている人にも「理屈じゃない」「いいものはいい」と言う方もいらっしゃいますが、無意識にも方程式を持っており、それに則って制作しているからいいものを作れるのだと思います。
それがとても複雑で、脳内のある部分では処理・計算ができて作品として具現化できるのだけれど、体系化することはできないから言葉にできない。
「いいもの」というものは、途方もない量の学習・修練・試験を繰り返す根気(または興味)と、気付く才能がなければ作れないものです。
その繰り返しの中で「気付き」が無意識に蓄積し「いいもの」の方程式も磨かれていくのだと思います。
これは観賞者・使用者も同じで、そのときそのときに「いい」と思うものを観て触れて、情報を蓄積し処理し「善し悪し」の感覚を身につけていくのです。
その感覚を自分の中で整理できなければ、「いいもの」を人に伝えられるイッチョマエの店にはなれないわけですね。

がんばります・・・。

 

伊藤貴志

 

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