皆さん、こんにちは。
船橋市議会議員の石川りょうです。
千葉県を含む7都府県に対して緊急事態宣言が発令されてから約2週間。5月6日の期限までおよそ半分が経過しました。船橋市民の皆さまにおかれましては、日々の予防活動、人との接触8割減を目指して頑張ってくださっていることと思います。コロナ終息のために、引き続き心を一つにして頑張りましょう!
さて、今日は、最近注目されている「モバイル空間統計」による船橋駅周辺の人口増減状況について取り上げてみたいと思います。内閣官房の新型コロナウィルス感染症対策ホームページには、NTTドコモやAgoop(株)が提供したデータが掲載されています。テレビの報道などでも取り上げられる機会が多くなっているため、ご覧になったことのある方もいらっしゃると思います。
このページには、NTTドコモさんの分析レポートが掲載されています。「緊急事態宣言後における7都府県の人口変動分析」です。渋谷、横浜、川崎、千葉、船橋、大宮、梅田、難波、三ノ宮、天神の10都市が取り上げられ、各都市の人口増減状況が、①感染拡大前と②緊急事態宣言前、そして、③前日との比較の3区分でわかるようになっています。1時間単位の人口推移がグラフと数字で表されており、明確で大変わかりやすいものになっています。
▲出典:内閣官房「新型コロナウィルス感染症対策」https://corona.go.jp/
この10都市の比較を見て、おや?と思われると思います。
船橋市は大丈夫か?と。
それもそのはず。①感染拡大前と②緊急事態宣言前との比較で、他の都市に比べて減少率が低いからです。
例えば、渋谷周辺が、
①感染拡大前との比較で77.6%も減っており、
②緊急事態宣言前との比較では54.3%も減っているのに対して、
船橋周辺は、
①感染拡大前との比較で56.5%、
②緊急事態宣言前との比較では27.3%しか減っていないのです。
お隣の千葉周辺では、
①感染拡大前との比較で71.5%の減、
②緊急事態宣言前との比較では62.9%も減っている状況と比べると心配になってしまいます。
しかし、この統計はもう少し注意深く見る必要があるのではないかと私は考えています。
NTTドコモさんのホームページにも明記されているように、「住宅地では一定の居住者がいるため、人口が大きく減少することはないことに留意が必要」です。
▲出典:NTTドコモ「モバイル空間統計分析レポート:緊急事態宣言前後における7都府県の人口変動分析」
https://corona.go.jp/toppage/pdf/area-transition/20200419_docomo.pdf
船橋周辺における人口増減状況のページを見てみましょう。
500mの正方形で分析対象エリアが示されていますが、船橋周辺に関しては、JR船橋駅を中心としたエリアとなっており、京成船橋駅も範囲に含んでいます。まずはこのエリアの居住者を把握しなければなりません。このグラフで示されている深夜1時から早朝5時くらいまでの数値が、このエリアに住んでいる人の数だと思われます(居住者の大半はこの時間にご自宅で就寝されていると思われます)ので、約3,000人であることがわかります。国勢調査のデータ(e-Stat)や船橋市の住民基本台帳とも照会して確認したので、この数はほぼ正確であると思われます。
約3,000人というこのエリアの居住者の数を引いた数こそが移動人口であり、この人数を低く抑えることが感染防止のために重要であることがわかります。ちなみに、4月19日(日)の15時にこのエリアにいた人は6,500人強であることがこのグラフからはわかります。そうなると、このエリアに移動してきた人の数(移動人口)は、
約6,500人-約3,000人=約3,500人
ということになります。
そして、この約3,500人という人数も、どのような人たちなのかは正確にはわかりません。上述した通り、この500m四方のメッシュ(エリア)の中には、JRと京成、そして東武アーバンパークラインの3つの船橋駅が入っており、乗り換えをしただけの人、電車に乗って通過しただけの人も一定程度いらっしゃったと思われるからです。
そして、この500m四方のメッシュ(エリア)には、平時の日中においては、グラフの青い線を見ればわかるように、およそ15,000人強の人たちがいることがわかります。この青い線の15時の人数(約15,000人)と赤い線の15時の人数(約6,500人)から増減率を計算すると、56.5%の減少ということになります。これがモバイル空間統計から分析されて発表されている数字です。
しかし、この約6,500人という人数から居住者である約3,000人を引いた、約3,500人という移動人口をもって増減率を出す方が、接触量を見るうえでは、より実態を反映した増減率になると私は考えます。
これで計算すると、船橋周辺における人口増減率は76.6%の減少となります。
▲出典:NTTドコモ「モバイル空間統計分析レポート:緊急事態宣言前後における7都府県の人口変動分析」
https://corona.go.jp/toppage/pdf/area-transition/20200419_docomo.pdf
同様の考え方を、お隣の千葉周辺における人口増減状況にも当てはめてみると、
(1)千葉駅の分析対象エリアに住んでいる人は、約1,000人
(2)4月19日の15時にこのエリアにいた人は約4,000人
(3)このエリアの移動人口は約3,000人
(4)平時の日中にこのエリアにいる人は約14,500人
(5)実態に近い人口増減率は約79.3%の減少
船橋周辺の移動人口の減少率は、千葉周辺の減少率と比べてもそこまで見劣りしない数字であることがわかります。しかも、千葉周辺のメッシュ(エリア)を見てみると、京成千葉駅は入っているものの、JR千葉駅という巨大ターミナル駅は入っておりません。したがって、この駅を利用したり、通過したりした人の数は入ってない可能性があることがわかります。
▲出典:NTTドコモ「モバイル空間統計分析レポート:緊急事態宣言前後における7都府県の人口変動分析」
https://corona.go.jp/toppage/pdf/area-transition/20200419_docomo.pdf
ちなみに、都内有数の繁華街である渋谷は、
(1)渋谷の分析対象エリアに住んでいる人は、約2,000人
(2)4月19日の15時にこのエリアにいた人は約9,000人
(3)このエリアの移動人口は約7,000人
(4)平時の日中にこのエリアにいる人は約42,000人
(5)実態に近い人口増減率は約83.3%の減少
ということになります。
結論としては、このモバイル空間統計だけの数字と増減率をもって、他都市と比べて「船橋は人の流れが減っていない」などと判断することは、世論をミスリードしてしまう可能性もあるということです。
しかし、だからといって、油断をしてもいい、自粛をする必要がないと申し上げるつもりは毛頭ありません。なるべく家で過ごす、お買い物には必要最低限の人数で行く、社会的距離を取る、などの対策を引き続き、そして、これまで以上に頑張ってまいりましょう。
コロナとの戦いは、治療薬やワクチンの開発を待たねばならず、長期戦になるかもしれません。しかし、緊急事態宣言の解除に関しては、みんなの協力で感染症を抑え込み、短期戦にできる可能性がありますし、そうするべきだと思います。
思い切り遊ぶことができない。買い物や食事も制限される。そして、家族にも、友だちにも会えない。この息苦しく不自由な生活から一刻も早く脱却するためには、「短期間に徹底して」だと思います。心を一つに。頑張りましょう!
2020年4月20日 船橋市議会議員 石川りょう