※イスラエル・パレスチナ問題をショートショートにしてみました。もし違っているところ、ありましたらご指摘くださいませ。

 

 

 

はるか昔


現在のパレスチナとよばれる地域にユダヤ人の王国がありました


ある日のこと、この国にローマ帝国の軍が攻め寄せてきて、ユダヤ人は、ローマ帝国によって、支配されてしまいました。...


しかし、ユダヤ人はけっしてローマに従おうとはせず、ことあるごとに反抗しました。


「なんて強情な国民だ」


業を煮やした王は、ついにユダヤ人をこの土地から追い出すことにしました。


こうして、そこに住んでいる人々は故郷を追われることになりました


この時から彼らユダヤ人は国なき民になったのです。やがて彼らは、ヨーロッパの各地に散らばっていきましたが、それは迫害の歴史でした


「ユダヤ人め、おまえらはイエス・キリストを死に追いやった裏切りの民だ!」


「ユダヤ人は冷酷なケチの金貸しだ」


キリストを裏切って死に追いやったその弟子ユダはユダヤ人でした


また、立場の低かったユダヤ人は、だれもが嫌がる金貸しの仕事をさせられていました


彼らは商才があったため、金持ちになる者も多く出ました


こうして、彼らはますます恨まれ迫害されることになりました


そして、その迫害の最たるものが、第二次世界大戦のときのヒトラーのユダヤ人大虐殺でした


「優秀なるドイツ民族の血がユダヤ人の血で汚されている」


「私の最終目的は、ユダヤ民族の断固たる排除である」


ヒトラーによる大虐殺「ホロコースト」により、ユダヤ人600万人殺されました (現在は150万人説が優勢。下記注)。

 

 

ユダヤ人は思いました


「俺たちがこんなに迫害されるのは自分の国がないからだ」


「そうだ、今こそ自分たちの国を建設しよう」


「今こそ、旧約聖書で示された約束の地(現パレスチナ)に帰るんだ」


また、彼らは第一次世界大戦のさなか、イギリスと交わした約束を思い出していました


「もし、我がイギリスに力を貸してくれるのなら、お前たちの国の建設を認めようじゃないか」 (→ゴロ合わせ)


しかし、この約束はその場しのぎの口約束のようなものでした


イギリスは、アラブの人とも別の約束を交わしていたのですから


「力を貸してくれ。そうしたら、戦後ここをアラブ国家として認めようじゃないか」と 。


第一次世界大戦の頃から、ユダヤ人のパレスチナ移住は始まりましたが、第二次世界大戦後ぞくぞくと彼らは移入してきました 。


「自分たちの国を建国するんだ」


「そうすれば、もう迫害されることもないはずだ」


ホロコーストの大虐殺を目の当たりにした国際世論はユダヤ人に同情的でした 。


「では、パレスチナをアラブとイスラエルで分割するようにしよう」


ここに国際連盟のもとユダヤ人の国、イスラエルが建国されました 。

 

しかし、当然のことながら、腹に据えかねる者がいました 。


もちろん、そこに住んでいたパレスチナの民です 。


「たとえ、はるか昔にここにユダヤ人が住んでいたとしても、今ここには俺たちが住んでいるんだ。カビのはえたような大昔に書かれた旧約聖書を持ち出して説得されたって、俺たちはお前らなんか認めないぞ」


周りのアラブ諸国の後押しもあって、彼らはイスラエルに対して戦争をしかけました


彼らは、何度も戦争をしかけましたが、そのたびにイスラエルに打ちのめされ、そして、そのたびにイスラエルは領土を広げていきました


いつしか国連のもと、アラブとイスラエルで分割されたその土地はすべてイスラエルのものとなり、戦争を逃れてアラブ各地に逃げていった人たちは帰る場所がなくなりました


「母さん、国に帰りたいよ」


「国は、イスラエルに占領されて、もう私たちには帰る場所がないんだよ」


こうして、パレスチナ難民が発生しました


かつて迫害をされ続けてきたユダヤ人は、今度は加害者になっていました


ちなみに、イスラエル建国の際、国連からアラブの土地として定められたのが「ヨルダン川西岸地区」と「ガザ地区」です


しかし、この土地でさえ・・・・


「ここは我がイスラエルが支配した」


「そ、そんな・・・・」


ここでアメリカが出てきました


「いくらなんでも、これはひどいんじゃないかね」


「・・・・」


「では、この地区をパレスチナ人の自治区にしよう」


アメリカの介入によって、この地区はパレスチナ人の自治区になりました


そして、ここに宗教の問題、エルサレムも絡んできます


エルサレムは、3つの宗教の聖地になります


アラブ人は言います


「ここでイスラムの預言者ムハンマドが天に召された、ここはイスラムの聖地である」


ユダヤ人も言います


「ここにはユダヤ教の聖地<嘆きの壁>がある。ここはユダヤ教の聖地だ」 キリスト教徒も言います


「ここはイエス様が十字架にくくられ天に召された場所。私たちにとっても聖地なんです」


しかし、このエルサレムをイスラエルは占領し、イスラエルの首都と宣言してしまったのですから、アラブ諸国の怒りはおさまりません。


(もちろん、国際社会では認めていません。イスラエルの首都はテルアビブです。もともとエルサレムは国際管理される都市と指定していたのです。それを第3次中東戦争で勝ったイスラエルが勝手に宣言しているのですから・・・・)


これまでの経緯をまとめてみると、こんな感じでいいのかな?(もし違ってるとこあったら御免なさい)


生まれたときから、イスラエルに自爆テロをして死ぬのが英雄と叩き込まれるパレスチナ人


やられたら、倍にしてかえしても正義である、と考えているユダヤ人


戦争のたびに領土を拡大していくイスラエルと、イスラエルからの何度かの譲歩に耳を貸そうともしないアラブ諸国


感情と感情、憎しみがさらなる憎しみを呼んでいきます


その後も、紆余曲折ありながら憎しみと紛争は今も続いています


終り

 

 

(注)https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11182588461