シン・エヴァが気に入らない人って2種類いると思う。

 

旧シリーズは「親離れ」の物語。

 

だから、メッセージは意外とシンプルで

 

「大人になろうよ」「成長しようよ」だ。

 

シン・エヴァの完結編で実は

 

伝えたいことがまったく同じだということが判明した。

 

つまり、

 

「大人になろうよ」「成長しようよ」。

 

旧シリーズではその伝え方が

 

あまりにもいびつで歪んでいて捻くれている。

 

そして、それが魅力だったりする。

 

当時、主人公と同じ年齢だったぼくも

 

「あとは勝手に幸せになってね」

 

と放り出され途方にくれたわけだ。

 

ここから約四半世紀で2つのタイプに別れたんだと思う。

 

一つは

 

いろいろあったけど、大人になって幸せになった人。

 

もう一つは

 

大人になれず、いまださまよい続けている人。

 

メッセージが理解できていれば

 

前者は今ある幸せを再認識できる。

 

後者はやっとエヴァの呪縛から解放される。

 

エヴァを卒業して目の前の幸せを始めることになる。

 

ただ、懇切丁寧に作り直したせいで

 

庵野監督の強烈な「歪み」は若干薄れてしまった。

 

シュールストレミングがクサヤ程度に。

 

その「歪み」を求めていた人には物足りなかったのだと思う。

 

前者のタイプなら

 

描かれていることはこの四半世紀で自分が体験してきた

 

至極真っ当、当たり前のことだ。

 

「ほとばしる熱いパトス(情念)」はない。

 

「あれ、エヴァってこんなつまんなかったけ?」となるだろう。

 

一方後者、

 

ぼくのようなルサンチマンの塊みたいな人がテーマを履き違えると

 

烈火の如く怒り狂うだろう。

 

「ふざけるな!よくもエヴァをこんな駄作にしやがって!」と。

 

そういう人には

 

「わかってしまうエヴァ」など何の価値もないから。

 

わかってしまったら終わってしまう。

 

終わってしまったら自分の幸せを始めるしかないからだ。

 

シン・エヴァのメッセージはシンプル。

 

「大人になろうよ」「成長しようよ」だ。

 

そして

 

描かれていることは「当たり前の幸せ」だ。

 

シン・エヴァがいまいちでモヤモヤする人は

 

以上を踏まえてもう一度ご覧になってはいかがだろうか。