皆さん、こんにちは。

船橋市議会議員の石川りょうです。

 

令和3年船橋市議会第3回定例会で先議にかけられていた議案第1号令和3年度船橋市一般会計補正予算が、昨日(9月14日)の本会議で賛成多数で可決されました。

 

その議案とは、キャッシュレス決済ポイント還元事業です。

 

船橋市内の店舗において、キャッシュレス決済を行った消費者に対して、決済金額の20%(上限は、3,000円/回、15,000円/期間)をポイント還元することにより、消費を喚起し、新型コロナウィルス感染症で影響を受けている市内事業者の経営を支援するとともに、キャッシュレス決済を普及させ、非接触型の新しい生活様式への対応促進を図る事業です。事業費は約10億7千万円です。

 

実施期間は、今年の12月1日~31日の予定です。

9月中旬から事業者の公募を開始し、10月下旬には契約。11月の1か月間をかけて、市民の皆さんや市内事業者に周知広報を行う予定です。

 

キャッシュレス決済(電子決済)であれば、クレジットカードや交通系カード(SuicaやPASMO等)の可能性もありますが、すでに実施されている他自治体の例を見ると、PayPayや楽天ペイ、LINE PayなどのQRコード決済事業者が選ばれる可能性が高そうです。

 

結論から申し上げますと、悩みましたが、私は当該議案に賛成しました。

なぜ悩んだのか?

いくつかポイントがありました。

 

①本当に市内事業者の経営支援になるのか?

②キャッシュレス決済を利用する一部の市民向けの不公平な事業にならないか?

③コロナ対策のための他の使い道があったのではないか?

④コロナ禍における外出(買い物)を助長し、市民の皆さんへの誤ったメッセージにならないか?

 

①に関して、本事業の最大の目的は市内事業者の経営支援なのですが、本当に船橋市の事業者のお店で使ってもらえるのか?という不安があります。つまり、日々のお買い物で使用され、全国的なスーパーやデパート、ドラッグストアやコンビニなどで使用され、船橋市民が社長であったりオーナーであったりするお店(中小企業)ではあまり使われないのではないか?市内事業者の支援にはつながらないのではないか?という懸念です。議案質疑でも尋ねましたが、市役所もこの点については「やってみなければわからない」ようです。しかし、大型店舗(大企業)を除外すると、本事業の認知効果は薄れ、本事業をきっかけにキャッシュレス決済を利用しようとしていた市民への普及(本事業のもう一つの目的)にならない可能性があるとのことでした。本事業の効果の幾分か(大部分かもしれませんが)は全国チェーンや大企業に流れるかもしれませんが、それでも実施しないよりは実施した方が市内事業者のためになると判断しました。ちなみに、還元率は20%なので、仮に全てが還元される場合には、約10億円の予算なので、50億円が市内で使用されることになります。

 

②に関しては、キャッシュレス決済を使用する一部の市民にしか恩恵のない不公平な事業になってしまうのではないか?という論点がありました。今でも現金しか使用しない方はいらっしゃいますし、仮にQRコード決済事業者が選定された場合には、スマホを持っていない市民の方々は恩恵を受けられない事業となってしまいます。もちろん、そのような方々への対応は必要ですが、その点にだけ拘っていては、この先、非接触型の新しい生活様式は進展しないとも考えます。この点に関しても議案質疑で質した結果、市は市民向けにキャッシュレス決済利用のための「使い方教室」を開催して対応するとのことでした。私はキャッシュレス決済の普及に反対するものではありません。本事業が、一人でも多くの市民の皆さんに、キャッシュレス決済を利用するきっかけになることを望んでいます。

 

③に関し、コロナ禍においては、経済活性化や経営支援よりも、もっと優先して行うべき事業があるのではないか?という議論です。本事業は国から交付される「新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用する事業です。経済対策より直接のコロナ対策に使用すべきではないか?という論点です。コロナ対策と聞いて真っ先に思い浮かぶ事業は、医療支援や保健所機能拡充です。執行部に質したところ、それらに対する交付金や補助金は別メニューで国や県から降りてきており、逆に地方創生臨時交付金では使えないものもあるとのことでした。さらに、当該交付金の執行期限は今年度末までという時限的制約もありました。

 

④に関しましては、当該事業をコロナ感染拡大時に実施した場合、外出自粛を要請しているにもかかわらず買い物を助長することになり、市民の皆さんへの矛盾したメッセージになってしまうのではないか?という不安です。以前の国の施策「Go to トラベル」や「Go to イート」のように再び感染を広げる要因の一つになってしまわないかという心配です。上述しましたが、実施期間は12月1日から1か月間ということで、この時期には、希望するすべての国民にワクチン接種がいきわたっている可能性が高いため(船橋市は11月末までに完了予定)、感染収束後の経済活動の活性化が本事業の目的の一つでもあります。議案質疑の中で、市長より、当該事業の実施の可否や延期にあたっては、感染状況をぎりぎりまで見極めて判断するという答弁がありました。それを信じたいと思います。

 

以上の論点を考え抜いた末に賛成という結論を出しました。

賛成するにあたって、実施の可否(または延期)につきギリギリまで状況を見極めることや、効果の事後検証(市内事業者への恩恵、経済活性化、キャッシュレス決済の普及度合い等)をしっかりと行うことなどの*付帯決議を議決しようと動きましたが、事前の調整の中で、議案質疑の中で担保が取れたのでそこまでする必要はないという結果となってしまいました。この点は少し残念です…。

 

*付帯決議とは、可決された案件に対し、事業を執行する上での要望や留意事項を述べるために提出されるもの。

 

今月3日のりょうCaféでも取り上げ、出席者から賛否両論のある議案でした。様々ご意見があると思いますし、議会でも全会一致とはならず、争点の多い議案でした。しかし、実施すると決まったからには、市内事業者の経営支援のため、市民の皆さんの消費喚起のため、そして、新しい生活様式を踏まえたキャッシュレス決済の普及のための事業とできるよう努力していきたいと思います。

 

20201年9月15日 船橋市議会議員 石川りょう

石川りょう公式ホームページ