今回の記事は、「ルネサンス」からのメール紹介案内分です。
かって東北大学名誉教授の田中英道説では、出雲大社の祭神である大国主神は、参拝者の方を向かず、何故に海の方向である横向きなのかを、先例として鹿島神宮を挙げられていた。
このことは、井沢元彦の『逆説の日本史』(註)での主張と全く異なるので、田中英道説には大いに興味がある。
(註)『逆説の日本史』
小説家の井沢元彦による日本史を扱った書籍。 小学館発行の『週刊ポスト』誌平成4年(1992年)1月1日号から連載されており、ある程度内容がたまると小学館から単行本として刊行され、さらに小学館文庫に収録されている。
故に、田中英道説の一部を以下に記します。
尚、この記事は、エジプトのピラミッドに興味がある方には、理解しやすいかもしれません。
☆ ☆ ☆
メール題名
富士山と日本神話の不思議な関係図
配信日 2021/2/6
(序文省略)
早朝の富士山
①富士山と高天原
まず一つ目が「富士山と高天原(註)」について。
(註)高天原(たかまがはら、たかあまはら、たかあまのはら、たかのあまはら、たかまのはら)
『古事記』に含まれる日本神話および祝詞(のりと)において、天照大御神を主宰神とした天津神(あまつかみ)(註)が住んでいるとされた場所のことで、有名な岩戸の段も高天原が舞台である。この所在地については諸説がある。
(註)天津神・国津神(あまつかみ・くにつかみ)
日本神話に登場する神の分類である。 天津神は高天原にいる神々、または高天原から天降った神々の総称、国津神は地(葦原中国)に現れた神々の総称とされている。
日本の神話において「高天原」という
天井の世界が描かれます。
イザナミやイザナギ、
アマテラス大神など、
主要な神々が棲まう世界です。
(田中説)
神話の「高天原」の由来は富士山にあると言えます。
人間というのは、高いところに憧れます。
日本は特に山が多く、山に囲まれて暮らす人々は高い山を仰ぎ、そこに特別な霊感を感じたはずです。
日本人とは「山人=大和」民族なのです。
高い山に高天原を想像するとすれば、高い山としてふさわしい山は、富士山の他にありません。
田中先生によると、神話の「高天原」とは富士山を知っていた人々の記憶であるそうです。
このことからも、田中先生は、「高天原は関東にあった」という
説を唱えられているのです。
(中略)
②富士山大噴火と「火の神」の誕生
他にも、日本神話と富士山には関係性があると先生は仰います。それが「火の神」と「富士山大噴火」です。
日本神話ではこんな物語が描かれます。
(中略)
火の神のストーリーを読み解けば、山地における火山活動と周囲の高原の様子が描かれているとわかります。
実際、富士山は歴史上、10回以上の噴火記録があり、噴煙が絶えない火山だったことは歴史的事実です。
20をも超える複数の神々が、火の神・ガクヅチの後に生まれた神々である、ということは、火山活動の凄まじさを表しています。
果たして、火の神の物語も、「富士山の噴火」を経験した関東の人々の記憶なのでしょうか。
私は、現地に訪れてみて、一個人の感覚ではありますが、田中先生の解釈に納得しました。
というのも、富士山近辺には、富士山の大噴火を記録する古い神社がたくさんあります。
「浅間神社」と呼ばれ、富士山を御神体とする神社が数多く存在しているのです。
富士の噴火(怒り)を鎮めるため、1000年以上前に建てられた伝統のある神社ばかりです。
私は「河口浅間神社」という神社に行ってきました。
境内には樹齢800年〜1200年を超える、物凄く大きな巨木が立ち並びます...
非常に厳かな空気であり、人々の畏れが感じられます。
貞観六年(八六四年)に富士山の大噴火が起き、翌年、その怒りを沈めるために、天皇の命令により建てられたそうです。
当時、大きな湖一つが埋没するほどの大噴火で住民は甚大な被害だったようです...
(中略)
③鹿島神宮と富士山を結ぶ太陽線(レイライン)の謎
最後に、とても興味深い事実、富士山と鹿島神宮を結ぶ、太陽線(レイライン)についてご紹介します。
こちらの地図をご覧ください。関東にある鹿島神宮と富士山とを直線で結んでいます。
実は、この鹿島神宮と富士山の線は、太陽が昇って降りていく「レイライン」ときれいに重なるのです。(立冬の時期)
つまり、鹿島神宮から見た時、ちょうど日の入り方向に富士山があり、富士山の真上に陽が落ちていくように見ることができます。
一方で、富士山頂上からは、ちょうど日の出方向に鹿島神宮がある。その辺りから日が昇るのです。
とても不思議な現象であり、興味深い事実だと思いませんか?
田中先生は、この太陽線が重要であると仰っています。
日の出・日没の東西ラインに神々が宿っているのです。
元来、人々は「太陽信仰」であったためこうして、太陽を中心にして考えると実に様々なことが紐解けるといいます。
・人類は「太陽が昇る場所」を求めて、世界最東端である「日本」を目指した。
・そして、日本の最東端である鹿島神宮の辺りに辿り着いて関東周辺の地域で住み着いた。
・縄文時代、この鹿島神宮を中心にした関東地域で国(太陽信仰の国)が栄えていた。
・アマテラス(太陽神)が最高神であるのは、太陽信仰が宗教的基盤であったため。
・日本神話の「高天原」とは、この関東地域の国ことを言い表していた。
...と、太陽を起点として、「世界史の中の日本」という観点から、田中先生は、壮大な日本の古代史を描き出すことができるのです。
ちなみに、上の地図を見てもらうと分かると思いますが、富士山と鹿島神宮を結ぶレイラインは、東京のど真ん中を通っています。
それを詳しく調べてみると、、「皇居」や「東京スカイツリー」など特徴的施設が存在しているのです。
もしかしたら、このレイラインを意識して建てられたのかもしれません。
(中略)
.富士山とは「美の象徴」だけでなく、日本人の精神的な基盤であり、日本の古代史を解く重要な鍵でもある。
ということを理解して頂けたら幸いです。
(以後省略)
(本記事著者)
ダイレクト出版・政経部門
ルネサンス事業部
古味直之(こみなおゆき)
(追記)2021/3/28(日)
富士山の溶岩量、想定2倍に 到達域12市町を追加
日経 2021年3月26日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB23ARE0T20C21A3000000/?n_cid=NMAIL007_20210326_Y
改定版の「富士山ハザードマップ」は新たに12市町(太線で囲まれた地域)が溶岩流の到達可能性範囲に含まれた
静岡、山梨、神奈川の3県などでつくる「富士山火山防災対策協議会」は26日、最新の知見に基づいて富士山ハザードマップを改定した。
大規模噴火が起きた際に想定される溶岩噴出量を従来の約2倍に見直し、静岡市や相模原市など新たに12市町に溶岩流が到達する可能性がわかった。関係自治体は避難計画の見直しなどを迫られる。
同協議会の内部組織で、火山の専門家らでつくる富士山ハザードマップ(改定版)検討委員会(委員長=藤井敏嗣・山梨県富士山科学研究所長)がまとめた。
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国が2004年に策定したハザードマップでは、火口から流れ出す溶岩流が静岡県と山梨県の15市町村に到達する可能性があるとしていた。
改定したマップはさらに、静岡県の2市1町(静岡市清水区、沼津市、清水町)、山梨県の2市(大月市、上野原市)、神奈川県の3市4町(相模原市、南足柄市、小田原市、山北町、開成町、松田町、大井町)を加えた。
到達範囲が広がったのは、溶岩流の噴出量の想定を従来の宝永噴火(1707年)を参考にした7億立方メートルから、貞観噴火(864~866年)の13億立方メートルに変更したため。
溶岩が流れ出す地点が44地点から252地点に増え、コンピューターシミュレーションをする際の地形も従来より詳細に分析した結果、溶岩流が河川や平野部を伝って広範に流れ出すとみている。
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火山灰や岩石が高温の火山ガスとともに高速で斜面を流れる火砕流についても見直した。
過去5600年間で最大規模の火砕流を参考に、噴出量を従来の240万立方メートルから1000万立方メートルに引き上げ。
富士山から傾斜が急な北東(山梨県富士吉田市)方向と南西(静岡県富士宮市)方向へと、火砕流の到達距離が長くなる想定に改めた。
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新マップで溶岩流や火砕流が到達する可能性がある地域には東海道新幹線や東名・新東名高速道路といった主要交通網があり、大規模噴火時は寸断される恐れがある。
同協議会に参加する3県は避難が必要となる範囲など、広域避難計画の見直しに着手する。
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