皆さん、こんにちは。
船橋市議会議員の石川りょうです。
 
昨日(2020年12月21日)、令和2年船橋市議会第4回定例会が閉会しました。
少し時間にゆとりができたので、今定例会を振り返るブログを書きたいと思います。
まずは、私の一般質問から。
録画中継はこちらからご覧いただけます。
 
前定例会に引き続き、船橋市民の皆さんの関心も高い「海老川上流地区のまちづくり」について取り上げました。
この街づくりについてのこれまでの経緯は、先日の私のブログをご覧ください。
海老川上流地区のまちづくりの最新情報をお伝えします。
 
船橋市長肝入りの大規模開発(組合施行の土地区画整理事業)である海老川上流地区のまちづくりに、今、黄信号が灯っています。
 
 
1.新しい事業計画案
 
本事業は、すでに船橋市の直接の手からは離れ、株式会社フジタが業務代行予定者を務める土地区画整理事業準備組合に引き継がれています。11月に準備組合と業務代行予定者から新しい事業計画案が提出されました。当初の事業計画素案と比較してみます。
 
【平成30年10月時点での事業計画素案】
総事業費:158億円
市負担金:43億円
平均減歩率:41.46%
 
【令和2年11月時点での事業計画案】
総事業費:192億円
市負担金:56億円
平均減歩率:43.41%
 
総事業費は34億円増で、市が負担しなければならないお金は13億円アップしています。
市が負担しなければならないお金というのは、土地区画整理事業への助成金(規則で定められている)や、事業地内に作る道路や公園などの公共施設を作るための交付金等です。
 
まず私が確認したことは、この金額で確定なのか?ということです。
市の答えは、「これ以上の増額はないと考えている」とのことでした。
ただし、
●土地区画整理事業に起因しないもの
●市に起因するもの
●大規模災害等
●その他不可抗力によるもの
を除くそうです。
 
あくまで私の想像ですが、なんだかんだ理由を付けて、今後もお金がかさんでいくのではないかと心配しています・・・。
 
以上の数字をもって、準備組合と業務代行予定者は、200人以上いらっしゃる地権者の方々に「土地区画整理事業に加わりませんか?」という同意をこれから取っていくことになります。平成30年に仮の同意は取っており、その際の同意率は81.3%でした。
 
ここで大きな関門があります。
これをクリアしなければ、海老川上流地区のまちづくりは成立しないという前提です。
それは、来年の9月に正式な土地区画整理事業組合を結成するため、令和3年3月までに90%以上の本同意を取ることです。
皆さんには、まず、この点を注視しておいてください。
 
仮に90%の同意を得られなかった場合には、本事業が頓挫してしまうだけでなく、この土地区画整理事業地内に移転建替え予定である新しい市立医療センターも出来なくなります。残り3か月強で同意が取れなかった場合には、新しい医療センターの土地探しも始めなければならないのです。当初は令和8年度中を予定していた医療センターの開院も大幅に遅れてしまう可能性もあるのです。
 
 
2.東葉高速線の新駅について
 
飯山満駅と東海神駅との間、ちょうど当該土地区画整理事業地に、新しい駅を作るという正式な発表がありました。
●時期:令和8年度を目処
●金額:約50億円
 
医療センターの来院者、この街に住む市民、ショッピングに来る人たちにとって、駅は欠かせません。
 
しかし、この駅は一体誰が作るのでしょうか?
現時点では、
東葉高速鉄道株式会社に払う意思はないようです。
土地区画整理事業の組合(地権者)も払いません。
業務代行予定者も払いません。
 
この駅は、「請願駅」と呼ばれ、鉄道会社にお願いをして作ってもらう駅となります。
駅を作って!とお願いする人(請願者)は船橋市となります。
もちろん、これから国の補助金の活用や民間事業者からの支援などを検討しますが、基本的にはこの50億円は船橋市が負担することになるのです。
 
そうなると、先ほど述べた市の負担金である56億円と、新駅の整備だけで、このまちづくりに対する船橋市の負担は約106億円となります。
市の医療センターができる土地区画整理事業とはいえ、民間事業に対してここまでの税金を投入することに対しては、議会でも賛否両論があるところです。本事業の実施が決まった場合、市の負担金を本事業に投入することを最終的に決めるのは船橋市議会です。予定では、来年の第3回定例会(9月頃)に予算案が提出されるようであり、議会の判断が注目されます。
 
 
3.船橋市の財政について
 
●【令和3年から実施予定】海老川上流地区のまちづくり:100億円以上
●【令和8年以降開院予定】市立医療センターの移転建替え:約437億円
●【令和7年開所予定】児童相談所:約16億円
その他にも時期や金額は不明ですが、予定されている大型事業として、
●消防本庁舎建て替え
●二和向台駅前の開発
などがあります。
 
船橋市は昨年度から今年度までの2年間をかけて「行財政改革(集中取り組み期間)」の真っ最中です。
この2年間の行革で生み出される成果は約20億円と見積もられています。
上記の事業予定を見ると、すぐに吹き飛んでしまう額です。
もちろん、行革とは、継続して行っていくものですし、2年間だけの成果が全てではありません。
しかし、虚しくなるのは私だけでしょうか?
 
船橋市の財政は大丈夫ですか?
と、一般質問で問い質したところ、
財政担当副市長:「非常に心配です。」
船橋市長:「今後、厳しい財政状況の中で、この事業(海老川上流地区のまちづくり)や他の事業等も全体としてやり遂げられるのかという指摘や懸念は当然だと思います。」
 
市長も副市長も、今後の船橋市の厳しい財政状況を認識しています。
財政担当の副市長からは、今後の財政のやりくりについての現時点での策や案について答弁がありました。
その点については、詳細が明らかになり次第、改めてブログでご報告させていただきます。
 
最後に、海老川上流地区のまちづくりの立地について。
下の図は、今年度更新された最新の「船橋市洪水・内水ハザードマップ」です。
最悪のケースではありますが、本事業地は、もろに、50㎝~3mの浸水が想定されている土地です。
もちろん、調整池の建設や液状化対策など、必要な対策はするものの、このような土地に、駅や住宅地、そして、船橋市の緊急医療の核である医療センターを移設することに対して不安の声があることもまた事実なのです。
 
▲最新版の船橋市洪水・内水ハザードマップの抜粋
土地区画整理事業全体が肌色(浸水想定0.5~3m)で塗りつぶされています。
 
本事業の実施について、皆さんはどうお考えになるでしょうか?
 
2020年12月22日 船橋市議会議員 石川りょう