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「眠りと超能力」と名付けて始めたシリーズだがなかなか先に進まない。

シリーズの目的は現代人、特に受験生や社会人の永遠のテーマである、
「いかにして睡魔と闘い、勉強や仕事をきちんとこなすか」
を示すことである。眠気でぼんやりしてても高校生ならせいぜい教師に注意される程度で済むか、志望大学に落ちるかくらいだが(いやいや、それって重要)、社会人ともなると生活がかかっている。運転手やとび職や工作機械を扱う職人などでは命に関わって来る。実際、私も先日、生命の危険を感じる出来事があった。


眠気でぼーっとしながらいつものようにファミリーマートのレジ打ちをしていたときのこと、いかにも怖そうなおじさんが支払いに来た。
「キリン淡麗とスジ、ひろうす、野菜てんぷらや。」
「発泡酒144円が1点、牛スジ125円が1点、がんもどき110円が1点、野菜さつまあげ110円が1点でお会計489円になります。」
「兄ちゃん、おもろいこと言うやないけ。『しばく』てか。ほんまにしばいたろかw」
「あ、いえ、すいません。」
「大根もつけてや。」
「大根75円が1点で合計564円になります。」
「あのなぁ、ワイはこう見えても『殺し』やってないんや! ボケッ。」
「は、は、はい。すいません。」
「胸クソ悪いわ。まあええ。そこのエエ方のぶたまんとおっきい方のフランクもや。」
「こだわりの肉まん175円が1点、ビッグフランクフルト154円が1点で、は、は、893円になります。」
「ワレ、ナメとんのかっ! ヤクザもんに『ヤクザ』言うてエエ思てんのかっ! しばいたろか、ワレ!」
「す、すすす、すいません。そういうつもりでは…」
「兄ちゃん、言葉に気ぃつけや。ほんでいくら出したらええねん。細かいのん、いらんからな。」
「1,003円お出し頂いたら…(ぼーっとしててもこのくらいは分かる。)」
「ほれ。」
「1,003円のお預かりでおつりが…ひ、ひ、ひゃ、110円…」
「おいこら! ヤクザには『110番』てかっ! ワイがいっちゃん嫌いな数字言ぅて何してけつかんねん! いてもうたろか!」
「(し、しまった。ぼーっとしててお釣りまで暗算しなかった…)」
殴られる! と思うと頭がクラクラして目の前が真っ暗になった。

気がつくと私はファミリーマートで買い物をしていた。
「あ・れ? …そうか。そうだよな。」
私は生まれてこの方、コンビニでバイトをしたことはない。一瞬の間に白昼夢を見たのだった。(やっくざと、こっんびに、ふぁっみりーまーと♪)


1.やくざとコンビニ


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この頃、このパターン多くないかぃ? それはそうと「眠りと超能力」シリーズはこれまで、
「予告編:天才は眠りの中で超能力のような創造性を発揮する」(6/2)
「その1:自宅や学校・職場で睡魔に打ち克つ方法」(6/14)
「番外編1:「一齧の夢」~栄光と転落は眠りの中~」(6/21)
「番外編1補遺:栄光と転落はリアルかフィクションか」(6/26)
「番外編1補遺の補遺:フィボナッチ数列と黄金比」(6/27)
であり、横道にそれたまま戻って来てない。
「いつになったら『その2』が出るんだ!」
という話だが、
「ちょっちょっ、ちょっちょっちょっ、ちょとまてちょとまて、おにいさん♪
 『その1』内容なんですのん? 時間が経ってて分かりません♪
 ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ、ラッスンゴレライ♪」

ということで、「その1:睡魔に打ち克つ方法」を要約しておく。
1.自ら痛みを与える…単純な痛みで目を醒ます。カッターナイフでツンツンやってリスカ跡みたいになると大学に入ってから友達にヒカれるぞ、ひとりトイレランチになるぞの話。
2.他人からの痛みに耐える…自分では予測かつ調節できない意外で強烈な痛みで覚醒する。「セリヌンティウスもも、私を殴れ!」「メロスすみれ、私を殴れ!」の話。
3.歯を食いしばる、ガムなどを噛む…物を噛むことで人知れず眠気を醒ますことができる。しかし授業中にスルメを噛むとイカ臭くて迷惑だぞの話。
4.学校で能動的な作業をする…自ら質問をするなどの緊張感を持つことで睡魔は軽減される。古文の授業中まで寝過ごして前の時間の英語の質問をすると恥ずかしいぞの話。
5.自宅で能動的な作業をする…料理などの家事をする、歌を歌ったり楽器を弾いたりするなどの気分転換を図る。「睡魔が来たりて笛を吹く」みたいな。朝までワンマンコンサートすると「気分転換」が「試験散々」になるぞの話。


睡魔が来たりて笛を吹く

「その1」を受けて今回の「その2」ではもう少し科学的に睡魔に打ち克つ方法を紹介したい。

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6.新鮮な空気を吸う

眠くなる原因のひとつは脳に酸素が十分に供給されていないからである。その証拠に脳は体に酸素補給を要求して「あくび」が出る。勉強や仕事で脳を酷使するとそれまで供給されていた酸素量では脳活動にとって不足する。そうするとその酸素量にあった脳の活動しかできなくなって脳は自動的に休むことになる。つまり眠りに入って行く。「脳が疲れたら眠る」のは極めて自然なことであり、また野生のヒトとしては正しい行動であるとも言える。そうは言っても野生から離れた文明人として勉強・仕事をしなければいけないわけで眠ってはいられない。また脳の疲れをおして勉強・仕事によって脳を鍛えることはそれはそれで正しい行動である。

あくびが出るなどから判断される睡魔を取り除く方法は当然ながら新鮮な空気を吸うことである。部屋の空気を入れ替える、ベランダや屋上や玄関先で深呼吸をするなどなど。私自身は睡魔から逃れて仕事をするためにつねに部屋に外気を流している。7月の東京でも明け方に外気を部屋にビュンビュン流しているとかなり寒いが、体を暖かくして風邪を引かないように気を付けることは言うまでもない。

また高級ペントハウスに住んでいる私は眠気を覚ますために屋上のルーフガーデンでタバコを吸ったりするが、これは脳がタバコの煙を要求しているようでいて実は酸素を要求している。煙とともに吸いこんだ酸素が肺胞の隅々にまで行き渡り眠気が覚める。それじゃあタバコでなくて深呼吸で良いじゃないかと言われそうだがその通りである。ただしタバコは中毒性・習慣性があり、深呼吸をすることを習慣にしてくれると言えばタバコに効能が無いではない。なお私はメンソールタバコを吸っているが、これはメンソールの快楽によって深く空気(煙)を吸い込むことにつながる。それじゃあフリスクや駄菓子のハッカパイプで良いじゃないかと言われそうだがその通りである。とにかくメンソールの力を借りてでも習慣的に深呼吸することが睡魔に打ち克つ方法のひとつである。


2.酸素と脳


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7.頭を冷やす

勉強や仕事で脳を使うと脳の温度(中枢温、深部温度)が上昇する。これは脳の神経細胞(ニューロン)が発火するためである(電気が通ることを発火すると称する)。そうすると頭がぼーっとして睡魔に襲われる。体を含めてポカポカすると眠くなるのは誰でも経験済みだろうが、進化論的に言えば熱帯に住んでたヒトの祖先が熱いときに体を休ませていたことに由来するというのが一説である。実際には体温がいったん上がって下がる時に入眠する。熱いシャワーを浴びたり熱い風呂に浸かって体温が上がり(体温が上がったのは発汗によって知ることができる)体温が下がると自然な眠りにつくことができる。冬山遭難では体温が下がると永遠の眠りにつくことができる(つきたくないが)。逆に睡魔を振り払うには頭の温度を下げる。何のことはない。多くの人が当たり前にやっているように冷たい外気に触れたり水で顔を洗ったりすれば良い。頭から水を浴びても良いが、それは江戸時代の拷問「水責め」であり下手人を眠らせないで罪を自白させる方法である。

頭を冷やす私のお薦めのやり方は大きめの洗面器に水を張っておいて眠くなったら顔をつける方法である。スッキリして眠気が飛んでくれる。ただし眠すぎて溺れないように注意して頂きたい(水深5cmでも溺れるときは溺れる)。あるいは自転車をある程度の速さで飛ばすと昼間でも風が頭を冷やしてくれる。水冷にせよ、空冷にせよ、体内の熱の8割は頭から発散しているので体ポカポカ頭ウトウトは無くなる。頭を冷やすことで言えば、古代中国や古代エジプトでは「頭は放熱器にすぎない。脳は知情意と無関係であって、心は心臓にある(「心」臓という名称が示すように)」と考えられていたことを実感する(心が脳にあると考えられたのは古代ローマのプラトンや古代インドにおいてである)。気をつけることは頭を冷やす際に体を外部から冷やすと風邪をひいたりいろんな問題が生じるということ。いわゆる「頭寒足熱」を心掛けて頂きたい。もちろんそこの貴女、大して頭を使ってないのに頭を冷やしすぎると体温が下がって風邪をひく。


3.心は心臓に


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8.飴を舐める

関西弁で言うとことろの「あめちゃんをねぶる」。いきなり脱線するが、関西では身の周りのもの、特に食べ物に「ちゃん」「さん」を付ける。お豆さん、お芋さん、お粥(かい)さん、お揚げさん。これは平安時代の御所言葉・女房言葉に由来する。宮中では「さん」づけした高級な食べ物を皇族方・公家方は食べていると表現して上位の人間に対する敬意を表した(まったく同じ食べ物なんだけど)。もっとも現在では「(食べ物)+(さん)」は単純な丁寧表現になっている。また標準語で「お日さま」「神さま」と言うところ、関西弁では「お日さん」「神さん」と言う。これは女房言葉でなくて江戸時代に確立された町人言葉である。つまり江戸の絶対的身分社会と違って人間は平等であるが礼を尽くすべきであるという上方文化を反映している。雲上人である豊臣秀吉を「太閤(たいこ)はん」、今太閤の松下幸之助を「幸之助はん」と呼んだりする。そういう経緯があっての「あめちゃん」である。

もうひとつ脱線すると「ねぶる」(=なめる)は標準語では通じないが平安時代は標準語だった。今昔物語に「仏前の常灯の油をねぶり失ひ」(=舐め尽くして)とある。つまり関西では古語「ねぶる」が現代日常語に残っているのである。同様の例は、「こぼつ」(=こわす)、「食べさし」「燃えさし」(=食べかけ、燃えかけ)、「いぬ」「いね」(=帰る、帰れ。「去ぬ」)。「いてまう」「いてまえ」(=死ぬほどの乱暴をする、ボコボコにする。「逝てまう」)、「ほかす」(=捨てる。「放下す(ほうかす)」)、「ずつない」(=解決する術がない、だから気分が悪い。古語の「術無し(じゅつなし)」)、「机をかく」(=机を二人で持ち上げて移動する、籠かきの「かき」と同じ)、「えぐい」(=きつい、不愉快である、グロテスクである。山菜など灰汁が強いときのえぐ味と同じ。「えぐし」)、


4.いてまえ打線3


飴と脳の関係に話を進めると、脳がカロリー(エネルギー)不足になると眠くなる。お腹いっぱいはそれはそれで眠くなるが(血液が胃腸に回る)、何も口にしていないと眠くなる。そもそも脳の基礎代謝は体全体の20%を占め、臓器の中で重量の重い肝臓を除いていちばん多くのエネルギーを消費する。



全身

心臓
肝臓
腎臓
筋肉
その他
 基礎代謝

2,000kcal
400kcal
170kcal
420kcal
160kcal
430kcal
420kcal
 

100%
20%
9%
21%
8%
22%
21%
 重量

70kg
1.4kg
0.3kg
1.8kg
0.3kg
28kg
38kg
 

100%
2.0%
0.4%
2.6%
0.4%
40%
54%
 単位重量あたりの
基礎代謝
29kcal/kg
290kcal/kg
570kcal/kg
230kcal/kg
530kcal/kg
15kcal/kg
11kcal/kg

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また、絶えず拍動・濾過作業をしている重量の軽い心臓・腎臓はともかく、脳はその重量の割に消費エネルギーはかなり多い。物理的に動かないように見える臓器であるにも関わらずである。しかも脳がエネルギー源とするのは糖類(ブドウ糖)だけであり、1時間に5g程度のブドウ糖を消費する。他の臓器に対してならばエネルギー源となり得る糖質(炭水化物)やたんぱく質や脂肪は脳に届かないようになっている。「関所」である血液脳関門=Blood Brain Barrier(BBB)がこれらを異物・毒物としてブロックしているからである。ふだんは糖質などから糖類を作って脳にエネルギーを供給するとしても、即効性があるのはもちろん糖類そのものである。したがって脳のエネルギー不足を感じたら、つまり血糖値が下がってフラフラになったら「飴ちゃんをねぶる」。もちろん冬山の強い味方チョコレートでも良いし、ひと粒で300m走れるというキャラメルでも走り出さなければ脳が消費してくれる。

私のお薦めはアイスクリームだったりする。アメリカ人のように1リットルとか大量に食べる必要はない。エッセルスーパーカップ200mlの5分の1の40gで糖類が7g摂取できる。多少、体温を下げるのにも役立ち一石二鳥である。またマイブームはもずく酢だったりする。砂糖を溶かし込んだ三杯酢はひとパックで10gの糖類補給になる。眠くなったらもずく酢。疲れたらもずく酢。ただし授業中にもずく酢をすすっていると「お前は妖怪か!」と先生にツッコまれ、それこそ辛酸をなめることになる。


5.糖類補給

なお欧米人は基本的に海藻を食べない("seaweed"って海の雑草だもんな)。海苔巻きの海苔("black paper")は気味が悪いからカリフォルニアロールのように海苔を巻かなかったり、サーモンスキンロールのように鮭の皮を巻いたりする(こっちの方が気味が悪いぞ)。もずくのような藻類(代表的には中国のイシクラゲ)は"hair seaweed"としてやっぱり気味悪い。気味悪いで言えば欧米人をすきやきやおでんに連れて行くと、しらたき(糸こんにゃく)が気味悪い。彼らにとってあれは"devil's tongue"(悪魔の舌)だから、しらたきを口に咥えるのが宴会の一発芸になる。だからと言ってもずく酢を頭からかぶる芸はやめておいた方が良い。また欧米人をお好み焼きに連れて行くと花かつおが気持ち悪い(ネットにも多数の報告あり)。お好み焼きの上でいっせいにゆらゆらとうごめく鰹節を見て「これは生きているのか? 有名な『オドリ』というやつか?」と不安げに聞かれる。「いやいやもう死んでいる。"dried bonito flake"(乾燥かつおフレーク)だ。」と言うと安心するが、青のりを振りかけると「これは何かのカビ("fungi")か?」と聞かれて「欧米じゃ青かびチーズ("blue cheese")を食べるんだって?」と関係ない質問で返すと彼らの箸はハタと止まる。

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9.散歩をする

自宅で勉強中・仕事中、眠くてどうしようもなくなったら気分を変えて散歩をしてみよう。酸素補給にもなるし、頭を冷やすのにも有効である。歩いている限り、眠ることはそうそうない。もちろんJKの深夜一人歩きは勧められないが、土日の昼間には有効な方法である。書を捨てよ、町へ出よう。1960年代の寺山修司の言葉はパソコンなどにかじりつく現代の若者への言葉であるように思える。町に出てたらナンパ待ちをしてしまうというJKは「自然に帰れ」(ジャン=ジャック・ルソー )である。散歩の代わりに人によっては自転車に乗る(サイクリング)のでも良い。フィボナッチ数列の単純な漸化式から複雑な一般項が出て来る過程を頭の中で復習しながら散歩やサイクリングをすると勉強時間を無駄にしたことにならない。むしろずっとノートや参考書を見ている方が勉強にならない。

この時の脳の挙動は非常に興味深い。散歩という比較的無意識にできる作業をしつつ、複雑な思索をし、両者の折り合いをつけるためにも脳が動く。多重人格というのではないが、3人分くらい脳が働き、案外、脳は大わらわである(マルチタスク、並行作業をしている)。机に向かって勉強や仕事などひとつのことに集中するのは良いが寝てしまっては元も子もない。脳をより活性化するために単純作業を取り入れると眠気は軽減される。たとえばストレッチをして体をほぐしながら仕事をする。アイソメトリック筋肉トレーニングをしながら勉強をする。中でもドローインによりインナーマッスルを鍛えながら授業を受ける。授業が終わる頃には数%、腰がくびれている…ほどでもないにしても継続すればダイエットになる。私の知り合いは仕事中のアイソメトリック筋肉トレーニングで1年間に10kgのダイエットに成功している。こういった単純作業はほぼ無意識にできるから複雑作業をじゃますることはなく、両者は脳の中の「別の人」が実行してくれる。はっと気がついて自分が筋トレをしながら漸化式を解いてるなぁと思うのはこれまた「別の人」だったりする。この意味で人間誰でもマルチタスクをする能力があり「多重人格」である。


6.ドローイン


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多くの人が経験する「思い出し笑い」はマルチタスクの最たるものである。手はルーチン的にほとんど無意識に軒先でうちわを振りながら夕涼みをし、同時に今日読んで面白かったブログを思い出して笑っている。そのとき目は開いていて視覚信号を得ているにも関わらず、脳は信号を解釈していない。あらぬ方向を見ながらクスクス笑っている様子は傍から見ると不気味だがよくあることである。この場合、人前でクスクス笑うと恥かしいぞという「別の人」が働かなかったりするから思い出し笑いをしてしまう。

マルチタスクで言えば、単純作業をしている「人」の割合が増えすぎると(単純作業に没頭していると)複雑思考をする「人」の割合が極端に減ってしまうことがある。たとえば、漢字の書き取りで同じ文字を100回書くなどという作業をしていると、最初こそ漢字を覚えるというやや複雑な作業であるが、そのうち無意識に漢字を書けるようになる。そうすると非常に不思議なことに、「あれ、この字はこれで良かったかな」と思って「あ」を並べているのにいつのまにか「め」を書いていたりするし、さらに「この字はどういう意味でどう読むのか」が分からなくなる。つまり文字としての理解ができなくなったりする。これを「ゲシュタルト崩壊」と呼ぶ。


7.ゲシュタルト崩壊


私個人の不思議体験で言うと、散歩をしながら考え事をしているといつの間にか隣町まで5kmほど歩いていたことがある。その間、まったく記憶が無い。どの道を進んだのか、どの角で曲がったのか。気がつけば「ここはどこ?」の世界である。もちろんちゃんと信号を渡ったりしているので視覚信号をきちんと解釈・処理していたのだが記憶からはスッポリと抜けている。行方不明になって何時間かして別の場所に現れるのはまさに「神隠し」のメカニズムである。実際に神が私をどこかに連れて行ったわけではないが、人智を超えた本人の状態で行動することが「神隠し」として現れるのである。UFOに搭乗したという多くの人の体験もおそらく同じ脳の動きが原因であろう。その際、私は白昼夢を見た(真っ昼間に夢を見た)のである。現実世界で歩きながら、空想世界(夢の世界)で何やら考えていたのである(読者の皆さん、ほら、冒頭のエピソードとつながった。それにしても遠い前フリだな)。そして言えることは人間には超人的なマルチタスクができる可能性があるということである。実はこれをヒントにしてシリーズ「眠りと超能力」を始めたのである。したがって睡魔を何とかする最後の方法は、

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10.超能力を使う

である。残念ながら紙幅が尽きた。最後のトピックスについては稿を改めて述べたい。


8.白昼夢