前の記事に示したように、私は物理の研究者ではない。

「えっ、物理の本を読んで解説記事を書いてたりするって言ってるんだから、物理の専門家じゃないの?」
といぶかるそこのあなた。チッ、チッ、チッ。物理の啓蒙書や読み物、いわゆる「縦書き本」を読んでることこそ、物理の専門家じゃない証拠である。


1.たくさん本を読んだ



素粒子物理学の標準モデル(6種類のクォークが存在するなどの理論)を読み知って、知らない読者さんに知らせるのは物理の研究者の仕事ではない。物理の専門家というのは6種類のクォークが存在することを予言したりする人のことであり、実際にそれに成功したのが小林誠氏と益川敏英氏である。また、根本的な素粒子の問題、たとえば、
「ビッグバンなどの高エネルギーから粒子と反粒子が同じ数だけ生まれる(対生成する)としたら、粒子と反粒子は再びぶつかって消え(対消滅し)、エネルギー以外何も残らないはずなのになぜ宇宙には粒子が残っているのだろうか? どこかに反粒子でできた世界があるとしても、なぜ見当たらないのだろうか?」
という問題。これに解答を与えたのが南部陽一郎氏の「対称性の破れ」の理論である。この3氏は2008年ノーベル物理学賞を受賞している。

ノーベル賞は受賞していなくとも、真の専門家と呼べるのは何らかのオリジナルな業績を残している人のことであり、「縦書き本」を楽しんでいる私はとうてい専門家ではない。科学好きの中学高校大学生にしばしば見られるのは、「縦書き本」でいろんなことを知っているからと言って自分が専門家になったような気でいる「勘違い秀才坊ちゃん嬢ちゃん」である。何ひとつ自分でオリジナルなものを生み出していないくせに、根拠のない自信で荒唐無稽な夢を語ってしまう。
「僕はタイムマシンを作るために東大理科一類に入ったんだ。中性子星を高速回転させたらタイムマシンができるんだ。」
「俺様はワープ航法のアイデアを持っている。京大工学部で時空を拡大収縮させるロケットを作ってワープするぜ。」
「私、転送というか、テレポーテーションというか、やってみたくて東工大に入ったの。量子もつれ、つまり量子エンタングルメントを使うのよ。」
いやはや、イタイ坊ちゃん嬢ちゃんである。受け売りの知識を自分のアイデアと信じ込むあたり、思い上がりも甚だしい。地に足がついていないとはこういうお子ちゃまのことを言う。

そんな夢見る大学生に厳しいことを言えば、
「まずは大学の教科書(横書き本)を読むのが第一」
ということ。たとえばワープ航法を語りたいのだったら「一般相対性理論」の教科書を読んでみることである。「時空の歪み」として啓蒙書で知っている言葉が数式でどのように表されるのか、自分は分かっていないということが分かるはずである(無知の知)。一般相対性理論を理解するためには微分幾何学とテンソル代数(ベクトルや行列の発展形の代数)が必要であり、それにはまず大学1年生で学習する微積分と線形代数を修得しないと始まらない。地に足のついた研究とか地道な勉強・学問とはそういうものである。


$GIPSY☆TOSHI ♭\(∂_∂)/♯ の何でもアリ♪-時計



話を戻し、私は物理学の研究者ではないとしたら、
「じゃあ一体、何者なんだ?」
ということになる。ひとつの答は市井の脳科学研究者である。大学の医学部で脳神経科学を修めたわけでもないし、文学部に所属して心理学哲学の立場から「心と脳の関係の問題(心脳問題)」に迫ろうというのでもない。ひとつ自分のオリジナリティーを挙げれば、24時間365日、自分の脳を観察して脳の状態にいろいろな説明を加えることが可能だということである。

このブログの古くからの読者さんであればご存知のように、私の脳の状態は大きな振り幅を持っている。完全に呆けたような状態の時に、ある種の薬を投与すると自分の脳が劇的な変化を起こすことを身を持って体験している。自分の嗅覚がまるで犬の嗅覚のように過敏になったり、自分の視覚が色鮮やかで彩度が上がったように見えたりする。私はくり返し、このような特殊な体験をしているので、それを研究しない手はないと考えたのである。ちょうど文字に色がついて見える「共感覚」と呼ばれる知覚を持つ人が自分を題材に研究を行なっているのと同じようなものである。


桜三変化

もちろんアマチュア研究者だから自分の食い扶持は別の仕事で稼いでいる。その仕事に興味がある読者さんもいるかも知れないが、この記事の趣旨と関係ないので省略する。


さてこの記事では、私が明らかにしようとしている脳科学関連の話でなく、最先端の脳科学研究者の研究結果のひとつを紹介しよう(自分のオリジナルな結果については今後おいおい明らかにして行きたい)。21世紀になって明らかになった脳の挙動は、
「脳オシレーション(Brain Oscillations)」
と呼ばれるものである。詳しくは、
Rhythms of the Brain」(G. Buzsaki 著、2006/8/3)
に書かれている(らしいのだが、私はこの本を購入していないので知らないw←オイオイ)。

要するに、数Hzから数10Hz(1秒間に数回から数十回)の速さで脳は力学的に振動しているというのである。そのような振動が何のために起こっているのかまだ完全には解明されていないようだが、脳が正しく働くためにはそんなふうに常に震えていることが重要らしい。まるで脳が常にウォームアップをしているかのようである。拍動する心臓や濾過作業をする腎臓などと違って動かない臓器と考えられていた脳が意外にも筋肉よりも多くのカロリーや酸素を消費するという事実はこの脳オシレーションと関係があるだろう。今後、注目の脳の現象である。




全身

心臓
肝臓
腎臓
筋肉
その他
 基礎代謝

2,000kcal
400kcal
170kcal
420kcal
160kcal
430kcal
420kcal
 

100%
20%
9%
21%
8%
22%
21%
 重量

70kg
1.4kg
0.3kg
1.8kg
0.3kg
28kg
38kg
 

100%
2.0%
0.4%
2.6%
0.4%
40%
54%
 単位重量あたりの
基礎代謝
29kcal/kg
290kcal/kg
570kcal/kg
230kcal/kg
530kcal/kg
15kcal/kg
11kcal/kg


2.酸素と脳



そんなエネルギーを大量消費する脳であるが、よく知られているように脳はブドウ糖(グルコース)をエネルギー源として働く。ブドウ糖は糖類(のうちの単糖類)そのものである。糖質(炭水化物)や脂質から糖を作るのでは遅く、脳の栄養には糖類を直接摂取するのが手っ取り早い。頭を使っているそこのあなた、甘い物で脳の栄養を補給しよう。

というわけで、ケーキを用意した。国分寺シャトレーゼで和菓子とともに購入。ぶどうのショートケーキ(大)399円、ブルーベリーのチーズケーキ(小)280円、栗おはぎ(2個)200円、いそべ餅120円。合計は…999円! 何となくめでたい。今日は私の誕生日である。


シャトレーゼのケーキとレシート


私はぶどうケーキを食べるので、親指姫はチーズケーキね。あれ? 姫がいない。そっか、「あの日」から姫、いなくなっちゃったんだ。どこに行ったのかなぁ…。(ノ_・。)



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